水しぶきを巻き上げるアルファロメオC42、2022年F1日本GP
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

水しぶき防止のF1ホイールアーチ、試作機失敗…初テストは期待外れの結果に

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水しぶきによる視界不良の改善に向けてシルバーストン・サーキットで行われたホイールアーチの初テストは満足のいく結果が得られなかったようだ。解決すべき課題は多く、実戦投入はまだ先のことになりそうだ。

2017年の幅広タイヤの導入、そして2021年のグランドエフェクトカーの採用により、近年のF1ではウェットレース時の視界不良が問題となっている。高速走行により巻き上げられた水しぶきは前方視界を著しく損ね、事故の危険性を高める。

大量の水しぶきを上げながらサイド・バイ・サイドでターン1に向かうマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年10月9日F1日本GP決勝レース1周目Courtesy Of Red Bull Content Pool

大量の水しぶきを上げながらサイド・バイ・サイドでターン1に向かうマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年10月9日F1日本GP決勝レース1周目

その対策として国際自動車連盟(FIA)はホイールアーチ、またはスプレーガードと呼ばれる自転車の泥除けのような形状のボディーパーツの設計・開発を進めてきた。空気中に放出される水の量を物理的に制限しようというわけだ。

F1イギリスGPの翌週、ホイールアーチの初のテストが行われた。ミック・シューマッハがドライブしたメルセデスの後輪にホイールアーチのプロトタイプが取り付けられ、その後方をオスカー・ピアストリがアーチなしのマクラーレンで走行した。

結果は期待外れだったようだ。F1ハンガリーGPの初日、ホイールアーチの出来について問われたメルセデスのエンジニアリング・ディレクター、アンドリュー・ショブリンは「まだまだやるべきことがある」と述べ、実戦投入には程遠い状態だと説明した。

プロトタイプは水しぶきの飛ぶ方向を分散させるだけで、根本的な解決に至るようなものではなかったようだが、問題はホイールアーチがカバーするタイヤに留まらない。

以前にピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラが指摘したように、アンダーフロアを通って車体後方に放出される空気の流れ、つまりクルマの空力学的な特性が要因の水しぶきも深刻だ。

ショブリンは「タイヤが巻き上げる水しぶきは改善されているが、ディフューザーとリアウイングが引き上げる水しぶきがまだ多い。いずれもかなりの量だ」と付け加えた。

課題山積とは言え、第一歩を踏み出した事の意義は大きい。

マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は「設計作業の多くは特にコンピューター・シミュレーションに基づいて行われる。我々は今回、モデルを検証するための重要なデータをかなり多く集めることができた」と指摘した。

「実地テストを通して、これらのデバイスはずっと装着したままでいられるのか?ピットストップにはどんな影響があるのか?といった事について学ぶことができるだろう」

「これは状況の改善に向けた重要な一歩と言える」

ショブリンは今回の初テストを「興味深い第一歩」と評し、FIA主導の下、今後も協力していく予定だと説明した。

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