優勝したレッドブルのマックス・フェルスタッペン-2023年F1カナダGP決勝
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2023 F1カナダGP《決勝》結果/概括:フェルスタッペン、全周制覇でセナに並ぶ41勝!歴代王者が表彰台独占…角田 入賞ならず

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2023年FIA-F1世界選手権第9戦カナダGPの決勝レースが現地6月18日(日)にジル・ビルヌーブ・サーキットで行われ、マックス・フェルスタッペンが70周のレースを全周リードし、故アイルトン・セナに並ぶ通算41勝目を挙げた。角田裕毅(アルファタウリ)は入賞に8.991秒届かず14位に終わった。

ポールからスタートしたフェルスタッペンは鳥をはねてしまう場面がありながらも、他を全く寄せ付けないレース運びでトップチェッカーを受け、カナダ2勝目、4連勝となる今季6勝目を挙げると共に、レッドブル・レーシングに通算100勝目をもたらした。

オープニングラップでルイス・ハミルトン(メルセデス)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年6月18日F1カナダGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

オープニングラップでルイス・ハミルトン(メルセデス)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年6月18日F1カナダGP

ランキング2位の僚友セルジオ・ペレスが予選Q2敗退を経て6位に留まったため、チャンピオンシップのリードを更に拡げて69ポイントとした。ドライバーズ・チャンピオンシップ3連覇は既に殆ど確定的な状況だ。

最前列2番グリッドについたフェルナンド・アロンソはスタートで出遅れポジションを落としたものの、アップグレードされたアストンマーチンAMR23のペースは印象的で、22周目の最終コーナーへのアプローチでルイス・ハミルトン(メルセデス)を交わして2位フィニッシュ。全ての表彰台はF1ワールドチャンピオンで占められた。

ハミルトンはリアブレーキの問題に対処しなければならなかったものの、終盤に向けてファステストラップを記録した。ただ、レッドブルが残り2周というタイミングで、フリーストップを持つペレスにソフトタイヤを履かせ、これを奪い取った。

表彰台に並ぶレッドブルのマックス・フェルスタッペン・アストンマーチンのフェルナンド・アロンソ・メルセデスのルイス・ハミルトン-2023年F1カナダGP決勝Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台に並ぶレッドブルのマックス・フェルスタッペン・アストンマーチンのフェルナンド・アロンソ・メルセデスのルイス・ハミルトン-2023年F1カナダGP決勝

1周4361mのジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台としたレースのフォーメーションラップは気温19℃、路面34℃のドライコンディションで開始された。予選が行われた前日とは異なりウェットになる事はなかった。

ジョージ・ラッセルは、12周目のターン9の立ち上がりでイン側縁石に乗り上げアウト側のバリアに衝突。大量のデブリが飛散し、セーフティーカー(SC)が導入される事態となったが、奇跡的にピットに戻り応急処置を受けるとレースに復帰。ただ、ブレーキに問題を抱えたことで8番手を走行していた55周目にガレージにクルマを入れるメルセデスからの指示が飛び、今季2回目のリタイヤを喫した。

11-12番手からの巻き返しに臨んだフェラーリはチームメイト同士での争いを禁じ、SC導入を機に多くがピットストップに動いた中でステイアウトを選択。この戦略が功を奏し、シャルル・ルクレールが4位、カルロス・サインツが5位と、見事に挽回してみせた。

9番グリッドに着いたアレックス・アルボン(ウィリアムズ)はフェラーリ同様に1ストップ作戦を成功させ、ラッセルを相手にポジションをキープするなど見事なレースを戦い大金星の7位を獲得。Driver of the Day(ドライバー・オブ・ザ・デイ)に選ばれた。8位にはエステバン・オコン(アルピーヌ)が続いた。

ランド・ノリス(マクラーレン)は数々のオーバーテイクを決めるなど際立った活躍を見せたが、SC先導下でのダブルストップの際に、前を行く僚友オスカー・ピアストリとのギャップを広げようと集団から離れたために5秒ペナルティを受け、9位フィニッシュながらも13位に降格となった。

これにより母国レースのランス・ストロール(アストンマーチン)が9位、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が10位に昇格。ポイントを持ち帰った。

最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドが投入された今回、主流となったのは2ストッパーであったが、1ストップを選んだボッタスを含む4台はすべてポイント圏内でフィニッシュした。

予選での走行妨害により3グリッド降格を受け最後列19番グリッドに並んだ角田裕毅はクリーンエアの中での単独走行によって順位を上げるべく、1周目を終えてピットストップに動くアグレッシブな戦略を採った。

SCの際にステイアウトした事でポジションを上げ、34周目の2回目のピットストップまでは14番手を走行。第3スティントでは終始、旧友ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の後方を走り、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)をオーバーテイクしてコース上で順位を上げる場面もあったがトップ10フィニッシュには至らず、10位ボッタスから8.991秒遅れでフィニッシュした。僚友ニック・デ・フリースは17位に終わった。

レース概要

金曜の夕方と土曜の雨により、路面のラバーは全て洗い流された。殆ど全てのクルマがスタートタイヤにミディアムを選んだが、ペレス、ボッタス、ケビン・マグヌッセン(ハース)はハードを、15番グリッドからの入賞を目指すガスリーは唯一ソフトを履いた。

2023年6月18日 F1カナダGP決勝レースのドライバー別スタートタイヤCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年6月18日 F1カナダGP決勝レースのドライバー別スタートタイヤ

オープニングラップではターン1を前にハミルトンがアロンソをオーバーテイク。マグヌッセンはペレスとの接触を避けるために最終シケインでエスケープゾーンに逃れた。

レースは大きなアクシデントなく立ち上がったが、7周目にローガン・サージェント(ウィリアムズ)が「重大」な問題を抱え、チームからの指示を受けターン6でクルマを止めた。バーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入された。

13年ぶりの予選トップ2を経て3グリッド降格の5番グリッドに着いたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は上位勢の中で先陣を切って11周目にピットストップを行った。VF-23にトップ10に留まるだけのペースはなく15位でクルマを降りた。

ラッセルのクラッシュを機にSCが導入されると各車一斉にピットレーンになだれ込んだが、フェラーリ勢、ペレス、マグヌッセン、ボッタスはステイアウトを選択した。

追い抜きが乏しい展開が続く中、13番手を争っていたデ・フリースとマグヌッセンが接触しながらの激しいサイドバイサイドを展開。35周目のターン3への進入の際に、イン側にいたデ・フリースがロックアップしてエスケープに飛び出したため、アウト側のマグヌッセンもターンインできず、2台揃って仲良くコース外で立ち往生する場面があった。

フェルスタッペンにとっては後方に注意を払いながら対処するだけのレースだった。ミルトンが40周目にミディアムに交換すると、アンダーカットを防ぐべくアロンソがその翌周にハードに交換。ラップをリードするフェルスタッペンはそのまた翌周にミディアムに履き替えトップでレースに復帰した。

5秒ペナルティが確定していたノリスはポイントを持ち帰ろうと鬼気迫る走りを披露。残り7周でボッタスを交わして9番手に浮上するとオコンを激しく攻め立て、ファイナルラップの最終シケインで強引に並びかけたが交わすには至らず、必要なギャップを稼ぐことができなかった。

2023年F1第9戦カナダGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 70 1:33:58.348 25
2 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 70 +9.570s 18
3 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 70 +14.168s 15
4 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 70 +18.648s 12
5 55 カルロス・サインツ フェラーリ 70 +21.540s 10
6 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 70 +51.028s 9
7 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 70 +60.813s 6
8 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 70 +61.692s 4
9 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 70 +64.402s 2
10 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 70 +64.432s 1
11 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 70 +65.101s 0
12 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 70 +65.249s 0
13 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 70 +68.363s 0
14 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 70 +73.423s 0
15 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 69 +1 lap 0
16 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 69 +1 lap 0
17 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 69 +1 lap 0
18 21 ニック・デ・フリース アルファタウリ・ホンダRBPT 69 +1 lap 0
NC 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 53 DNF 0
NC 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 6 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温19℃
路面温度34℃
周回数70

セッション概要

グランプリ名 F1カナダGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 ジル・ビルヌーブ・サーキット
設立 1978年
全長 4361m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1カナダGP特集