レッドブル・リンクのターン2付近からホームストレート側を見下ろす
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ホンダF1、開幕戦に改良PUを投入「好成績を挙げて勢いをつけたい」と田辺TD

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2020年シーズンの開幕オーストリアGPの初日を明日に控え、ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターがパワーユニット開発状況や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策下で行われるレースオペレーション、レッドブル・リンクでの初戦に向けた意気込み等を語った。

2015年にエンジンサプライヤーとしてF1に復帰したホンダにとって、昨年のオーストリアGPは13年ぶりのF1勝利を飾る事となり、選手権争いを標榜するチームにとって大きな節目となった。

マックス・フェルスタッペンはホンダPUを搭載したRB15を巧みに操り、シーズン随一のドライビングを披露し見事優勝。フェルスタッペンと共に表彰台に上がった田辺豊治TDはコンストラクターズトロフィーを受け取り、決して忘れることのできない誇らしい瞬間を堪能した。

カレンダー随一の美しさを誇るこのレッドブル・リンクでの戦いに向け、勝利の美酒を味わうべくホンダは再び全力を尽くす。

改訂版カレンダーの中では全長が最も短く、ガレージのスタッフやピットクルーに気を抜くチャンスはない。高速コーナーとロングストレートで構成されたコースだけにエンジン全開率は70%を超え、パワーユニットはフル稼働し続ける。

F1オーストリアGPの表彰台でトロフィーを高々と掲げるホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター
© Getty Images / Red Bull Content Pool、表彰台でトロフィーを高々と掲げる田辺豊治テクニカル・ディレクター

初戦で好成績を挙げ勢いをつけたい

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

当初開幕戦となるはずだった3月のオーストラリアGPが走行中止になって以降、長い期間を経て、再びサーキットに戻れることをホンダのメンバー全員が非常にうれしく思っています。

この中断期間中には、急遽改定されたF1レギュレーションに伴い、日本のHRD Sakuraと英国ミルトンキーンズでファクトリーシャットダウンを実施しました。その期間を除き、我々はパワーユニットの開発を継続し、今回の2020年初戦に向けた準備を進めてきました。

今回のレースで使用するパワーユニットはオーストラリアで使用する予定であったものに、信頼性とパフォーマンス両面でアップデートを施した仕様となります。

いまだにウィルス感染が収まりきっていない状況の中、これより欧州各地を転戦する戦いが始まります。レースを確実に執り行うためには、メンバーや関係者の安全が最優先となることはいうまでもなく、そのために各チームともに参加人数を最低限として、F1が定めた感染防止ルールに従いレース運営を進めていきます。

ホンダにおいても、マシンを走行させるのに必要なエンジニア・メカニックといった要員は通常時と同人数が帯同するものの、マーケティングや広報、一部のマネジメントといった間接スタッフは帯同せず、リモートでオペレーションを行う形になります。

レース帯同メンバーは2つのパートナーチームと共にそれぞれ行動し、同じホンダ内であっても担当チームが異なるメンバー同士では接触しないかたちでレース運営を行います。第1戦と第2戦が同じオーストリアのレッドブル・リンクで行われるため、移動の負担はいくらか軽減されますが、多くの制約をともなう形での3週連続のレース開催は、精神的・肉体的にもタフなものになると考えています。

開幕の地となるオーストリアのレッドブル・リンクは、昨年ホンダがF1復帰後初優勝を挙げた地で、我々にとって相性のいいサーキットです。今年はアストンマーチン・レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリ共に、シーズン通して昨年よりも更に上の成績を目指して戦いますので、その目標に向かって勢いをつけるべく、開幕戦で好成績を挙げられるようにチーム一丸となって挑みます。


2020年、レッドブル・リンクに再び勝利を叫ぶホンダのエンジンサウンドが響き渡ることを期待したい。F1オーストリアGPは日本時間7月3日(金)18時からのフリー走行1で幕を開ける。

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