これが最後のバッシング?アロンソ「ホンダPUパワー無さ過ぎ、来年のトロ・ロッソが可哀想」…それ本当?
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世界中のレースファンの注目を集め2015年にフォーミュラ1に復活したマクラーレン・ホンダ、F1史に刻まれた伝説の名を持つチームが走るレースも残すところ最終アブダビGPの1戦のみ。サンパウロ現地12日(日)のブラジルGPを終えたばかりのフェルナンド・アロンソは、ここに来てまたもホンダを批判した。
レーズ後の囲み取材に応じたアロンソは「マシンはファンタスティックだったけど、エンジンパワーの無さはにはビビったよ。メキシコでもそうだったけどさ。最終コーナーでフェリペに近づくんだけど、DRSを使ってもストレートで引き離されちゃうんだからね。パワー不足は来年のトロ・ロッソにとって大きな懸念材料になるんじゃないかな」とコメント。
時折ニヤけた表情を見せながら来シーズンのライバルに助言、心配する素振りをみせた。2018年からマクラーレンはルノーと、トロ・ロッソはホンダとパートナーシップを組む事が決定しており、両者はエンジン供給メーカーを交換する形となる。”マクラーレン製シャシー=速い”、”ホンダ製エンジン=遅い”の2項対立批判はアロンソの十八番として知られる。
6周目にウィリアムズのフェリペ・マッサにポジションを奪われて以降の65周の間(ブラジルGPは全71周)、アロンソは度々マッサの真後ろにつけながらも追い抜くことが出来ず、そのままチェッカーフラッグを受けた。アンダーカットによるポジション奪取の機会があったものの、チームはマッサのピットストップ先行を許した挙句に作業時間でコンマ6秒を失った。優勝を口にするチームとは思えないほどにマクラーレンのピット作業は遅い。
© HONDA / アロンソはこの後マッサに追い抜かれてしまう
スピードトラップはアロンソが全体で6番目に速い325.3km/h、対するマッサは9番目の323.1km/hとアロンソが僅かに速い。フィニッシュラインでのスピードは、アロンソの329.7km/h(15番手)に対してマッサは323.9km/h(17番手)とこちらもアロンソが上回る。ホンダPUの高速域の伸びに改善の余地があるのは疑いないが、ブラジルでのレースに関して言えば、マッサをオーバーテイクできなかったのは両者の最高速が接近していた事が一因だ。パワーが無いためにオーバーテイクできなかったのは事実だが、パワー不足だけが問題なわけではない。
空気抵抗は速度の自乗に比例するため、ダウンフォースのつけすぎ等の理由によってドラッグが大きく増加したマシンは、速度が上がれば上がるほど加速の伸びが著しく悪化する。メルセデスPUを使うマッサの最高速が伸び悩んだのは、マシンにトラックポジション重視の高ダウンフォースセッティングを施していた事が大きい。
「こんなパワー不足でレースするのは人生初」「ホンダでなければ楽勝でフロントロー」アロンソはこれまで幾度となくホンダエンジンについて不満を漏らしてきたが、マクラーレン・ホンダ解体が発表されたシンガポールGP以降は過激な批判は影を潜めていた。
向上する車体に大いに満足したアロンソは「ルノーエンジンになる来年が待ちきれない。彼らはここ20年近く最高のエンジンを作り上げタイトルを獲得してきた。来年は自信あるよ」と付け加えた。だが、当のルノーエンジンは信頼性不足からエンジン出力を抑えるレースを強いられており、許容を超えたエンジン故障に対してトロ・ロッソと場外乱闘を繰り広げている。3度目のワールドチャンピオンを目指すベテランドライバーの先行きがバラ色となるかは不透明だ。