フェラーリのロゴをバックにマイクを握るマッティア・ビノット代表
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フェラーリ、米インディカー・シリーズへの参戦を検討…早ければ22年にも実現か

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跳馬のチーム代表を務めるマッティア・ビノット代表は、スクーデリア・フェラーリが北米で開催されているNTTインディカー・シリーズへの参戦を本格的に検討している事を明らかにした。これは来季よりF1に導入されるコストキャップをきっかけとした動きで、早ければ2022年にも実現する可能性がありそうだ。

F1は2021年シーズンより年間の予算上限を定めたコストキャップの導入するものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でチームの財政が急速に悪化している事から、当初設定されていた上限値を1億7500万ドルから1億4500万ドルへと引き下げる事で先週合意に至った

この結果、多くの従業員を抱えるマラネッロは、余剰人員の雇用維持という観点から、他のシリーズへの参戦評価に着手した。ビノット代表はSky Sport Italiaのインタビューに応じ「我々フェラーリはスタッフに対して社会的責任を感じており、将来に渡って一人一人に仕事を確保したいと考えている」と述べ、次のように続けた。

「そのため我々は代替プログラムの評価を開始した。現在の我々とは全く異なるカテゴリーであるが、インディカーについて検討している。フェラーリは昨年承認された予算(1億7500万ドル)に基づいて体制を整えていたため、更なる削減が決定した事で、スタッフや体制、組織といった重要な課題の見直しを強いられる事になった」

奇しくもつい先日、F1とインディカーの両シリーズで活躍したアメリカンモータースポーツの生きる伝説、マリオ・アンドレッティがフェラーリに対し、アメリカンオープン・ホイールへの参戦を呼びかけていただけに、このニュースは各方面で驚きを以て迎えられている。

インディカーはF1とは異なり技術的に制約が多く、F1と比較するとワンメイクに近いシリーズと言える。車体はダラーラ製のシングルスペックで、エンジンサプライヤーはホンダとシボレーの2メーカーのみ。F1の1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンに対して、インディカーでは2.2リッターV6ツインターボエンジンを採用している。

インディカーは運動エネルギー回生システムを備えたハイブリッドエンジンを2022年に導入するため、F1パワーユニットの開発と運用で培った技術を転用できるという点で、同シーズンはフェラーリにとってまたとない新規参戦のチャンスとも言える。

今から遡ること35年前の1985年、インディカー・シリーズ(CART)への転向も辞さないとして、フェラーリがレギュレーション変更案に反対の立場を表明し、F1に政治的駆け引きを仕掛けた事があった。この時は実際にプロトタイプマシンの開発にまで至ったものの、実際に使われる事はなかった。

なおビノット代表は「我々は耐久や他のシリーズの世界も観察している」と付け加え、インディカー以外の選択肢も評価している事を明らかにした。競争力の担保という点においては、ルールが一新されるタイミングでの参入が好ましい。FIA世界耐久選手権(WEC)は2021年シーズンより規約を一新し、LMHル・マン・ハイパーカー規定を導入する。