タイヤを運ぶアルファロメオ・レーシングF1のスタッフ、2020年オーストラリアGPcopyright Alfa Romeo Racing

F1、ウイルス陽性者が出ても中止せずレース続行…教訓を糧に万全対策

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F1は、オーストリアでのシーズン開幕後のイベント期間中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査で陽性者が出たとしても、レースを続行する方針を示した。F1のチェイス・ケアリー最高経営責任者(CEO)が公式サイトの中で明らかにした。

本来、今季の開幕を担う予定であった3月のメルボルンでのイベントは、初日を前にマクラーレンのスタッフが陽性反応を示した事から、1回目のフリー走行開始2時間前という土壇場のタイミングで中止宣言がなされたが、同様の状況が繰り返される事はないという。

F1と国際自動車連盟(FIA)はこれを教訓に、新型肺炎の感染リスクを抑えて安全な状態を維持できるよう80~90ページにも渡るガイドラインを作り上げた。これには移動方法やホテルでの過ごし方、食事やトイレの際の対策などが事細かに記されている。

現地入りする前にはウイルス検査が義務付けられ、イベント期間中も2日毎にテストを受ける。万が一陽性反応者が出た場合に備えてクラスター追跡のための2種類の手段が用意される。改定後の暫定カレンダーに並ぶ6カ国の当局はF1開催計画を支持している。

ケアリーCEOは次のように述べ、オーストラリアGPで発生したのと同様のシナリオに対処するための準備が整っていると主張した。

「感染症の陽性反応が出たとしても、レース中止には至らない。我々は万全の準備を整え、チームに一連の手続きを取るよう促している。そのため、もし隔離の必要がある場合はホテルで隔離し、その個人を交代させることができる」

「幾つかの点については話し合って解決しなければならない。想定される事態は余りにも膨大であるため、その全てを網羅することはできないが、1チームがレース不能の状況に追い込まれたとしても、レースがキャンセルされる事はないだろう」

「ドライバーが感染したとしても、チームはリザーブドライバーを用意している。安全な環境を提供し、あらゆる事態に対応できるだけの手順や専門知識、能力といったものを用意できたとの確信がなければ前に進んだりはしない」

F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンが”生物圏(バイオスフィア)という言葉で既に説明しているように、F1はパドック全体を外部環境から完全に切り離された1つの別世界とすることで、イベントを運営しようとしている。些か分かりにくいこの概念について、ケアリーCEOは次のように補足する。

「多くの点において、チャーター機での移動を始めた時から、バブルの中での生活がスタートする。ホテルまでの交通手段は管理されており、ホテル・トラック間の往復もまた然りだ。そして(チームのバブルとは別個に)、プロセスや保護具、ソーシャルディスタンスの管理など、さまざまな機能を運営する人々のサブバブルがある」

「我々はF1が、常に各個人間で2メートルの距離を確保できないスポーツである事を認識している。車がピットインして4本のタイヤを交換しなければならない時、個人の間の距離は2メートル以下となる。だからこそ、このようなリスクを可能な限り多く管理するために、手順・手続きといったものを確実に整える必要があるのだ」