最強RB19のフロア露出、模倣の懸念もレッドブルが気にしない理由
F1モナコGPで最強マシン「RB19」のフロアがあらわとなった事で、ライバルチームによる解析と模倣が予想されるものの、当のレッドブル・レーシング首脳陣は全く意に介さない様子だ。
予選Q1でのサン・デボーテにおけるクラッシュを受けモナコのコースマーシャルは、車両回収のためにクレーンを使ってセルジオ・ペレスの11号車RB19を宙高くに釣り上げた。
Next stop, Barcelona. ✈️😍 pic.twitter.com/hwzJSBdEb4
— Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team (@MercedesAMGF1) May 31, 2023
同じくW14が宙吊りにされたメルセデスのトト・ウォルフ代表は、マーシャルの中にかつて「シルク・ドゥ・ソレイユ」で働いていた者がいるのだろうと冗談を飛ばし、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「他人のスカートの中を覗くのは失礼なことだ」と笑いを誘った。
2022年に導入されたグランドエフェクトカーの肝は車体の底にあるだけに、アンダーフロアの細部はどのチームにとっても最重要機密の一つだが、それが今季開幕6戦で全勝を上げているRB19のものともなれば、ライバルチームのエンジニアが血眼になって研究するであろう事は疑いない。
だがホーナーは、スパイカメラを雇って誰もが普段からライバルのフロアを写真に撮っている等として、気にする様子を見せなかった。ただ、懸念していない本当の理由はまた、別のところにあるのだろう。
独「Motorsport-Total」によるとレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、アンダーフロアが公然とされた状況について「当然、好ましいとは思っていない」としながらも、競合がこれを真似するのは困難だろうと説明した。
「確かにフロアは非常に重要だが、他のパーツや基礎となるコンセプトがなければ、そう簡単にはいかない」
「メルセデスのクルマはより長く空中に吊り下げられていたが、我々のものよりメルセデスのフロアに興味を持った人はいなかっただろうね」
RB19の強さの秘密は、ビームウィングとディフューザーを含めた車体後部全体とフロアとの信じがたいレベルの連携によるものだと考えられている。そしてそれは当然、車両前方からの気流コントロールによるところでもある。
つまり、フロアのディティールがあらわになったとは言え、原理的に言えばそれ単体をコピーしてもレッドブルに匹敵する事は不可能だ。マルコは、重要なのは「フロアだけではない」と強調する。
「フロントウイングやリアエンドとも連動して機能する必要がある。つまり全てはコンビネーションなのだ。これはフロア単体よりも遥かに複雑だ」