シルバーストン・サーキットを周回するピエール・ガスリーのアルピーヌA524、2024年7月5日F1イギリスGPフリー走行
Courtesy Of Alpine Racing

F1イギリスGP決勝:タイヤ戦略考と気になる天気、ペナ適用後のスターティング・グリッド

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日本時間7月7日(日)23時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第12戦イギリスGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および、予想されるタイヤ戦略、気になる天気を見ていこう。

スターティンググリッド

予選では、8番手ランス・ストロールと10番手フェルナンド・アロンソがそれぞれ別の理由で召喚されたが、ストロールは赤信号無視も酌量の余地が認められ戒告処分、アロンソの方のピット作業禁止ルール違反については珍しい「ノーペナ裁定」が下った

今季5季目のパワーユニット開封によって最後尾スタートを命じられたピエール・ガスリー(アルピーヌ)は20番手最下位で早々にセッションを終えたものの、セルジオ・ペレス(レッドブル)がセットアップを変更してPUを開封。ピットレーンからスタートすることになったため、19番グリッドに昇格した。

最前列に並ぶのは3年ぶりのフロントロウ独占を果たしたメルセデス勢で、ジョージ・ラッセルがポールポジション、ルイス・ハミルトンが2番グリッドに着く。

2列目には前戦オーストリアGPで接触したランド・ノリス(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が並ぶ。

角田裕毅(RBフォーミュラ1)はポイント圏外7列目13番グリッドに着く。隣の14番グリッドに並ぶのは周冠宇(ザウバー)だ。

以下は暫定のスターティンググリッド。レース直前に発表される正式版との差異が発生した場合は更新される。予選順位との変動値を合わせて記す。

Pos No Driver Team Qualifying
1 63 G.ラッセル メルセデス 1(-)
2 44 L.ハミルトン メルセデス 2(-)
3 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 3(-)
4 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 4(-)
5 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 5(-)
6 27 N.ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 6(-)
7 55 C.サインツ フェラーリ 7(-)
8 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 8(-)
9 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 9(-)
10 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 10(-)
11 16 C.ルクレール フェラーリ 11(-)
12 2 L.サージャント ウィリアムズ・メルセデス 12(-)
13 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 13(-)
14 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 14(-)
15 3 D.リカルド RB ホンダRBPT 15(-)
16 77 V.ボッタス ザウバー・フェラーリ 16(-)
17 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 17(-)
18 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 18(-)
19 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 20(+1)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

想定されるスタートタイヤ戦略

最大の未知数は気紛れなブリティッシュウェザーだ。雨が降った場合と晴れた場合では当然、戦略が異なる。

FP3のように路面が終始ウェットコンディションとなれば、誰もが路面状況に応じてインターミディエイト・タイヤとフルウェット・タイヤを使い分け、2ストップ作戦を採ることが予想される。

ではドライレースの場合はどうだろうか。ピレリのシミュレーションによると、最速タイヤ・ストラテジーはC2(ミディアム)とC3(ソフト)を組み合わせた1ストッパーだ。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「路面がドライであれば、理論上は1ストップが最速となる。この場合、3種類のコンパウンドすべてが選択肢に入ってくる」と説明する。

「ソフト/ミディアム戦略は、ソフトからハードに履き替えるよりも若干速い。一方、ソフトを使わない戦略は、より柔軟性が高い」

シルバーストン・サーキットで行われるF1イギリスGP決勝レースのタイヤ戦略シミュレーション表、2024年7月7日Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

シルバーストン・サーキットで行われるF1イギリスGP決勝レースのタイヤ戦略シミュレーション表、2024年7月7日

ソフトをスタートタイヤに選択した場合、グリップのアドバンテージを利用することができるが、一定周回後はタイヤマネジメントが必要になり、またグレイニングも懸念される。とは言え、ミディアムよりコンマ5秒近く速い点は魅力的だ。

シルバーストンはオーバーテイクが難しい。追い抜きのチャンスが豊富なのは開始直後の数ラップだ。ソフトスタートは検討に値する。

一方でミディアムを選んだ場合は、スティントを引っ張ることが可能になるため、降雨が予想される場合にアドバンテージを得ることができるかもしれない。また、セーフティーカーが導入された場合にも柔軟に対応できるチャンスが生まれる。

誰もが各コンパウンドを少なくとも1セットずつ残しているため、各チームの戦略を予想することは難しいが、ギャンブルに打って出る必要があるペレスはハードをスタートタイヤに選ぶかもしれない。

気になる天気は…

日曜の現地シルバーストンは終日、にわか雨の予報が出ており、レース中の降水確率は50~70%と比較的高い。

予選がそうであったように、強い風が吹き抜けるため、一旦、雨が上がれば路面が乾くのは早い。

雨に見舞われ大混乱となった2008年のF1イギリスGPウィナーであるハミルトンは「あらゆる経験が役立つのは間違いないし重要だ。雨が降っている時が、おそらく僕にとって最も快適なコンディションだ」とウェットレースへの期待を口にした。

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