メルセデスはもはや”トップ3”に非ず、とハミルトン…美点皆無の「最悪」レース
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3月5日(日)のF1第1戦バーレーンGP決勝レースを5位で終えたルイス・ハミルトンは、メルセデスは今や3強チームの一角としてのステータスを失ったと主張した。
コンストラクターズ選手権においてV6時代初の敗北を喫した昨年を経てなおメルセデスは、タイトル争い復帰を目標に2023年型F1マシン「W14」に先代採用の”ゼロ・サイドポッド”を継承した。
だが、2023年シーズンの初戦バーレーンでは、週末を通してレッドブル、フェラーリ、アストンに遅れを取り、予選ではハミルトン、ジョージ・ラッセル共々トップ5圏外に沈んだ。
シルバーアローは通常、シングルランよりロングランのペースが良い傾向にあるため、決勝での巻き返しが期待されたが、目の前に広がったのはアストン駆るフェルナンド・アロンソに良いようにやられるメルセデスの姿だった。
アロンソが僚友ランス・ストロールに衝突された事でメルセデスの2台は1周目に5-6番手に浮上したものの、ジョージ・ラッセルは13周目に、ハミルトンは残り19周のターン10で虚を付かれ、各々アロンソにオーバーテイクを許した。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)がテクニカル・トラブルでリタイヤしたためハミルトンは5位フィニッシュと、何とか面目を保ったが、ラッセルは両手首と足の親指を骨折しているランス・ストロール(アストンマーチン)に6位を許し、2ポジションダウンの7位でレースを終えた。
レースを終えたハミルトンは「今日はベストを尽くしたけど、バトルしていたフェラーリやアストンはただただ、僕らより速かった。今や僕らは4番目のチームだ」と述べ、メルセデスは3強から陥落したとの認識を示した。
「フェルナンドとアストンマーチンのチーム全員に心からお祝いを言いたい。素晴らしい仕事だった。ほんの一瞬だったけど楽しいバトルができた。でも彼はあまりにも速すぎた」
アロンソにポジションを奪われたハミルトンは終盤に向け、3秒前方を走行していたデグに苦しむカルロス・サインツ(フェラーリ)に照準を合わせ、残り17周でDRS圏内に入りロックオンするも「踏ん張りきれず」仕留める事はできなかった。
チーム代表のトト・ウォルフは決勝を振り返り「レースという点で最悪の1日の一つだった。全くもって良いところがなかった」と厳しい評価を下した。
「フロントにしろ右にしろ、中央にしろペースが足りていない。アストンマーチンは本当に速く、レッドブルに至っては別の惑星にいるようだ」
現在のクルマの問題点についてハミルトンは「ダウンフォースがあまりも足りていない。前後にもっと追加しないと。やるべき仕事が山積みだ」と指摘した。
「努力を続けるほかにない。求める場所に達していないんだから」
ラッセルは「シーズン後半、あるいは来シーズンを戦うチャンスを得るために、今シーズンの幾つかのレースを犠牲にしなきゃならないなら、そうするしかない」と付け加えた。
悲惨な状況ではあるものの、現行のサイドポッドを改定するアップグレードが計画されている事と、ラッセル曰く「ダウンフォースが不足していることを除けば、クルマに根本的な問題がない」事は前向きな材料と言える。
2023年F1第1戦バーレーンGPの決勝レースはマックス・フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを果たし、2位にセルジオ・ペレスが続いた事でレッドブルが1-2フィニッシュを飾り、3位表彰台にフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が滑り込む結果となった。
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