ピットレーンに停車するランス・ストロールのアストンマーチンAMR24、2024年7月6日F1イギリスGP
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

赤信号無視も”情状酌量”により戒告で事なきを得たストロール、違法ピット作業も「ノーペナ」裁定を受けたアロンソとアストン

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7月6日(土)に行われた予選を経てF1イギリスGPのスチュワードは、8番手ランス・ストロールと10番手フェルナンド・アロンソをそれぞれ別の理由で召喚した。

予選Q1でセルジオ・ペレス(レッドブル)がコプス(ターン9)脇のグラベルに囚われ赤旗が振られた際、赤信号が点灯していたにも関わらずストロールはピットレーンを離れた。

一見、グリッド降格ペナルティは避けられそうにないケースであったが、エンリケ・ベルノルディを含む4名の競技審判団は諸状況を考慮して戒告処分(今季2回目)とするに留めた。

情状酌量の理由とされたのは以下の3点だ。

  • ピット出口ラインを通過する0.8秒前に赤信号が点灯したこと
  • 赤旗中断状態であったため、ラップをフィニッシュしてもアドバンテージを得る可能性がゼロであったこと
  • スリックタイヤを履いて濡れたピットレーンを走行していたため、信号に反応したとしても出口ラインを越える可能性があったこと

一方のアロンソは、同じくペレスを原因とする赤旗の最中に、チームがファストレーン内でクルマの修理をしていたとして召喚された。F1競技規定第34条4項はファストレーンでの作業の一切を禁止している。

スチュワードによるとアストンのメカニックは、Q1セッションが再開される前にガレージから出て左前輪がファストレーンに置かれた状態のアロンソ車に対してリアジャッキを使用したという。

スチュワードは本件について、アストンの先の行為の結果、セッションの遅延や他車への妨害が発生したわけではなく、またはこれによってアストンが競技的なアドバンテージを得たわけでもないとしてペナルティを科さない決定を下した。

この「ペナルティを科さない決定」というのはかなりレアだ。これは要するに、違反の事実はあったがペナルティは科さないという意味であり、”お咎めなし”や”不問”といった、よく耳にする裁定とは意味が全く異なる。

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