国際自動車連盟(FIA)とF1のロゴ、2022年6月30日F1イギリスGPにて
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

FIA、2023年も”複数F1レースディレクター制”維持の方針

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一貫性欠如の一因であるとしてドライバーやチームから幾度となく批判を浴びながらも、国際自動車連盟(FIA)は2023年シーズンのF1も昨年と同じ様に、複数のレースディレクターによる監督体制を維持する方針を示した。

2021年の最終アブダビGPでの物議を経てFIAは、当時レースディレクターを務めていたマイケル・マシの退任を発表。体制改革に踏み切り、ニールス・ヴィティヒとエドゥアルド・フレイタスの2名体制に変更した。

ただ、フレイタス指揮の下で開催された鈴鹿での日本GPでは、マシンがコースを周回する最中に回収車両(リカバリー・ビークル)が導入され、安全性の観点から多くの批判が飛び交い、シーズン最終4戦はヴィティヒがその全てを担当する事となった。

レースディレクターの2名体制はシーズン序盤から評判が芳しくなく、意思決定に一貫性がないとしてFIAはしばしば、ドライバーやチームからの批判に晒されてきた。

7月のオーストリアGPではセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)がドライバーズ・ブリーフィングを途中退席。執行猶予付きで2万5,000ユーロの罰金が科される事態となったが、これは一貫性のない意思決定を巡ってFIAと対立した事が原因だった。

ベッテルと同じくGPDA理事を務めていたジョージ・ラッセル(メルセデス)は、レース毎にレースディレクターが入れ替わる事が混乱の原因だとして、従来の単一レースディレクター制の復活に賛成する立場を示した。

しかしながらモハメド・ベン・スレイエムFIA会長は、不測の事態に対するリスクヘッジという観点からレースディレクターを複数人で分担する事は必要不可欠だとして、今後も現行方式を維持する考えを明らかにした。

新型コロナウイルスによるパンデミックの収束の見通しが立たない中、病気や怪我によって唯一のレースディレクターが欠場を強いられた場合、グランプリの進行が脅かされる可能性がある。

ベン・スレイエム会長はまた「もし何か起きたらどうするのだ? モータースポーツを存続させていくためにはトレーニングを通して準備をしていく必要がある」と述べ、スチュワードとレースディレクター育成のためのプロジェクトが進行中だと説明した。

「私は、世界のどこかに誰よりも優れたレースディレクター、より素晴らしいスチュワードがいると強く信じている」

「我々は今、ASN(各国のモータースポーツ管轄団体)に連絡を取り、トレーニングのために人材を送るよう求めているところだ」

「我々の下にはトレーニングのための適切なチームがある。素晴らしい人材が集まる事だろう。約束しよう」