インディカー王者も視野?アウディF1、2025年の選択肢と意外なドライバー候補
カルロス・サインツ(フェラーリ)はアウディではなくウィリアムズを選び、エステバン・オコンもハースを選択した。2025年シーズンに向けて選択肢が限られていく中、ニコ・ヒュルケンベルグのチームメイトは未だ決まっていない。
アウディのF1プロジェクトを巡る状況の変化がラインナップの決定に影響を与えることは疑いない。首脳陣は刷新され、元フェラーリ代表のマッティア・ビノットがプロジェクトリーダー兼技術トップとしてアウディ/ザウバーに加わり、続いてレッドブルの重鎮、ジョナサン・ウィートリーのチーム代表就任が発表された。
アドレアス・ザイドルを含む前首脳陣はバルテリ・ボッタスの将来性を疑問視し、若手ドライバーにチャンスを与えることを検討していたとされるが、アレッサンドロ・アルンニ・ブラービ代表の発言とは裏腹にテオ・プルシェールは候補外と見られており、自前の若手プログラムには評価の定まっていない元レッドブルジュニアのゼイン・マローニしかいない。
そのため、唯一、ライバルチームからの引き抜きが可能と見られたアストンマーチンのリザーブ・ドライバー、フェリペ・ドルゴヴィッチと接触していたとされるが、前述の通りザイドルはアウディのF1プロジェクトから解任された。
独AMuSによると最近では、アルピーヌからFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦するミック・シューマッハの名前が再び取り沙汰されているという。このシナリオが実現した場合、ドイツの自動車メーカーは同国出身者でラインナップを固めることになる。
25歳のドイツ人ドライバーは3年間に渡ってフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属していた。元フェラーリのチーム代表、ビノットがアウディのプロジェクトに加わったことで起用の可能性が高まったことは間違いないだろうが、AMuSによるとシューマッハは依然として本命ではないという。
アウディが何より考慮すべきは4つのシートを持つレッドブルを巡る状況だろう。レッドブルには現在、5名の有力ドライバーがいるが、来季の出走が確定しているのはそのうちマックス・フェルスタッペンと角田裕毅の2人のみだ。
セルジオ・ペレスの去就はシーズン後半のパフォーマンス次第であり、同じことはダニエル・リカルドにも言える。
9月までにレッドブルから2025年のF1シートが提供されない場合、リザーブ・ドライバーを務めるリアム・ローソンは契約を解除して他のチームに移籍することができる。
なおレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ジュニアの中でもとりわけアイザック・ハジャーを高く評価している雰囲気を感じさせる。ディートリッヒ・マテシッツの生前のように、マルコが絶対的な人事権を持ち合わせていた当時であれば、今季のFIA-F2選手権チャンピオンに輝けば角田裕毅の来季のサプライズチームメイトという可能性も感じさせるほどだ。
現実的にはレッドブルから放出されるドライバーが誰になるのかを待つのがアウディにとって最善の手段の一つと言えそうだが、別の「大胆な選択肢」としてアレックス・パロウの名前が挙げられている。
パロウについてAMuSは、キャデラックから参戦した今季のル・マン24時間レースに触れて「チーム内で最速のパフォーマンスを見せた」と指摘し、あらゆるレーシングカーで速さを発揮できるのが偉大なレーサーの特徴であるとして、アウディにとってリスクのある選択肢である一方、「大成功」を収める可能性もあると指摘した。
2度のインディカーチャンピオンはこれまで、SUPER GT GT300クラスやスーパーフォーミュラ、IMSA スポーツカー選手権など、幅広いカテゴリーに参戦して好成績を収めてきた。
オファーがあった場合、F1参戦を夢見るパロウがこれを受け入れる可能性は少なくないだろう。2024年シーズンに向けてパロウのマネジメントは「ほぼ全てのF1チーム」に売り込みをかけたと見られている。