RB含む物議の「レッドブル2チーム所有問題」の決着と2026年F1新規定発行日、ドメニカリCEO明かす
2つのF1チームを所有しているレッドブルGmbHを巡りライバルチームが批判の声を上げている問題についてF1のステファノ・ドメニカリCEOは、レッドブルがF1において果たしてきた歴史的な役割の重要性を理由に、現在の運営方法を認める事で合意に至ったと明かした。
存続を可能にしたレッドブルの”歴史的貢献”
レッドブル・レーシングとビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1との関係については伝統的に議論の的となってきたが、2024年シーズンに先立ってはライバルチーム、特にマクラーレンのザク・ブラウンCEOが公平な競争環境が損なわれている等として問題視する発言を繰り返してきた。
ドメニカリによると、4月25日(木)にスイス・ジュネーブで行われた今年2回目となるF1委員会会合の中で2026年発効予定の新たなコンコルド協定についての議論が行われ、これに関連して件の問題についての話し合いが行われた。
コンコルド協定とは、F1チーム、FIA、およびF1の商業権を持つフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)間の法的および商業的協定を指す。コンコルド協定の改定が常に注目されるのは、F1の構造や収益分配に大きな影響を与えるためだ。
この議論の結論はレッドブルにとって朗報となったようで、ドメニカリは伊ガゼッタ・デロ・スポルト紙とのインタビューの中で「レッドブルが2つのチームを所有している点が議題に上がったが、同ブランドがF1の歴史に与えた貢献を考慮し、彼らはこの状態を継続できる事となった」と語った。
ブラウンはF1プレシーズンテストの2日目、今のF1は「予算上限の時代」に突入しており「競技、政治、技術的観点」からグリッドに着く全てのF1チームはお互いに独立した状態でなければならないと訴えた。これに対してレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、レッドブルがF1で2つのチームを所有するに至った経緯をブラウンに説いた。
F1の当時のCEOであるバーニー・エクレストンとマックス・モズレー元FIA会長から、財政的苦境に立たされていたミナルディを買収するよう持ちかけられたレッドブルの共同創業者であるディートリッヒ・マテシッツは2005年、ファエンツァの施設を含めてチームを買収した。
そしてBMWやトヨタ、ホンダが相次いでF1から撤退する契機となった2007年から2008年にかけての世界的金融危機、ならびに新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に際してもマテシッツは、チームを見捨てることなくF1にコミットし続けた。
また、カスタマーカーの禁止に伴い、車体の自社製造が強いられた2010年に際しても莫大な資金を投じてチームを存続させた。
ホーナーはマテシッツのF1に対する貢献を挙げて「F1と2つのチームに対してレッドブルが行ってきた取り組みは傑出したものであって、嘲笑されたり損なわれたりされるべきものではなく、称賛され感謝されるべきものだ」と主張した。
2026年規定発行へ…脱ハイブリッドの可能性も
ドメニカリはまた、2026年の新たなテクニカル・レギュレーションが概ね確定した事を明かし、6月1日に公開されると説明。新しいエアロダイナミック・パッケージに幾つかの新機能が搭載されると説明した。
さらに、1シーズン中の最大グランプリ数を25に制限する一方、スプリントレースのイベント数を増やす計画もあり、これによってレース週末がさらに魅力的になるとも語った。
2026年に導入される次世代パワーユニットはICE(内燃エンジン)にハイブリッドシステムを組み合わせたものとなるが、「個人的には」と前置きした上でドメニカリは、「ファンが求めているように、私はエンジンがより美しく力強いサウンドを奏でる事を望んでいる。持続可能な燃料がゼロエミッションに繋がるのであれば、2030年にハイブリッド・パワーユニットを捨てることも考えられる」と語った。