メディア取材に応じるミック・シューマッハcopyright FIA F3

ミック・シューマッハの加入に前向きな姿勢を示しつつも 時期尚早と牽制するフェラーリ、その裏には禁断の”不文律”が…

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スクーデリア・フェラーリのF1チーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネは、7度のF1ワールドチャンピオン、ミハエル・シューマッハの息子ミックについて「マラネロの門戸は常にオープンだ」と述べ、チームへの加入を歓迎する一方、現時点では時期尚早だと強調。相反する主張を口にしている。

今年FIA 欧州F3選手権にプレマ・セオドールチームから参戦するミックは、先日開催された第8戦ニュルブルクリンクでの3レース全てで勝利を収め、シーズン6勝目を計上。ポイントリーダーのダン・ティクタムに迫り、現在チャンピオンシップで2位につけている。

アリバベーネ代表は、著名な家系に生まれた宿命を背負うミックはまだキャリアの初期段階にいるとして、あまり多くを騒ぎ出ず不適当なプレッシャーをかけないことが肝要だとの考えを示した。

「重要な事は、余計なプレッシャーをかけずに成長を見守ることだと思う。最近の活躍は目を見張るものがあるし、私としては徐々にキャリアを積み重ねて欲しいと考えている」

サラブレッドのDNAが遂に覚醒かと思しきこの状況に対しては、来季シートが空白となっているトロロッソ・ホンダでのF1デビューが噂されたものの、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコはその可能性を否定。接触すらしていない事を明かした。

フェラーリ製パワーユニットを積むザウバーもまた、シートの一つが空いており、来年のキミ・ライコネンのチームメイトに注目が集まっているが、フレデリック・バスール代表は、ミックのF1への昇格は時期尚早だとの考えを示し、まずはF1直下のカテゴリであるFIA F2選手権への参戦が望ましいと語っている。

ミック・シューマッハ、FIAフォーミュラ3ヨーロッパ選手権第5戦スパ・フランコルシャンでのレース3にて
© FIA F3

F1に参戦するためにはスーパーライセンスの取得が必要となるが、仮に今年のF3選手権で年間3位までに入ればミックは要件を満たす事となり、資格的にはF1デビューへの権利を手にする事になる。

確かにもうひとステップ踏んでからでも遅くはないだろうが、何しろミックは”伝説の名前”を持つドライバーだ。F1デビュー云々はさておき如何なるチームであれ、獲得を狙わない理由はない。マーケティング的に見ても、早い段階で自チームの育成下に置き、囲い込みたいのが本音だろう。

では何故、フェラーリもレッドブルもザウバーも手出しをしないのか?アリバベーネは、レーシング業界には”禁断の不文律”があると仄めかす。

「彼はフェラーリの歴史に刻まれた名を持っており、当然の事ながらマラネロの門戸は常に開かれているが、段階を経る事が重要だ。これはファミリーの判断なのだ。私が意味しているのは、シューマッハ家が下した決断、という事だ」

ミハエルは2013年にスキー事故で重傷を負って以来、公の場に姿を見せていないどころか、あらゆる情報が完全非公開とされ、容態すら全くつかめない状況が続いている。だがミハエルは今もなお、モータースポーツ界隈に無言の圧力をかける事で実子を見守り続けている。

F1界で偉大な功績を残したミハエルを父に持つドイツ人ドライバーは今年19歳。一方で、ライコネンに代わって2022年までのフェラーリのシートを掴んだシャルル・ルクレールは今年21歳。辿ってきたキャリアには違いがあるものの、年齢的にはこの先数年の内にデビューを果たしたとしても不思議はない。果たしてその権利を手にするのはどのチームなのだろうか。