2018年F1ベルギーGP決勝レース1周目のターン1でのクラッシュの様子
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トロロッソ・ホンダ、苦手のスパを攻略し2戦連続のポイント獲得!F1ベルギーGP《決勝》サマリー

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トロロッソ・ホンダは後半戦一発目のベルギーGPで、パワーハングリーな高速サーキット、スパ・フランコルシャンを攻略。事前の苦戦予想を覆し、ピエール・ガスリーがトップと同一周回で9位入賞を果たし、2戦連続でポイントを持ち帰った。

8月16日(日)、第13戦ベルギーGP決勝レースが現地午後3時10分よりスタートした。スパは朝から気温が低い天候だったものの青空が広がり、スタート時には気温17℃、路面温度29℃のドライコンディションに恵まれた。

レッドブル・トロロッソ・ホンダの2台は、ピエール・ガスリーが5列目10番手、ブレンドン・ハートレーが6列目11番手のグリッドを獲得。ガスリーはスーパーソフトタイヤ、ハートレーはソフトタイヤでそれぞれ44周のレースに挑んだ。

15時10分にフォーメーションラップがスタート。戦いの火蓋が切って落とされた。スタート直後の第1コーナーで多重クラッシュが発生。序盤早々からセーフティカーが導入され、計4台がリタイヤする波乱の幕開けとなった。アクシデントを無事にかわした2台はガスリーが8番手、ハートレーが12番手にポジションを上げた。

レースは4周目に再開。ハートレーは6周目に後続に先行を許し13番手に後退。7周目には後方から追い上げるメルセデスのバルテリ・ボッタスにポジションを明け渡し14番手に下がった。18周目にはガスリーがボッタスに追い抜かれ9番手に後退した。

レース中盤、各車ピットストップのタイミングを迎えた25周終了時点でガスリーがピットイン。ソフトタイヤに履き替え10番手でコースに復帰した。ガスリーは27周目に9番手に浮上。ペースを維持しながら周回を重ね、9番手をキープしたままチェッカーを受けた。ガスリーの入賞をサポートするためタイヤ交換を引き延ばしたハートレーは、10番手を走行していた32周目にピットイン。スーパーソフトタイヤに交換し、14位完走を果たした。

囲み取材に応じたガスリーは「ホンダは本当に素晴らしい仕事をした」と述べ、不得意なコースで信頼性を確保し安定したパフォーマンスを発揮したエンジンサプライヤーの仕事ぶりを称賛した。

トロロッソ・ホンダ:F1ベルギーGP決勝を終えて

ピエール・ガスリー決勝: 9位, グリッド: 10番手

今日はポイントを獲得できて本当にうれしいよ!僕らのマシンと相性の悪いコースでのレースだったから難しい週末になると思ってたのに、2ポイント獲得できるなんて凄く前向きなリザルトさ。

正直に言えば、僕のレースはかなり単調だったんだ。10番グリッドからスタートした後、ターン1のイン側からダニエル(リカルド)とキミ(ライコネン)をオーバーテイクして8番手にポジションを上げる事ができた。その後、数周でバルテリ(ボッタス)に追いつかれて抜かれちゃったけど、防ぎようがないのは分かってたから、あまり気にしないで出来る限り攻め続ける事に専念した。

その結果、最終的に9位でフィニッシュできたから本当に満足さ。週末を通してマシンの感触はずっと良かったし、ホンダは本当に素晴らしい仕事をしれくれた。今週末はパッケージの性能を最大限に引き出せたと思う。数日後に控えたモンツァでも同じ様に頑張るよ。

データ的に言えば次のイタリアGPも僕らのマシンが得意とするタイプのサーキットじゃないけど、トロロッソにとっての母国グランプリだし、出来る限り良い成績が残せるようにベストを尽くすつもりだよ。

ブレンドン・ハートレー決勝: 14位, グリッド: 11番手

今日のレース展開は満足できるものじゃなかった。コース上で何度か良いバトルができたけど、決して楽じゃなかったしね。

1周目のターン1の出口に差し掛かった時、僕はダニエルの右後ろにいたんだけど、彼がキミ(ライコネン)と接触してウイングを失った事で前を塞がれてしまい、オー・ルージュの手前で2台のウィリアムズとザウバーの1台に抜かれてしまったんだ。混乱に巻き込まれる形でポジションを失ってしまい、レース開始早々に早くも厳しい状況に置かれてしまった。

僕の入賞のチャンスが無くなってしまうのは分かってたけど、もう1台のマシンのポイント獲得を確実なものにするため第一スティントをかなり長く引っ張ったんだ。ピエールのマシンとは異なる戦略を採用し、硬い方のコンパウンドでレースをスタートしたから、スタート直後のターン1で不利な立場に置かれるリスクは分かってたさ。でも戦略を分けるっていう事はそういう事なんだよ。次のモンツァが連続開催で良かったよ。落ち込んでる暇がないからね。

フランツ・トストチーム代表

スパ・フランコルシャンは我々のマシンと相性が悪いサーキットだから、難しい週末になることを覚悟していた。それだけに、ピエールが9位でフィニッシュしポイントを獲得できとても満足している。昨日の予選でも11番手、12番手とまずまずの結果を残せていたしね。

レース序盤、オープニングラップのターン1で起きたアクシデントに巻き込まれず、2台ともが無傷で切り抜けることができたのは運が良かった。クラッシュに巻き込まれた他のドライバー達にもケガがなく本当に良かった。ピエールはスタートからチェッカーフラッグを受けるまで一貫して素晴らしい走りを見せ、見事なレースをしてくれた。終始スピードをコントロールしながらタイヤを上手くマネージメントするなど、9位入賞にふさわしい戦いぶりだった。

ピットウォールに立つフランツ・トスト代表、2018年F1中国GP決勝
© Getty Images / Red Bull Content Pool、ピットウォールに立つフランツ・トスト代表

ブレンドンに関しては、レース序盤のアクシデントの影響で幾つかポジションを失ってしまい運に見放された部分があった。今日のレースはブレンドンがソフト、ピエールはスーパーソフトでスタートし、それぞれ異なるタイヤ戦略を採用した。スーパーソフトが期待以上に良く機能してくれたおかげで、ピエールのピットインのタイミングを引き延ばすことができ、トラブルに見舞われることもなく無事に完走を果たす事ができた。

今日獲得した2ポイントは、コンストラクターズ争いにおいて非常に大きな意味を持っている。次戦は我々スクーデリア・トロロッソの母国イタリアでのレースだ!

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

スパ・フランコルシャンは我々のマシン特性に適したコースとは言えず、厳しい戦いになることを予想してレースに臨みました。それだけに、この高速サーキットで2ポイントを獲得できたことは喜ぶべき結果だと思っています。

ピエールは終始、非常にすばらしい走りを見せて入賞圏内をキープしてくれましたし、ポイントには届かなかったもののブレンドンも何度かオーバーテイクを決めるなど、ライバルと良いバトルを見せてくれました。今回のポイントはチーム全員で獲得したものだと思っています。

パワーユニットに関しては、週末を通してノートラブルで可動し続け、安定したパフォーマンスを継続する事ができました。次戦イタリアGPのモンツァ・サーキットもエンジンに厳しいコースとなりましすが、トロロッソのホームレースですし、良いレースができればと考えています。


決勝はオープニングラップで4台が絡む連鎖的なクラッシュ事故が発生。計5台がリタイヤを喫する波乱のレースとなった。優勝はフェラーリのセバスチャン・ベッテル。2番グリッドからポールシッターのルイス・ハミルトンを抜き去り今季5勝目。ハミルトンは2位でチェッカーを受けた。3位表彰台にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが滑り込んだ。

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