
キャデラック、F1デビューの狼煙は「スーパーボウル」で。全米1億人超が注目する最強のCM枠でリバリー公開へ
2026年からF1に参戦する11番目のチーム、キャデラックは、そのデビューにふさわしい巨大な舞台を用意した。チームは2026年2月8日に開催される全米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」のCM枠を使い、記念すべき初のF1マシンのカラーリングを世界初公開する。
長いプロセスを経て参戦権を勝ち取ったゼネラル・モーターズ(GM)傘下の高級車ブランドは、F1がアメリカ市場で人気を拡大する流れを背景に、その“出自”を最大限に活かしてファン層へのアピールを図る構えだ。
30秒12億円、規格外のアメリカンスタイル
NFLの頂上決戦スーパーボウルは、昨年の視聴者数が米国テレビ史上最多の1億2770万人を記録したモンスターイベントだ。ハーフタイムショーの視聴者は平均1億3350万人に達し、試合そのものに加えて、合間に流れるCMまでもエンターテインメントとして消費される特異な存在となっている。
その広告枠は熾烈な争奪戦となり、30秒枠の相場は約800万ドル(約12億円)とされる。キャデラックF1のダン・タウリスCEOは、スーパーボウルでの発表の意義をこう語る。
「スーパーボウルは、スポーツ、エンターテインメント、ストーリーテリングが融合するアメリカ文化における稀有な瞬間だ。我々が何者かを示す舞台として、キャデラックF1チームを紹介するこれ以上のチャンスはない」
「我々はアメリカの伝統を誇りに思っている。だからこそ、大胆で革新的で、紛れもなく“我々らしい”方法で登場したかった」
キャデラックのライバルであるフォードと提携するレッドブル・レーシング(およびレーシング・ブルズ)は、1月15日にフォードのお膝元デトロイトで発表会を予定する。これに対してキャデラックは、カリフォルニア州サンタクララで行われるスーパーボウルを選んだ。アメリカ自動車界の二大巨頭によるF1を舞台にした前哨戦はすでに始まっている。
シェイクダウンは1月、ペレス&ボッタスが始動
リバリーのお披露目は2月8日だが、チームの実質的な活動はその前から動き出す。キャデラックは、セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスという経験豊富なドライバーコンビを擁し、1月中に2026年型マシンの初走行を行う計画だ。
スケジュールとしては、1月26日から30日にバルセロナで行われる非公開の合同テストに参加し、その後2月8日にスーパーボウルでCMを放映、そして2月11日から始まるバーレーンでの公式プレシーズンテストに臨むことになる。
過去には「日産の悪夢」も
自動車メーカーがスーパーボウルをモータースポーツ活動のローンチに使うのは、これが初めてではない。記憶に残るのは2015年の日産だ。日産はFIA世界耐久選手権(WEC)に投入するLMP1マシン「GT-R LM Nismo」をスーパーボウルのCMで華々しく発表した。
フロントエンジン・前輪駆動という急進的な設計で注目を集めたが、結果は惨憺たるものだった。3台体制で挑んだル・マン24時間レースは完走扱いにすらできず、プロジェクトはわずか1戦で打ち切られた。
キャデラックにとって今回の“スーパーボウル・デビュー”は吉と出るのか、それとも凶と出るのか。3月のシーズン開幕戦オーストラリアGPで真価が問われることになる。