F1:ハイブリッドエンジンから電動モーターへ…避けられないフォーミュラEとの統合
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ホンダのF1撤退が引き金となり次世代F1パワーユニットの導入が2026年から2025年へと前倒しされる事になったわけだが、ICE(内燃エンジン)が廃止されることはなく、未だ電動化の気配はない。
F1はハイブリッドパワートレインが最適解であるとして電動化との距離を保っているが、自動車メーカーの参戦に価値を置き続ける限り脱化石燃料を既定路線とする世界的動向を無視する事はできず、電動フォーミュラカーの導入は「あるかないか」ではなく「時間」の問題と言えるわけだが、F1が無音のフォーミュラとなる時、F1はフォーミュラEと統合される運命にあるのかもしれない。
フォーミュラEの創始者であるアレハンドロ・アガグCEOは豪Car Adviceとのインタビューの中で「観客動員数や名声という点でフォーミュラEがF1と大きく異なっている事は確かだが、私は両者が将来的に統合される事になると考えている」と述べた。
アガグが、フォーミュラEとの統合がF1の宿命だと考えるのには確たる理由がある。フォーミュラEは国際自動車連盟(FIA)管轄下における電動シングルシーターの独占運営権を有しているため、F1は少なくとも19年後までフォーミュラEとの統合なしに電動化に踏み切る事ができない。
「それがいつ実現するかは分からないし、株主がそれを望むかどうかも分からないが、フォーミュラ1とて電動化が必要だ」とアガグは続ける。
「何らかの形でフォーミュラEと協力しない限り、彼らは我々が持つライセンスが切れる19年後まで待たなくてはならないがそれでは遅すぎる」
「我々の権利は25年間有効だ。6年が経過した今、残りは19年ある」
アガグは更に、F1の前統治者であるバーニー・エクレストンに先見の明があれば、こうした事態を防げたはずだと付け加えた。
パワーユニットに関するF1のカーボンニュートラル戦略の主軸は新燃料に置かれている。これは動植物などの生物資源から作り出されるバイオ燃料や、再生可能エネルギー源(太陽光・風力・地熱・水力・バイオマス発電等)を元にした合成燃料(e-fuel)を用いる事で二酸化炭素の総排出量削減を目指すものだ。
だがアガグは、こうした新燃料に未来はなく、内燃機関はすぐさま歴史的産物へと追いやられてしまうだろうと考えている。
「e-fuelについては多くの議論がなされているが、あれは内燃機関が終わりを迎える事を理解できない人々のための見せ掛けの産物だ」とアガグは主張する。
「私も内燃エンジンのファンだが、それは終わりを迎える」
メルセデスは既にF1とフォーミュラEの両シリーズでワークスチームを持ち、人材や技術ノウハウを相互活用しており、マクラーレンやアルピーヌも将来的なフォーミュラE参戦を検討している。2つの世界選手権の間の垣根は次第に薄れつつある。