初のバクーに挑む角田裕毅、技術面では依然”かなり困難”と認める一方で「モナコよりは…」
アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は、依然としてドライビングやセットアップ等の技術面において「かなり困難な」状況にあり「まだ結果を残せていない」と認める一方、第6戦アゼルバイジャンGPの週末は前戦より前向きなものになるはずだと期待している。
コース上での走行時間を最大化する事が何よりも重要であったモンテカルロ市街地コースでの週末、角田裕毅は初日午後のセッションでプールサイド・シケイン出口のバリアに激突。早々にセッションを切り上げる事となった。
角田裕毅はこの事故について「モナコでは決勝に向けて出来る限り多くの周回数を重ねる計画であっただけに、クラッシュは週末を通しての一番のマイナス面でした」と認めた。また、クラッシュによって自信を喪失する事はなかったとしながらも、全開で攻めるという点では「最後の一握りの自信が非常に重要」であったとして、予選への影響があった可能性に言及した。
土曜のグリッド争いでは、15番手通過を果たしたセバスチャン・ベッテルに1000分の18秒届かず16番手でQ1敗退を喫し、決勝ではスタートタイヤにハードを選ぶギャンブルに出たものの、これが裏目となったか、開始直後に2ポジションを落とし、最終16位完走という結果に終わった。
僚友ピエール・ガスリーが4戦連続入賞を果す中で4戦連続ノーポイントに終わった角田裕毅。ただ本人としては一定の満足感を得たようで「FP2のあの瞬間までは本当に楽しめていましたし、モナコでの初めてのレースは素晴らしい経験となりました」と振り返った。
アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地コースもまた、モンテカルロと同じ様に日本人ルーキーにとっての初走行のサーキットだが、過去5レースを通して徐々にF1やチーム、クルマに慣れてきた事もあり、角田裕毅は前戦モナコより前向きな週末が過ごせるはずだと期待している。
「バクーでの走行経験はありませんが、モナコで得た教訓を活かせると思います。同じストリート・サーキットですので」と角田裕毅は語る。
「 全体として、これまでの5戦を終えてF1での週末に慣れてきたと感じています。驚くような事も少なくなり、自分でレースウィーク全体をコントロールできるようになってきました。木曜日のメディア対応など、最初の頃は驚き、エネルギーを大量に使っていた事にも慣れてきましたし、この点はポジティブだと思います」
「マインドセット的には問題ありませんし、体調も良いですし、物事は正しい方向に進んでいます。まだプレッシャーはありますが、F1ドライバーである事、そして新しいコースで直面する新しいチャレンジを楽しんでいます」
アルファタウリはアゼルバイジャンGPに向けて、角田裕毅にシミュレーターのステアリングを握らせ、可能な限り事前準備を整えさせた。
角田裕毅は「今週末のバクーは走行した事のないコースですが、もちろんシミュレーターでは走っています」と続ける。
「ほとんどのコーナーが90度で、かつ同じような速度域ですので、この点は興味深いですね。ここも同じストリートサーキットですが、モナコよりは少し馴染みやすいかもしれませんので、より良い状況になる事を願っています」
「今回も可能な限り多くの周回をこなし、練習走行と予選では壁に近づきすぎないようにすることが最大の目標です。モナコで得た経験と知見をアゼルバイジャンで活かしていきたいと思います」
角田裕毅は経験を積み重ねる事で徐々に自信を深めてきたとする一方、「まだ5レースしか走っていない事を思えば普通の事」としながらも「テクニカルな部分においては、特にクルマのセットアップに少し苦労している事もあり、依然としてかなり困難な状況にあります」と認める。
ただ、重要な事は「クルマについて多くを学んでいる点」であるとして、開幕戦からのクルマの進化の程度についても「満足している」と強調する。
「確かに今はまだ結果を残せていませんが、急な学習曲線の途中段階ですし、エンジニアとの対話にできるだけ多くの時間を費やして、より多くのことを学んでいます」
「こうした取り組みが、シーズンを通しての僕自身の継続的な進歩に繋がる事を願っています」
アゼルバイジャンGPの舞台となるのは1周6003m、全20コーナーを有するバクー市街地コース。これまでに記録された最高速が370kmを超えるなど、世界最速のストリートサーキットとして知られる。
ドライコンディションとなった2019年の前回大会では、バクーを特異とするバルテリ・ボッタスがポール・トゥ・ウインを果たして僚友ルイス・ハミルトンを2位に抑えた。3位はセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)という結果だった。
F1アゼルバイジャンGPは、日本時間6月4日(金)17時30分からのフリー走行1で幕を開ける。