国際自動車連盟(FIA)とF1のロゴ、2022年6月30日F1イギリスGPにて
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

遂に決着か…FIA、ポーパシング対策を盛り込んだ2023年F1技術規定をWMSCへ

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成立困難かに思われたポーパシング対策を含む2023年のF1テクニカル・レギュレーション改訂案が今週、ルール変更承認のための会合である世界モータースポーツ評議会(WMSC)に提出される事が決まった。

空力的上下動に関する問題解決に向け国際自動車連盟(FIA)は技術諮問委員会での議論を経て、夏休み明けのベルギーGPよりエアロダイナミック・オシレーション・メトリックを導入し、フレキシブルフロアの取り締まりを開始する。

更に来季に向けては以下の項目を含む技術規定の変更を計画しているものの、この草案には根強い反対意見があり、シーズンを経る毎にポーパシングは解消しつつあるとして、半数のチームは規定変更の必要性に疑問を投げかけていた。

  • フロア・エッジ高の25mm引き上げ
  • ディフューザー・スロートの高さ引き上げ
  • 横方向のフロアたわみ検査の厳格化
  • 新センサーによる垂直振動測定

特に声高に反対していたのはレッドブルだ。

フロア・エッジの「25mm」という数字についてクリスチャン・ホーナー代表は、「クルマの大幅な再設計」が要求される程に大規模で、2023年型F1マシンの空力コンセプト全体に影響を及ぼすと主張し、「純粋に安全性」を追求した結果とは思えないと疑いの目を向けた。

一方でメルセデス、トト・ウォルフ代表は、ポーパシングがドライバーの身体に及ぼし得る影響に関してFIAが取りまとめた医学的調査を受け、「脳の損傷に繋がる可能性がある」として賛成の立場を示すと共に、勢力争いを巡るロビー活動の存在を否定した。

こうした状況の中、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は8月8日(月)にソーシャルメディアを通して以下のように述べ、最終案を決定した事を明らかにした。

「20名のF1ドライバー、そして10名のチーム代表全員を交えてのポーパシングに関する議論を経て我々は、今シーズン中の対策に加えて、喜ばしい事に2023年の改訂版技術規定を今週中にWMSCに提出する運びとなった」

最終案がどのような形に収まったのかは明らかにされていないが、フロアエッジを25mmではなく10mmの引き上げに抑える妥協案の存在が知られている。

フェラーリのマッティア・ビノット代表は以前「FIAが提案してきた25mmに対して我々は、10mm引き上げるという妥協案を提示した」と明かしており、ホーナーも「こうした状況の常だが、最終的には妥協案を選択する事になると思う」と述べている。