イスタンブール・パーク・サーキットでアストンマーチンAMR21をドライブするセバスチャン・ベッテル、2021年10月8日F1トルコGPにて
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

FIA、熱伝導保護性能を向上させた新グローブをF1トルコGPでテスト…フリー走行で5名が装着

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ルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテルら5名のドライバーはトルコGPの週末のフリー走行を使い、熱伝導保護性能を向上させた試験モデルのグローブを装着してこれをテスト・評価する。

国際自動車連盟(FIA)のセーフティー部門は昨年末のバーレーンGPで発生したロマン・グロージャンの炎上事故を教訓として、ドライバー用グローブの熱伝導保護性能を向上させるための研究開発を進めてきた。

グローブはドライバーとマシンとの直接結びつける重要パーツであり、安全性の向上と引き換えに操作性が失われる事になればかえって事故の危険が増すだけに、FIAは仕様変更に対して慎重な姿勢で臨んできた。特に昨今のF1マシンのステアリングホイールは所狭しとボタンやダイアルが並べられているだけに尚更だ。

グロージャンは昨年のレースのオープニングラップでクラッシュを喫し、バリアに激突したマシンが炎上した事で一時的にコックピットに閉じ込められ、最終的には無事に脱出する事ができたものの、手に一生消えない大やけどを負った。

今季はインディカー・シリーズへと転向してトップレベルの活躍を見せているものの、グロージャンの左手には今も痛々しい火傷の跡が残っている。

現行スペックのグローブでは同様の火災、つまり30秒近く炎に晒された場合に酷い火傷を負う事は避けられないが、グローブはドライバーが好き勝手に選べるわけではない。

インターナショナル・スポーティング・コードにおいてF1ドライバーは、FIA規格8856-2018に準拠したFIA公認のグローブを着用しなければならないとされている。つまり、FIAが錦の御旗を掲げて開発を推進しなければ安全向上は叶わない。

この新しいグローブは耐火性を向上させると共に、皮膚に対する熱エネルギーの伝達を旧来品よりも遅くする事に成功したものと考えられる。

FIAはトルコGPのスチュワードの許可を得て、イスタンブール・パーク・サーキットでの週末に行われる各フリー走行セッションでの本プロトタイプのテスト許可を取り付けた。

テストを担当するのはルイス・ハミルトン(メルセデス)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、ダニエル・リカルド(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)の5名だ。

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