
キアヌ・リーブスが描く「新F1ドキュメンタリー」始動、2026年参戦に向けたキャデラックの舞台裏に迫る
ゼネラルモーターズ(GM)傘下のキャデラックが、11番目のチームとして2026年にF1世界選手権への参戦を果たすまでの歩みを、ハリウッド俳優キアヌ・リーブスが追う新たなドキュメンタリーシリーズの制作が発表された。
「旅の核心へ」リーブスの視点で描くF1挑戦
ドキュメンタリーは複数のエピソードで構成される見込みで、キャデラックF1チームの創設から、マシン開発、人材獲得、組織構築に至るまで、その舞台裏の全貌にカメラが迫る内容となる。
司会および製作総指揮を務めるのは、映画『マトリックス』や『ジョン・ウィック』シリーズで世界的に知られるリーブスだ。
リーブスは2023年に、エミー賞を受賞したドキュメンタリー『Brawn: The Impossible Formula 1 Story』でもホストを務めており、再びF1の世界へとカメラを向けることになる。同作は、資金難にあえぎながらも奇跡的に2009年のF1を制したブラウンGPの軌跡を描き、話題を呼んだ。
Courtesy Of Disney
2023年後半にディズニープラスより配信予定のキアヌ・リーブス出演映画「Brawn The Impossible Formula 1 Story」のカット
リーブスは、「キャデラックF1チームの驚くべきストーリーと、F1への信じられない旅を語る一員になれたことを本当に光栄に思っている。このシリーズの目標は、視聴者をこの旅の核心へと導き、F1という極めて排他的なスポーツに参戦するまでの道のりに真に迫ることだ」と語っている。
制作はリーブスの制作会社KR&SH Productionsと、英国の老舗制作会社North Oneが共同で手掛ける。制作陣には『Brawn』を手がけたサイモン・ハマースン、英国アカデミー賞(BAFTA)を3度受賞しているニール・ダンカンソンが名を連ねる。
本作は、キャデラックF1チームの初参戦を前に放送される予定だ。
米国チームが挑む欧州中心のF1構造
F1はその成り立ちを背景に、長らく欧州勢が支配してきたカテゴリーであり、新たに誕生するアメリカンチームがこの構造にどう切り込んでいくのかは、近年急速に高まる北米市場でのF1人気を背景に、非常に大きな注目を集めている。
このドキュメンタリーでは、「欧州 vs アメリカ」という構図の中で、キャデラックが直面する障壁と、それを乗り越える姿も描かれる見通しだ。
Courtesy Of General Motors
GM傘下のキャデラックのロゴが掲げられたF1マシンのレンダリングイメージ
初戦まで250日―英国と米国で進む準備
キャデラックF1チームのデビュー戦は2026年3月のオーストラリアGPに予定されており、現在チームはその日に向けて開発と体制構築を急ピッチで進めている。
チームはイギリス・シルバーストンとアメリカ国内の2拠点体制を敷き、必要とされる600名のスタッフのうち、すでに400名を確保済みだという。
TWGモータースポーツおよびキャデラックF1チームのCEOダン・トーリスは「これは大胆な野心と執念の物語だ。レースへの深い情熱と知識を持つキアヌと仕事ができること、そしてGMとこの素晴らしい物語を共に紡ぐことを誇りに思っている」と述べた。
さらに、「F1に新たな世代のファンを迎え入れる絶好の機会だ。キアヌの創造力は、その旅路に火をつける完璧な火種になる」と、ドキュメンタリーの広報的効果にも期待を寄せた。