FIA、F1スーパーライセンス規定に「17歳」を容認する特例を追加…新生アントネッリに2024年デビューの可能性
アンドレア・キミ・アントネッリに早期F1デビューの可能性が開かれた。国際自動車連盟(FIA)はFIA国際競技規定付則L項を変更し、特例としてスーパーライセンスの取得要件を17歳に引き下げる条項を加え、自動車運転免許証の所有を要件から削除した。
2015年当時、17歳だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が物議のF1デビューを飾った後、FIAはF1への参戦において必須のスーパーライセンスの取得に年齢制限を設け、18歳以上でなければならないと定めた。
この条項は今も健在ながら、6月11日付けで発行されたFIA国際競技規定付則L項の第13条2項には「FIAの単独の裁量により、最近、かつ一貫してシングルシーター競技で卓越した能力と成熟度を示したと判断されたドライバーは、17歳でスーパーライセンスを付与される可能性がある」と追加された。
FIAはまた、「初めてスーパーライセンスを申請する際に、有効な運転免許の保有者であること」を義務付けた条項を削除した。
これら2つの変更は、今年の8月25日を迎える前にアントネッリがスーパーライセンスを取得するために必要不可欠なものだった。
F2ルーキーのアントネッリは、フェラーリへの移籍が決まっているルイス・ハミルトンの後任として2025年にメルセデスからF1デビューすると広く予想されているが、同時に2024年シーズン中にローガン・サージェントに代わってウィリアムズから早期ステップアップを果たす可能性が取り沙汰されている。
FIAは5月中旬、メルセデスジュニアのアントネッリが早期にスーパーライセンスを取得できるよう、年齢制限に関する条件を免除するようにとの要請があったと認めた。ただし、これを承認するためには然るべきプロセスに則ってルールを変更する必要があると強調した。
17歳のイタリア人ドライバーには2つのハードルがあった。母国イタリアでは18歳以上でなければ運転免許証を取得する事ができず、またスーパーライセンス規定には18歳という最低年齢制限が設けられていた。
そのため従来は、アントネッリが18歳を迎えて最初に訪れる9月1日の第16戦イタリアGPまでF1デビューの可能性はゼロであったが、今回の変更により理論上は、早ければ次戦スペインGPでのデビューも可能となった。
しかしながらメルセデスのトト・ウォルフは前戦カナダで、アントネッリにプレッシャーをかけたくないとして早期のデビューに否定的な姿勢を強調した。そのためまずは、同じ様に「17歳特例」が適用されるフリー走行限定ライセンスを取得させ、スペインやオーストリア、イギリスなどの週末に経験を積ませると共に、コース上での評価を行う可能性が高そうに思われる。
アントネッリはこれまで、F4タイトルを2回、フォーミュラ・リージョナルのタイトルを2回獲得するなど、大きな成功を収めており、現時点でスーパーライセンスの取得に必要なポイントを獲得している。
また、開幕5ラウンドを経て現在、F2ランキング6位につけており、FIAが「最近、かつ一貫してシングルシーター競技で卓越した能力と成熟度を示した」と判断する可能性は十分にある。