メルセデスのチームウェアを着用するアンドレア・キミ・アントネッリ、2024年FIA-F2選手権メルボルン予選にて
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”免除要請”の存在を認めたFIA、アントネッリの2024年ウィリアムズF1デビューの可能性は如何ほどか

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2024年のシーズン中に、ウィリアムズがローガン・サージェントに代えてメルセデス育成傘下のアンドレア・キミ・アントネッリを起用する可能性はどの位あるのだろうか。

2シーズン目を迎えたアメリカ人ドライバーは期待されたほどの成長を見せておらず、フォーミュラ・リージョナル欧州選手権(FRECA)での王座獲得を経て今年、F3をスキップしてFIA-F2選手権デビューしたアントネッリが、その後任としてウィリアムズと契約する可能性が取り沙汰されている。

イタリアの新生はここ数週間、レッドブルリンクとイモラでシルバーアローの旧車をドライブし、初のF1テストに取り組んだ。アントネッリの母国での期待は異様な程に高く、伝えられるところによると、4月29日と30日のイモラでのテストでは1分17秒台を記録したとされる。

コンディションが全く異なるため比較にはならないが、参考までに2022年のエミリア・ロマーニャGPで刻まれた週末ベストはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がレース中に記録した1分18秒446だった。

アントネッリは2025年のルイス・ハミルトンのプライズ後任候補として名前が浮上したドライバーだが、最近ではマイアミの次に控えるエミリア・ロマーニャGPでF1デビューを果たす可能性が取り沙汰されている。

とは言え、マックス・フェルスタッペンがカートを経てF3シーズン中にF1デビューを決めるという衝撃的なキャリアを歩み、17歳でデビューを果たした事で導入された「18歳以上」という要件があるため、アントネッリには8月25日までスーパーライセンスを取得する資格がない。

しかしながらFIAは、アントネッリが早期にスーパーライセンスを取得できるよう、年齢制限に関する条件の免除要請があったと認めた。ただし、これを承認するためには然るべきプロセスに則ってルールを変更する必要があると強調した。

ウィリアムズのジェームズ・ヴァウルズ代表は、今シーズン中の交代の可能性についてマイアミで質問されると「願望があるのは確かだ」としつつも、「我々にはドライバー・ラインナップ以上に、解決すべき遥かに大きな問題がある」と述べ、クルマのパフォーマンスに関する話に切り替えた。

また、英「AUTOSPORT」によるとメルセデスのトト・ウォルフ代表は、アントネッリはF2キャンペーンに集中する必要があると強調し、早期昇格はリスクであり「すべては噂に過ぎない」と語った。

また、FIAに提出された免除を求める要請については「我々の側から推し進めたものでないことは確かだ」とも述べた。

ヴァウルズはアントネッリ起用の可能性を全面的に否定することはなかったが、少なくともそれがすぐに実現する事はないだろうと仄めかした。

「キミに関して言うと、ほんの20か月前に彼がF4マシンに乗っていた事を忘れてはならない。これほどの短期間でF1マシンに乗り換えるというのは極めて大きなステップだ」

「昨年のアブダビ以来、キミとは話をしていないし、メルセデスのテストで今、何が起きているのかも私は知らない」

「他のチームと同じように、我々も来年のドライバーラインナップについて検討しているし、我々は独自の若手ドライバープログラムを抱えている」

「キミに関して言えば、彼がどのレベルにいるのか私は判断できない。当初から一貫して言ってきたが、シート争いは実力主義だ。それは彼が今年、マシンに乗る場合も変わらないし、ローガンも自らの手でシートを掴み取らなければならない」

「今のところローガンには、アレックス(アルボン)にもっと接近しなければならないという厳しい目標があるが、現時点では彼の後任になるような人物はいない」

ヴァウルズは近日中のサージェント解雇の可能性を除外したが、これが彼にとっての母国で行われたやり取りである事には留意すべきだろう。

さりとてやはり翌戦のイモラでの交代劇はありそうにない話だが、アントネッリが18歳を迎えて最初に訪れる9月1日の第16戦イタリアGPに関してはまだ別の話と言えそうだ。

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