メルセデスのトト・ウォルフ代表、2021年5月23日F1モナコGPにて
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第6戦バクーでレッドブルが「フレキシブルウイング」を使用すれば裁判沙汰も辞さない、とメルセデス

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メルセデスは次戦アゼルバイジャンGPでレッドブル・ホンダを含むライバルチームがフレキシブル・リアウイングを使用した場合、FIA国際控訴審判所への提訴も辞さない構えを示している。

”ベンディ・ウイング”騒動を受け、国際自動車連盟(FIA)は技術指令書を発行する事でフレキシブル・ウイングの規制に介入する事を決めた。現時点ではレッドブル・ホンダ、フェラーリ、アルファロメオ、アルピーヌの各チームが高速走行下で”たわむ”ウイングを使用している事を認めている。

統括団体はチーム側に対処の時間を与えるため、監視体制の厳格化を即時ではなく来月中旬以降から開始すると通達した。つまりバクー市街地サーキットで開催されるアゼルバイジャンまでは、合法か非合法かはさておき、このウイングを使用する事が可能というわけだ。

しかしながらルイス・ハミルトンが7位、ホイールナットが”ナメ”るという惨事に見舞われたバルテリ・ボッタスがリタイヤと、モナコGPで大敗を喫したメルセデスのトト・ウォルフ代表は、レッドブルがバクーの週末に例のウイングを使用した場合、スチュワードに相談を持ちかけると主張。更に、スチュワードの行動に納得できない場合は、一件を国際控訴審判所に持ち込む事になると警告した。

テクニカルディレクターのジェームス・アリソンは、仮にライバルがバクーでフレキシブルウイングを使用した場合、抗議を検討するつもりかと問われると「私は何も言うつもりはない」と返す一方、6月4~6日に開催されるバクーでのライバル達のマシンに目を光らせるつもりだと述べ、異議申立の可能性を匂わせた。

なおレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、メルセデスも同じ様に”たわむ”パーツを使用しているとして、フロントウイングも規制強化の対象に加えるべきだと訴えているが、トト・ウォルフはメルセデスW12とレッドブルRB16Bのフロントウイングのたわみは同程度と分析。仮にレッドブルが抗議行動に出れば、自分達の首を締める結果になるだけだとして軽視する姿勢を示した。

フレキシブル・リアウイングは、主としてストレート区間での高速走行の際に、気流を利用して意図的にウイングを寝かせる事で空気抵抗を低減し、トップスピードを引き上げる効果がある。

バクー市街地サーキットは最高速度が370km/hを超える世界最速のストリートサーキットで、ターン19からターン1までは約2.19kmもある超ロング・ストレートとなっており、フレキシブ・リアウイングの効果が大きく表れるものとみられる。実際アリソンは「特に効果的なコースであることは間違いない」と指摘する。

新規制導入のタイミングに不満を訴えているのはメルセデスだけではない。マクラーレンのアドレアス・ザイドル代表も強い反対の姿勢を示している。

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