メルセデスW13でアルバート・パーク・サーキットを走行するジョージ・ラッセル、2022年4月9日F1オーストラリアGP予選
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデスF1、今季タイトル獲得の可能性は2割…それでもゼロポッドを捨て去る気はなし?

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チーム代表を務めるトト・ウォルフは2022年のタイトル獲得の可能性が2割に過ぎないと認めた。コンストラクターズ選手権8連覇の絶対王者、メルセデスAMGペトロナスF1チームは今年、V6ハイブリッド時代の中で過去最悪のシーズンスタートを過ごしている。

チームとしては開幕2戦を終えてランキング2位につけているものの、首位を走るフェラーリとは2倍近いポイント差があり、また初戦バーレーンでレッドブル勢がWリタイヤに見舞われなければこの結果はあり得なかった。

2022年3月20日のF1バーレーンGPの表彰台に上がったフェラーリのマッティア・ビノット代表、カルロス・サインツ、シャルル・ルクレール、メルセデスのルイス・ハミルトンCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

F1バーレーンGPの表彰台に上がったフェラーリのマッティア・ビノット代表、カルロス・サインツ、シャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトン

ルイス・ハミルトンが5番手、ジョージ・ラッセルが6番手に終わった第3戦F1オーストラリアGP予選を終えてウォルフは自分達が「後手に回っている」事を認め、今季の勝算について「数学的な立場や確率で見るなら、20/80の確率だと思う」と語った。

ただその一方で「これは何か起きるか分からないモーターレース」であり「(ライバルが)DNFに終わる事もあるだろうし、もしマシンのポテンシャルを引き出せばゲームに戻れるはずだ」と付け加えた。

「レーサーとしては40/60だが、数学者としてはもっと悪い確率だと言う他ない。だがまだシーズンの3戦目だしタイトルを諦めるつもりはない」

1周98秒のアルバート・パーク・サーキットでメルセデスはポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールから0.95秒という途方もない大差で遅れた。ハミルトンはW13を「毒蛇、あるいはガラガラヘビ」と形容し、少しでもプッシュすると「悪意」を向けてくると表現した。

予選を終えて左手の親指を立てるメルセデスのルイス・ハミルトン、2022年4月9日F1オーストラリアGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

予選を終えて左手の親指を立てるメルセデスのルイス・ハミルトン、2022年4月9日F1オーストラリアGP

チームは競争力不足の元凶はポーパシングだとしているが、同様の問題を抱えているのは最速フェラーリも同様だ。だがウォルフによるとシルバーアローのバウンシングは高速コーナーでも発生するという点でライバルよりもタチが悪いと言う。

ただウォルフは同時に、仮にポーパシングを解決できたとしても「奇跡的に1秒を取り戻せる」可能性はゼロだと認め、全方位的に細かな改良の積み重ねが必要だと指摘した。曰くW13には「まだ見つかっていないグレムリン(得体の知れない原因)」があると言う。

手っ取り早くフェラーリ型の空力コンセプトに切り替えるという選択肢はないのだろうか? ウォルフは”革新的”と称されたW13のゼロポッドを捨て去る考えは持っていないようだ。

シルバーアローの指揮官はW13のポテンシャルを「信じている」として、次のように補足した。

「他の解決策は何か?ダイヤルバックして何ヶ月も前に戻り、そのクルマをコースに持ち込む事なのか? これは実現不可能だ。なぜなら他の案と比較した場合、パフォーマンス的に前進が望めないからだ」

「これは相対的なゲームだから、現段階ではクルマへの理解を深める以外の選択肢はない。その結果がどうなるかは分からないが、変更したり、調整したりする事になるだろう」

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