レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2020年シルバーストーンでのプライベートテストにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

レッドブル代表 F1開幕Q&A:RB16の開発と進化、ホンダエンジン含むアップデート状況

  • Published:

レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表が2020年シーズンの開幕F1オーストリアGPを前に、バルセロナテスト以降の今季型マシン「RB16」の開発状況や、ホンダエンジンを含めたレッドブル・リンクに持ち込まれるアップデート、そして新型コロナウイルス感染症による危機への対処の舞台裏について語った。

ホーナー代表は、オーストリアを本拠とする世界的なエナジードリンク企業であるレッドブルの尽力により開催が実現した今週末のシュピールベルクでのイベントに、ホンダのスペック1.1エンジンだけでなく、車体側のアップデートを持ち込む事を明かした。先日開催されたシルバーストーン・サーキットでのプライベートテストでは真新しいフロアやバージボードが確認されている。

長期シャットダウン
チームの士気をどのようにして維持した?

グランプリチームが2ヶ月半も休止状態になるなんて異例中の異例だから、チームとしての一体感を維持する事が必要だと考えた。だから、オンラインでのフィットネス・クラスやフライデー・ナイトクイズ、スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングを開催したりした。最新情報を伝達したり、ドライバーとチームメンバーの交流を維持するといった事は、不確実性の高いこの時期に非常に重要な事だった。

F1の将来を守るため、他のチーム代表らとどう協力した?

ロックダウンの間には、現行レギュレーションや将来の規約に関する多くの作業が裏方で行われていたわけだが、それは個々のチームだけでなく、スポーツ全体の利益につながるものだったため、解決策を見つけようとする仲間意識のようなものがあった。

最終的に新しいレギュレーションの導入を遅らせたり、コストキャップを責任あるレベルまで下げたりと、賢明な妥協点を見出すことができた。こうした危機的状況においてはチーム同士の協力が非常に効果的だ。

新レギュレーションは更なる調整が必要?

新しい状況・環境の中でシーズンが始まる事で、微調整の必要がある箇所が見えてくるだろう。2022年に向けてはフィナンシャル・レギュレーションを含めた全ての規制が一新されるわけで、私は更なる明確化が行われると考えているが、大口の項目の大部分は既に対処されている。

今季初戦の開催に向けたレッドブルの貢献

レッドブルはパンデミック発生の初期段階から熱心にサポートしてくれていた。カレンダーから次々とグランプリが消えていく中で彼らは、F1の再開に向けてしっかりと目標を定めていた。(総帥)ディートリッヒ・マテシッツとレッドブルに感謝したい。

F1を復帰させるための適切かつ安全な環境を用意するために、現地プロモーターや(F1の商業権を持つ)リバティ・メディアのスタッフ、現地当局と密接に連携しながら多大な努力が払われてきた。それもオーストリアでのイベントは1週ではなく2週に渡って行われる。

我々は、ホームグランプリでのこれからの2回の週末を楽しむつもりだ。

チームや現地コミュニティを守るための対策

F1およびホスト国の全てのメンバーとスタッフを守る事に多大な力を注いでいる。チームは完全に別行動を取り、ホテルを共有することはなく、またホスピタリティユニットも持ち込まず、ピットウォールでは如何なるセッション中であれフェイスマスクを着用するし、原則としてチームは別個の独立した空間で仕事をすることになる。

これまで見られたようなレース前のグリッドや表彰台セレモニーもなく、週末の過ごし方は従来とは全く異なるものになるだろうが、すべては安全な環境を作るためだ。ウイルス検査は絶対条件で、レースに向けて常に行われる事になる。安全でコントロールされた環境を作ることが重要だ。

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、ミルトンキーンズのファクトリーにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool

遂にレースが再開する

メルボルンでの出来事がすごく昔の事のように感じられる。一年の半分が過ぎようかというタイミングでシーズンが開幕するのは少し奇妙な感じだが、我々のレーサー達は誰もが再び戦う事を望んでいる。

我々はシルバーストーンで事前テストを行ったわけだが、コースを走行するマシンは、自分たちが何のためにここまで頑張っているのか、目標は何なのかを思い出させてくれる。再びレースができる事に胸が高鳴っている。

様々な事がこれまでとは異なる事になるだろうが、スタートシグナルが消え一旦レースがスタートしてしまえば、コース上で起こる事が全てであり、他は目に入らなくなるだろう。

マスク越しにアレックス・アルボンと会話するホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクター、2020年開幕前 シルバーストーン・サーキットでのフィルミングデイテストにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、シルバーストーンでのテストの一コマ。マスク越しにアレックス・アルボンと会話するホンダF1の田辺豊治TD

圧縮された短いシーズン
チャンピオンシップに勝つための鍵は?

信頼性が決定的に重要だ。

短い期間に多くのレースが行われるため、関係者にとっては厳しいシーズンになるだろう。ドライバー達にとっては去年の11月以来、7ヶ月以上もの空白の期間を経てのレースになる。

最初の数周はエキサイティングになるだろうし、チャンスを最大限に活かすことが重要になるだろう。今年は普通とは言えない年だが、過去6シーズンを制覇し続けてきた圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するには、こうした状況が必要なのかもしれない。

今季のF1は過去最高にエキサイティング?

ファンタスティックなシーズンになると思う。もちろん、ドライバー達にとっては錆びついた腕をなんとかする必要があるが、彼らはプロだからすぐに克服すると思う。それは間違いない。

本当に激しい競争になるだろうし、これまで慣れ親しんだものとは異なるプレッシャーとダイナミクスがある事だろう。凄く楽しみだ。(最後に選手権を制覇した)2013年以来最も力強いシーズンになることを願っている。

マックスは対ハミルトンの最有力候補だが重圧は?

誰もが同じような条件の中で初戦に臨むわけで、その意味でマックスへのプレッシャーは例年と変わらないと思う。

メルセデスは依然として我々の前に立ち塞がっており倒すべきチームではあるが、今年に向けての冬のオフシーズンが良い形であった事はマックスも認識していると思うし、プレシーズンテストも上手くいった。マシンには真のポテンシャルが備わっていると感じているが、これからシーズン開幕へと向かう上でこの事は重要だ。

私は、マックスとアレックスを擁するこのチームが非常に強力であると信じているし、今年メルセデスに挑むため必要となる装備やツールを彼らに提供できると信じ、また心から期待している。

F1参戦2年目のアルボン
チームは今年彼に何を求める?

今年がアレックスにとってF1での2年目のシーズンである事をみんなは忘れがちだ。その2シーズン目の半分でレースから離れざるを得なかった事は炎の洗礼の如きものだが、彼は去年、信じられないほど上手く対処していた。プレッシャーも上手く扱えていたように思うし、誰もが彼の更なる活躍と昨年を超える成績を期待しているんじゃないかな。

チャンスは巡ってくるだろうし、今年の彼は多くの点で今シーズンのサプライズになるかもしれない。

テスト走行に向けて準備するレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2020年開幕前 シルバーストーン・サーキットでのフィルミングデイテストにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、テスト走行に向けて準備するアルボン、シルバーストーンにて

オーストラリアGP以降のRB16の進化

ライバルと比べての位置関係がどうなっているのかまるで分からない状態でオーストリアに向かう事になるが、もちろんマシンの開発は続けられている。

本来ヨーロッパラウンドの初戦を担うはずであったザントフォールトとバルセロナではアップデートが予定されていたし、モントリオールでは更なる開発が投入されていたはずで、シャットダウン前に準備されていたアップデート及び、シャットダウン後に得られた情報はすべてクルマに反映されており、あらゆる箇所に細かな修正が加えられている。だが、それは他のフロントランナー達も同じだろう。

我々にはエンジンのアップグレードもある。これは本来であれば今季2番目のエンジンとなるはずであったものだが、これが我々の今シーズン最初のエンジンになる。6月初旬にファクトリーを再開して以来、マシンのあらゆる領域で目眩がするほど莫大な作業が行われてきたが、それは時間との闘いだった。

2年目を迎えるホンダとの関係について

1つのチームとしてより一体感が出てきたように感じている。ホンダとの初年度は3勝を挙げる事ができ素晴らしいデビューシーズンになったが、無論今はその上を目指している。

ホンダは我々と同じ野心を持っており、より高みを見据えて年を越した。オフシーズン中も信じがたいほど懸命に働いてくれていた。ホンダエンジンはマシンの要であり、ホンダは我々にとって、この先チャンピオンシップに挑戦していく上での重要なパートナーだ。

F1オーストリアGP特集