メルセデスW12はバクーとの相性が悪く、 F1アゼルバイジャンGPはレッドブル・ホンダ優位?
メルセデスAMGペトロナスF1チームのトト・ウォルフ代表は、今季型W12とバクー市街地コースとの相性が悪いと考えており、第6戦の週末がレッドブル・ホンダやフェラーリ、マクラーレンとの一進一退の攻防になると予想している。
バクー市街地コースはしばしば「半モナコ、半モンツァ」と称される。ツイスティな旧市街区間はモンテカルロの街並みに似た雰囲気があり、ロングストレートとビッグブレーキングがイタリアのグランプリ会場を彷彿とさせるためだ。
そんなバクーでメルセデスは、2016年の初開催から数えて過去4回のグランプリで3勝、3ポールポジションを獲得するなど、この変則的なストリートコースで強さを発揮してきたが、第6戦アゼルバイジャンGPを前にトト・ウォルフは次のように述べ、前戦モナコに続く苦戦への懸念を口にした。
「次のバクーはモナコとは全く異なるストリートサーキットだが、W12が持つ特性や特徴との相性があまり良くないため、我々にとって再びトリッキーな週末になると予想している」
「レッドブルは今週末も強さを発揮するだろうし、ここ数戦はフェラーリやマクラーレンの活躍も目覚ましく、一進一退の攻防が繰り広げられる事になるだろう」
コーナーが短いバクーでは、1周を通してステアリングを切る時間と角度が小さいためタイヤへの熱入れが難しく、各チームはブレーキ熱に頼る事になる。W12はタイヤのウォームアップに課題を抱えており、イモラではバルテリ・ボッタスが、モナコではルイス・ハミルトンがタイヤを機能させる事に手を焼いていた。
他方、バクーは約2.19kmの超ロング・ストレートを擁するエネルギー回生(ERS)的にかなり厳しいコースであり、メルセデスエンジン勢にとって利のある地とも言える。
直接のライバルとなるホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクターは、バクーにおけるパワーユニット側の役割について「低速コーナーでのドライバビリティーと、アクセル全開区間を考慮したエネルギーマネージメントなどが重要」としている。
懸念がリアルなものなのか、それともレッドブルに対する心理戦を狙ったものなのかは不明だが、トト・ウォルフは「前戦モナコの結果を経て、バクーでの挽回に向けて我々はこれまで以上に気合を入れている。重要なのはクルマに合わないコースでチャンスを掴む事だ」と、雪辱に燃えている。
メルセデスはモンテカルロ市街地コースでのレースで、ボッタスがピットストップの際にホイールが外れずリタイヤを喫し、ハミルトンが7位という悲惨な結果に終わった事で、両チャンピオンシップでのトップの座をレッドブル・ホンダとマックス・フェルスタッペンに奪われる事となった。
トト・ウォルフはモナコを振り返り「F1で簡単な事など何もない。だからこそ我々はこのスポーツが好きなんだ。100%か、あるいはそれに近い状態でなければ、苦しい状況に追い込まれる事は分かっている」と語った。
「(モナコでのレースを終えた翌日)月曜日の朝、私はバーレーンテストから戻ってきた時と同じようなエネルギーを感じた。我々は週末を分析し、自分たちに厳しい質問を投げかけ、いくつかの重要な教訓を得た」
F1アゼルバイジャンGPは、日本時間6月4日(金)17時30分からのフリー走行1で幕を開ける。