レッドブル、燃料問題でWリタイヤ! フェラーリが3年ぶり1-2!角田裕毅は逆転入賞 / F1バーレーンGP《決勝》結果とダイジェスト

2022年F1バーレーンGP決勝スタート直後の様子、2022年3月20日バーレーン・インターナショナル・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

グランドエフェクトカーが導入された新時代のF1は、レッドブル勢のWリタイヤを経てフェラーリが3年ぶりの1-2フィニッシュを飾る劇的な幕開けとなった。

2022シーズンのFIA-F1世界選手権 第1戦バーレーンGP決勝が3月20日に行われ、シャルル・ルクレールがポール・トゥ・ウイン。僚友カルロス・サインツが2位でチェッカーを受け、フェラーリが2019年シンガポール以来、表彰台の頂きを独占した。

2-4グリッドについたレッドブル勢はレースを通して終始、マックス・フェルスタッペンが2番手、セルジオ・ペレスが3番手を走行していたものの、残り3周でフェルスタッペンがスローダウン。動力を失い、惰性でピットへと吸い込まれていった。

更に最終ラップには「エンジンを失った」との悲痛な叫び声とともに、今度はペレスがターン1でスピン。2台揃って立て続けにトラブルに見舞われリタイヤを余儀なくされた。

チームは即座に両者とも「燃料ポンプのトラブルが疑われる」と発表したが、1週間後のサウジアラビアGPに向けてマシンを分解して詳細な調査を行い、ライン内が真空状態となりエンジンへの燃料供給が滞ったためだと説明した。

この劇的なドラマの直前には、スクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリー駆るAT03のリアから炎が上がり、本大会唯一のセーフティーカーが導入されるハプニングがあった。

結局、ホンダが開発・製造・組み立てを行う”レッドブル・パワートレインズ”のバッジネームが与えられたパワーユニットを搭載するマシンの中で生き残ったのは角田裕毅のみ。2年目のF1シーズンを迎えた日本人ドライバーは16番グリッドからの8位逆転入賞を飾った。

レッドブル勢の悪夢で表彰台を掴んだのはメルセデスだった。週末を通してポーパシングに苦しみ、レースペースも奮わなかったものの、着実にレースを走り切ったルイス・ハミルトンが3位ポディウムに上がり、ジョージ・ラッセルが4位に続いた。

“ベスト・オブ・レスト”の5位は電撃復帰のケビン・マグヌッセン。20号車ハースVF-22はアルファロメオのバルテリ・ボッタスを6位に、アルピーヌのエステバン・オコンを7位に抑えて堂々のチェッカーフラッグを受けた。

ただしマグヌッセンのチームメイト、ミック・シューマッハは全車唯一の2ストッパーにチャレンジしたものの11位と、惜しくも入賞圏外に届かなかった。

9位はフェルナンド・アロンソ。10位には史上初の中国人F1ドライバーとなった周冠宇が滑り込み、デビュー戦ポイント獲得の見事な仕事をやってのけた。

負け組はアストンマーチン、ウィリアムズ、そしてマクラーレンの3チームだった。

コースとタイヤ

第1戦の舞台はプレシーズンテストの舞台にもなったバーレーン・インターナショナル・サーキット。ヘルマン・ティルケが設計した4本のストレートを持つストップ・アンド・ゴー型のコースで、イギリスから輸入した花崗岩が使われた路面は粗く、タイヤへの攻撃性が高い。

公式タイヤサプライヤーのピレリは例年通り、最も硬いレンジのC1からC3までのコンパウンドを持ちこんだ。

今季はQ2スタートタイヤ規定が撤廃された。14番手のランド・ノリス、18番手のダニエル・リカルドのマクラーレン勢を除く全車がソフトをスタートタイヤに選択した。

レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務がある。予想以上にデグラデーションが高かった事もあり、シューマッハを除く全車が3ストップ戦略を採用した。

レース概要

決勝は日本時間20日(日)24時にブラックアウトを迎え、1周5412mのコースを57周する事で争われた。DRSゾーンは3箇所。現地サクヒールは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温24.1℃、路面29.6℃、湿度23%、気圧1010.2hPaのドライコンディションで開始された。

オープニングラップではルクレールがホールショットを奪い、優勝に向けて力強い一歩を踏み出した。4番グリッドのペレスはターン1の立ち上がりでリアを滑らせハミルトンとマグヌッセンにポジションを許したものの、10周目のターン4でハミルトンを交わし4番手を取り戻した。

シューマッハとオコンはターン6で軽く接触。スチュワードはオコンに非があるとして5秒ペナルティを科す裁定を下した。

1周目を終えて角田裕毅は4ポジションアップの12番手。ガスリーも2つポジションを上げて8番手に浮上した。逆にノリスは4ポジションダウンの17番手、ボッタスに至っては8ポジションを失い14番手にまで後退した。

次世代マシンは先代よりも明らかに前走車への接近が可能で、コース上の至る所でバトルが繰り広げられたものの、DRSの効果はやや低下したようで、必ずしも追い抜きそのものは容易ではなかった。オーバーヒートやタイヤのマネジメントといった全力プッシュを妨げる要因があった事もこれに拍車をかけた。

各車が様子を見ながらレースを組み立てていく中、ピットストップで先陣を切ったのはハミルトンだった。メルセデスは5番手を走行していた12周目にピットに呼び、ハードタイヤを履かせてコースに送り出した。アロンソも同じタイミングでミディアムタイヤに交換した。

2番手を走行していたフェルスタッペンは3番手のサインツとともに15周目にソフトにチェンジ。フェラーリ陣営はアンダーカットを防ぐべく、ラップリーダーのルクレールを翌周にピットインさせ、ミディアムを履かせてフェルスタッペンの鼻先ひとつ前でコースに送り出した。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

フェラーリのシャルル・ルクレールとバトルするレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年3月20日F1バーレーンGP決勝レースにて

これをチャンスを捉えたフェルスタッペンは翌周のターン1で先頭を奪取。だが直後のターン4でルクレールが抜き返した。フェルスタッペンは更に翌周のターン1でもオーバーテイクを決めたが、ルクレールが再びターン4で抜き返した。

タイヤは予想以上に保たず、ハミルトンは履き替えたばかりのハードタイヤを早々に切り捨て27周目にミディアムに交換。ソフト、ミディアムと繋いだアロンソも26周目にハードに履き替えた。

流れが3ストッパーに傾く中、フェルスタッペンは30周目にミディアムに交換。フェラーリは再びカウンターを打ち、ルクレールにミディアムを履かせた。

フェルスタッペンはペースが上がらず、ルクレールとのギャップは5秒にまで拡大。レッドブルは43周目に2台をWストップさせ、それぞれにソフトタイヤを履かせてコースに送り出した。対するフェラーリはサインツのみをピットに入れた。

するとその直後の46周目にガスリー駆るAT03のリアから炎が上がり、セーフティーカーが導入された。ルクレールはこのタイミングでピットイン。ソフトを履いて最終盤のスプリントに備えた。

SC先導下でフェルスタッペンはステアリングが重いと無線で報告。直前のタイヤ交換でジャッキから下ろされた際にトラックロッドを破損した事が原因で、ステアリングの動きに対してクルマの反応が遅れる厳しい状況に追い込まれた。

全車間のギャップがゼロにリセットされ、レースは残り6周で再開された。ルクレールは上手くフェルスタッペンの振り切りトップをキープ。角田裕毅はシューマッハを抜いて10番手、ポイント圏内に浮上した。

サインツはトラブルを抱えるフェルスタッペンを見逃さず、54周目にこれを抜き去り2番手に浮上。フェラーリが1-2体制築いた直後、33号車RB18はスローダウンし、惰性でピットへと吸い込まれていった。

レッドブルの悪夢は終わらない。今度は表彰台圏内3番手を走っていたペレスが最終ラップのターン1でスピン。パワーを失ってクルマを降りた。

2022年F1第1戦バーレーンGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 1:37:33.584 26
2 55 カルロス・サインツ フェラーリ 57 +5.598s 18
3 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 57 +9.675s 15
4 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +11.211s 12
5 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 57 +14.754s 10
6 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 57 +16.119s 8
7 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 57 +19.423s 6
8 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 57 +20.386s 4
9 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 57 +22.390s 2
10 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 57 +23.064s 1
11 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 57 +32.574s 0
12 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 57 +45.873s 0
13 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +53.932s 0
14 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 57 +54.975s 0
15 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 57 +56.335s 0
16 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 57 +61.795s 0
17 27 ニコ・ヒュルケンベルグ アストンマーチン・メルセデス 57 +63.829s 0
18 11 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 56 DNF 0
19 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 54 DNF 0
NC 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 44 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温24.1℃
路面温度29.6℃

セッション概要

グランプリ名 F1バーレーンGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 バーレーン・インターナショナル・サーキット
設立 2004年
全長 5412m
コーナー数 15
周回方向 時計回り

F1バーレーンGP特集

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