F1サウジアラビアGP、2連戦・アブダビに代わる最終戦代打の可能性も…人権問題ではドライバーと議論
12月5日にジェッダ市街地コースで開催が予定されているF1サウジアラビアGPは、カレンダー再編に取り組むF1側からの要請があれば、ダブルヘッダーおよびアブダビGPに代わっての最終戦開催に応じる用意があるとしている。
鈴鹿サーキットでのF1日本GPもさることながら、F1にとっての目下最大の課題はサウジアラビアでのイベント開催の1週間前に予定されていたオーストラリアGPの枠を埋めることにある。メルボルンでのグランプリは2年連続での中止が決まった。
2連戦・アブダビに代わる最終戦代打
F1はパンデミックで翻弄された昨年、カレンダーの空白を埋めるためにバーレーン、オーストリア、イギリスで各々2回のイベント開催した。今季もレッドブル・リンクでのイベントがダブルヘッダーとして執り行われた。
オーストラリアの代替としてはロサイル・インターナショナル・サーキットでのF1カタールGPが取り沙汰されているが、サウジアラビアでの市街地2連戦が組み込まれる可能性もある。
サウジアラビア・モータースポーツ連盟の責任者であるハリド・ビン・スルタン・アル・ファイサル王子はダブルヘッダーについて、現時点ではF1側からの要請はないとする一方、必要があれば「対応できると思う」と述べ開催に前向きな姿勢を示した。複数のメディアが報じた。
なおアラブ首長国連邦は英国の”レッドリスト国”に含まれているため、状況が変わらない限りアブダビ後のF1サーカスは本拠地に戻る際に12月12日のレースから数えて10日間の隔離が必要となる。
アブダビGPを1週間前倒しにしてサウジアラビアGPを最終戦とすればこの問題を解決する事ができるが、ハリド王子はそういった話は一切出ておらずコメントできないとした上で、F1が望むのであれば話し合いに応じるとの意向を示した。
また、本来であればシーズン序盤でのイベントを望んでいたものの、コース設営や準備に時間を要する事から今季は終盤戦としてのスケジュールに至ったとして、2022年はシーズンの早い時期に開催したいとの意向を明らかにすると共に、現地観戦に訪れたイギリスGPに触れ「本当に楽しめた」として来年のスプリント予選開催に強い意欲を示した。
人権問題についてドライバーと議論
ダカールラリーやフォーミュラE選手権を開催するなど、サウジアラビア政府は原油依存からの脱却を目指す経済政策の一環としてエンターテインメントに対する多額の投資を行っておりモータースポーツの招致に積極的だが、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルはこうした取り組みについて、イベントを利用して国際社会にポジティブなイメージを植え付けようとしていると警告している。
同国内では表現や集会の自由が厳しく制限されており、多くの人権活動家や反対派が拘束されて不公正な裁判のもとで重い刑罰や死刑に処されている等として、国際社会から根強い批判を受けている。
史上最も成功したグリッド唯一の黒人ドライバーであるルイス・ハミルトンは、幾つかのF1ホスト国における人権問題に注意を払っており、問題解決への助力を求める複数の手紙を受け取った事を受け、今年初めにはバーレーンの関係者と人権問題について話をしている。
ハリド王子はシルバーストンでのイベント週末に複数のドライバーと人権問題について意見を交わした事を明かし、こうした懸念に対して「率直に話をした」と語った。なおその中にハミルトンは含まれていないという。
また、この問題について議論する事には「何も問題はない」として、話し合いにオープンな姿勢を示すと共に、サポートレースではサウジアラビア人女性ドライバーを参戦させる事を計画しているとも語った。