
2026年F1マシンは「F2並みに遅い」の実像―FIAが示す最新予測値と、初年度に”速さを盛らない”理由
国際自動車連盟(FIA)のシングルシーター部門責任者を務めるニコラス・トンバジスは、2026年型F1マシンの性能が現行のF2マシン並みに落ち込むという一部の声を否定した。
アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)はシミュレーターでの手応えを根拠に、2026年の新車は「F2のペースに近い」と語った。サマーブレイク前にはウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ヴァウルズも「F2との差は数秒かもしれない」と懸念を示していた。
だが、FIAの最新シミュレーションデータは、こうした見立てが現実と離れていることを示しているようだ。
新型F1の実力は「1〜2秒落ち」
copyright FIA
2026年型F1マシンのレンダリングイメージ、2024年12月12日 (11)
2026年の新車は、ICE(内燃エンジン)と電気モーターの出力比率がほぼ50対50となる新型パワーユニットを搭載し、エネルギーマネジメントが勝敗を左右する重要な要素になる。シャシー側ではドラッグ(空気抵抗)を削減するため、前後ウイングの角度を変える「アクティブ・エアロ」が導入される。
こうした劇的な変化にもかかわらず、トンバジスはラップタイムの低下について、初期段階では「わずか1〜2秒程度」にとどまると主張する。
ラスベガスGPの初日を迎えたパドックでトンバジスは、「F2並みペースになるという指摘は、完全に的外れだ」と言い切った。
「我々が想定しているラップタイムは、サーキットやコンディションにもよるが、現在よりラップ全体で1秒か2秒落ちる程度だ」
初年度に”速さを盛らない”理由
トンバジスは、新規定の導入初年度から現行マシンより速くすることは、長期的にリスクがあると説明する。
「開発サイクルの初期段階で、以前のサイクル(現行規定の最終形)より速くするのは愚かなことだ。レギュレーションでクルマを速くするのは簡単だが、開発による自然な進化で伸びる分を考慮しなければならない」
「もし最初から前年より速い状態でスタートすれば、20年後にどうなるか、想像はつくだろう。だから多少遅くなるのは当然の流れだが、『もはやF1ではない』といった議論になるようなレベルにはならない」
両シリーズの最終戦を務めるアブダビのヤス・マリーナ・サーキットを例にとると、現行F1マシンの予選ポールタイムはF2のそれを比べて13.15秒速い。仮にここから2秒遅くなったとしても、その差は依然として11秒もある。
現行の1.6リッターV6ターボが導入された2014年はF2(当時GP2)との差が7.608秒、2022年のグランドエフェクトカー初年度は12.466秒(F2のポールシッターは岩佐歩夢)だった。F1がシーズンを重ねるごとに速さを積み増していくのは疑いようがない。
サーキット特性による変動
Courtesy Of Audi
2026年F1参戦マシンのカラーリングとデザインの方向性を示す「アウディR26コンセプト」のスタジオショット、2025年11月12日(水) (4)
レッドブルのチーフエンジニアを務めるポール・モナハンも「F2レベルにはならないと思う」とトンバジスの見解を支持するが、同時にサーキットのレイアウトによってタイム差は大きく変化する可能性があると指摘した。
ブレーキングゾーンが多く回生エネルギーを溜めやすい「エネルギー・リッチ」なサーキットではタイムの落ち込みは少ないが、そうでないサーキットでは大幅にタイムが低下する可能性があるという。
「私の感覚では、サーキットごとにだいぶ差がある」とモナハンは語る。
「エネルギーを貯めやすい場所は落ち幅が小さいが、現在でさえ回生に苦労しているような場所では、もっと遅くなるかもしれない。そして現時点で一番つかみにくいのは、どれだけグリップを得られるかだ」
「ピレリの最終スペックのタイヤ次第で、ラップタイムは大きく変わる。確かに若干遅くなるだろうが、F2並みのペースになるとは思わないし、そうならないことを願ってる」