パロウを巡る舌戦勃発「被害者面」とマクラーレンを辛辣非難するガナッシ
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2023年のインディカー・シリーズでタイトルを争うアレックス・パロウの契約を巡ってチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)のオーナーは、「被害者面をしている」等としてマクラーレンの経営陣を非難した。
第14戦インディアナポリス・グランプリの開幕を迎えた米国現地8月11日(金)、アロー・マクラーレンの期待とは裏腹にパロウが同チームに移籍しない見通しである事が明らかとなった。
マクラーレンのザク・ブラウンCEOは従業員に宛てた書簡の中で、パロウは2024年に向けてCGRから移籍する事を約束し、これに基づき既に給与の前払いを含む「莫大な投資」を受けているにも関わらず、「契約を守るつもりはない」とチームに伝えてきたと記した。
これを受けてパロウが現在所属するチームのオーナー、チップ・ガナッシは12日(土)に次の声明を発表し、ブラウンを含むマクラーレンの経営陣を辛辣に非難した。
「私を知っている人なら誰でも、私が契約状況についてコメントする習慣がないことを知っている。私はこの話が出た初日から沈黙を守ってきたが、今は対応すべきだと感じている」
「私はマクラーレン・チームとその成功に尊敬を念を持って育った。新たな経営陣には同じ敬意を払えない」
「アレックス・パロウは我々のチームの一員であり、2021年シーズンから契約を結んでいる。一連の話はマクラーレンが契約に干渉したために生じたものだが、皮肉なことに彼らは今、被害者面をしている」
「端的に言えば、我々のドライバーに関するマクラーレン・インディカーの立場は不正確で間違っている。彼はCGRとの契約下にある」
パロウは昨年、2023年の契約を巡って裁判沙汰に直面した。CGRがパロウに対する契約延長オプション行使を発表すると、これに続いてマクラーレンがパロウの引き抜きをアナウンス。パロウは「続けるつもりはない」とCGRのリリースを否定し、CGRから提訴される事態となった。最終的にはCGRに残留し、マクラーレンとはF1リザーブ・ドライバー及び旧車でのテストドライブ契約を結んだ。
パロウとマクラーレンとの間の2024年以降の事前契約はモナコ・インクリース・マネジメント(MIM)を通じて調整されたものであったが、パロウがCGRに残留する意思を固めたことを受け同社は、パロウとの関係を精算するようだ。
MIMは12日(土)の声明の中で「2024年以降のマクラーレンとの既存の契約を破棄するというアレックス・パロウの決定を知り、非常に残念に思う」と述べた。
「我々は共に、契約上の義務を超えた関係を築き、2021年のインディカーで栄冠を勝ち取り、F1への道を辿るに至った。人生は続いていく。アレックスの将来の成功を願う」
CGRよりマクラーレンを選ぶインセンティブは現時点では見当たらない。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが確保しているためマクラーレンの2024年F1シートに空きはなく、またアロー・マクラーレンの競争力はCGRより劣っている。
土曜のインディアナポリスGPで7位フィニッシュを果たしたパロウは今季3戦を残した現時点で、2021年以来、2度目のチャンピオン獲得に向けて、ランキング2位の僚友スコット・ディクソンに101ポイントものリードを築いている。