レッドブル・ホンダRB16とRB15のフロントウイング周りの比較
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レッドブル・ホンダ「RB16」解説:昨季型との比較画像で新型F1マシンを速攻分析

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レッドブル・ホンダの2020年の新車「RB16」が2月12日(水)に正式発表された。搭載されるのはホンダ製F1パワーユニット「RA620H」。レッドブル・レーシングとしては2世代目のホンダエンジン車両であり、ホンダPUに最適化された初のシャシーとなる。

例年通り、空力パーツのディティール隠蔽のために迷彩柄が施されたレンダリングが公開されるものとみられたが、開幕オーストラリアGP仕様とみられる正式なリバリーをまとったRB16の画像がリリースされた。

タイトルに挑戦するレッドブルのチャレンジャーは、昨年と比較してどのような方向性で開発されたのだろうか? ライバルチームのフェラーリやメルセデスに感化されたアイデアはあるのだろうか? 英国シルバーストン・サーキットでのシェイクダウンを終えたマックス・フェルスタッペンは前向きなコメントを残した

レッドブルは空力の鬼才と称される天才的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイが技術チームを率いて、過去10年近くに渡って車両の前後角、いわゆるレーキ角を大きく取るコンセプトをマシン開発の中心に据えてきたが、王者メルセデスとはこれとは対極の姿勢を貫き、レーキ角を抑えたマシンづくりを進めている。

影の部分が潰れているため、補正をかけた昨季型「RB15」と今季型の「RB16」のレンダリングイメージを比較しながら、ミルトン・キーンズの最新作の主な変更点、特徴、ポイントなどを見てみたい。

レッドブル・ホンダRB16

図解:F1マシンのパーツと構造

フロントウイング・ノーズ周り

レッドブル・ホンダRB16のフロントノーズとウイング

ひと際目を目を引くフロントノーズ。ノーズ側面(アストンマーチンのエンブレムの脇)からマシン後方に向けて取り付けられたケープと呼ばれるフィンも目新しい。ノーズの幅は一気に狭まり、メルセデスの如くかなり細身となっている。

レッドブル・ホンダRB16とRB15のフロントウイング周りの比較

開口部が設けられたベントノーズはレッドブル・レーシングが長年に渡って突き詰めているソリューションだが、RB16のノーズ先端には非常に複雑な処理が施されている。開口部に導かれた気流はコックピット前方、ノーズ上面から排出される。

フロントウイング周りの規則変更が行われた昨季、レッドブルは対応に苦慮。序盤にかなりの後退を強いられた。RB16には、ノーズ周りの空力処理によってフロア下に向かう気流を制御しようとの意図が感じられる。

レッドブル・ホンダRB16とRB15のフロントホイール周りの比較

ピトー管Sダクトの排出口周りに大きな変化は見られないが、より突き詰められた造形に変貌している。

レッドブル・ホンダRB16のサスペンション、Sダクト、ノーズフィン、ピトー管周り

サスペンションの詳細については、別アングルのレンダリングが届いてからじっくりと観察したいところだが、フロントのマウント部は低くフェラーリSF1000を想起させる。またその上部には、動物の耳のように飛び出た2つのノーズフィンが確認できる。

コックピット・バージボード周り

レッドブル・ホンダRB16のコックピット、ヘイロー、インダクションポッド、リアビューミラー等

コックピット・インダクションポッド周り。ヘイロー取り付け部の後方に小さなフィンが追加されている。ドライバーの頭上部分にあるエンジン冷却のための空気取入口の形状に大きな違いはないが、内部構造がどうなっているのかまでは、このアングルでは分からない。

レッドブル・ホンダRB16とRB15のコックピット周りの比較

バージボード周りは小型のフィンの数が増やされるなど、より進化、いや深化されているのが確認できる。地面水平方向にマシン後部へと流れるブーメランベインは2重構造で、リアビューミラーのステー周りにも緻密な処理が施されている。

リアエンド・サイドポッド周り

PUのパッケージングに変更が加えられたため、それに合わせてギアボックスを調整。再度ホモロゲーションを取得する。

レッドブル・ホンダRB16のリアウイング

レッドブル・ホンダRB16のリアサスペンション周り

レッドブル・ホンダRB16とRB15のリアエンド比較

リアウイング中央の支柱が1本から2本へと変更された。ウイングの主翼=メインプレーンを下から支えるタイプではないため、剛性確保ではなく空力効率改善のための措置とみられる。翼端板には大きな差は確認できない。

レッドブル・ホンダRB16とRB15のボディーワーク比較

サイドポッドの膨らみが下部に下がり、よりコンパクトな印象を受ける。このあたりの処理は、ホンダ製エンジンの搭載経験を元に最適化を進めた結果なのだろう。ホンダの昨季型エンジンRA619Hは、冷却性能でメルセデスやルノーを遥かに上回るバッファを持ち合わせていた。