DRSの短縮決定、レッドブルを陥れるための「操作的介入」と批判するマルコ
DRSゾーンを短縮するという国際自動車連盟(FIA)の決定についてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、自分たちを陥れるための「操作的介入」だと主張する。
2023年型のレッドブル「RB19」はライバルを一切寄せ付けない支配的な競争力を発揮しており、ドライバーズ・チャンピオンシップ争いはマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスによるチーム内一騎打ちの様相を呈している。
「RB19」の強みの一つはいわゆる”トリプルDRS”、つまりアンダーフロアの強力なダウンフォースを背景に繰り出されるDRS作動時の圧倒的なストレートライン速度にある。2022年の先代型にも同様の特徴が見られたが、最新型のそれは別格だ。
マルコはF1第5戦マイアミGPを前に独「Motorsport-Magazin」とのインタビューの中で、DRSゾーンを短縮するという決定はレッドブルのアドバンテージを奪う事が目的だと思うか?と問われると「そうだ」と断言し、「このような操作的な介入はやめなければならない」と付け加えた。
無論、これはマルコの持論に過ぎない。開幕5戦のDRSゾーンの調整についてFIAはシーズン開幕を前に、昨年のデータとシミュレーションの分析を元にしたと説明している。
ただ、支配的な競争力を持つチームを後退させようとするかのような試みはF1では目新しいものではない。この手の話はV6ハイブリッド時代を支配し続けたメルセデスであれ、黄金期のフェラーリであれ、いつの時代にも囁かれてきた。
リザルトの予想がついてしまうという点で一強支配は基本的に歓迎されない代物だが、それもまた競争の一部であり、その裏には途方もない努力と苦労がある。
マルコはライバルからの不満はもうたくさんだとして「メルセデスが腹を立てているのは驚くべき事だ」と語る。
「彼らは何シーズンにも渡って優れたエンジンを持ち、今の我々以上に先行していたのだからね。2年連続でマシン開発に失敗しているのだから、それに集中するのが賢明というものだろう」
第4戦アゼルバイジャンGPではオーバーテイクが限られ、DRSゾーンの短縮についてグリッド全体から批判が相次いだ。ただ、それでもなおFIAは決定を変えることなく、その翌週のマイアミでもDRSの稼働距離を制限した。