マクラーレン・ホンダのアイルトン・セナ

人工知能が算出したF1史上最速ドライバー…最も速いのはセナ?それともフェルスタッペン?

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史上最速のF1ドライバーは誰なのか? 長年に渡って幾多もの論争が繰り広げられてきた永遠のテーマに、人工知能の中核技術である機械学習が1つの答えを導き出した。

F1はAWS(Amazon Web Services)の協力の下、1983年以降に収集された広範なデータを用いて、史上最速ドライバーを計算する独自のアルゴリズムを構築した。その結果、アイルトン・セナがその栄冠を手にした。

AWSは過去65年間に蓄積されたF1のレースデータが活用して「F1 Insights」と呼ばれる様々な分析情報をリアルタイムで計算し、「タイヤパフォーマンス・グラフィック」「コーナーからの脱出スピード」「ピットストップ戦略予測」「カー・パフォーマンス・スコア」といった形で、テレビ中継のグラフィックとしてF1に提供している。

史上最速のドライバーを論ずる時、それは最終的に「俺が考える最速ドライバー」に収斂しがちだった。如何にそれらしい文句を並べ立てても、結局のところ、それは主観の範疇に絡み取られてしまい客観的視点を欠いてしまう。その意味において、その結果が適切か否かはさておき、今回のF1の試みは評価に値すると言える。

最速のF1ドライバーを客観的視点から導き出そうとするこの野心的なプロジェクトは、F1のデータシステム担当ディレクターを務めるロブ・スメドレー、放送メディア担当ディレクターのディーン・ロック、そしてAmazon Machine Learning (ML) Solutions Labの主任研究員でシニアマネージャーのプリヤ・ポンナパリ博士の主導のもと、一年の歳月をかけて行われた。

アルゴリズムの構築に際しては客観的かつ公平なランキングを作成するために、マシンの性能差を排すべく予選での対チームメイト成績のデータが重視された。つまり、チームメイトに対して支配的な速さを誇っていたドライバーや、手強いチームメイトを相手に好成績を収めたドライバーに高いランキングが与えられるような仕組みが作られた。

その上で、クラッシュやマシントラブル、予選セッション中の気象条件の変化などの無意義なデータを除外する方法が取られた。また、意味のあるランキングを作成するために、チームメイト比較の際には該当者が少なくとも予選5回以上の参加経験を持つことなどが条件とされた。

評価の対象とされたのはあくまでも1ラップにおける純粋なペースであり、タイヤマネジメントを含むレースでの速さ・腕前ではない事に留意されたい。以下が1983年以降のF1における史上最速ドライバーTOP20だ。

順位 ドライバー ギャップ
1 アイルトン・セナ 0.000秒
2 ミハエル・シューマッハ 0.114秒
3 ルイス・ハミルトン 0.275秒
4 マックス・フェルスタッペン 0.280秒
5 フェルナンド・アロンソ 0.309秒
6 ニコ・ロズベルグ 0.374秒
7 シャルル・ルクレール 0.376秒
8 ヘイキ・コバライネン 0.378秒
9 ヤルノ・トゥルーリ 0.409秒
10 セバスチャン・ベッテル 0.435秒
11 ルーベンス・バリチェロ 0.445秒
12 ニコ・ヒュルケンベルグ 0.456秒
13 バルテリ・ボッタス 0.457秒
14 カルロス・サインツ 0.457秒
15 ランド・ノリス 0.459秒
16 ダニエル・リカルド 0.461秒
17 ジェンソン・バトン 0.462秒
18 ロバート・クビサ 0.463秒
19 ジャンカルロ・フィジケラ 0.469秒
20 アラン・プロスト 0.514秒

栄冠に輝いたのは3度のF1ワールドチャンピオンであるアイルトン・セナだった。セナは7度のタイトルホルダーであるミハエル・シューマッハより0.114秒速く、現ワールドチャンピオンのルイス・ハミルトンより0.275秒速いと判断された。

偉大なブラジル人ドライバーは、当時の史上最多記録となる通算65回のポールポジションを獲得した。これは後に、シューマッハが68回に更新し、その後、ハミルトンが92回へと書き換えているが、両者は共に、セナが1994年のサンマリノGPで命を落としていなければ、もっと多くの記録を重ねていただろうと認めている。