報道陣の質問に答えるピーター・バイエルCEO(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月6日(金) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

アルファタウリF1、絶賛ローソンではなく角田裕毅を選んだ理由…もはや絶対的ではない若手哲学

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スクーデリア・アルファタウリのピーター・バイエルCEOが2024年に向けたドライバーラインアップの選考理由について説明し、若手ドライバーのインキュベーターとしてのファエンツァのチームの役割は今や、必ずしも絶対的なものではなくなったと認めた。

23歳の角田裕毅は確かに若いが、中堅に足を踏み入れつつあるキャリア3年目のドライバーであり、本当の意味での”若手ドライバー”とは言えない。だが、チームが2024年のダニエル・リカルドのチームメイトとして選んだ(リカルドの続投は大前提だったとみられている)のは、純粋な意味での若手であるリアム・ローソンではなかった。

メディアの前でマイクを握り話をするアルファタウリの角田裕毅とリアム・ローソン、2023年10月6日(金) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

メディアの前でマイクを握り話をするアルファタウリの角田裕毅とリアム・ローソン、2023年10月6日(金) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

バイエルはF1カタールGPの開幕を迎えた初日のロサイルで、来季に向けて角田裕毅とリカルドを続投させる決断を下した背景について次のように説明した。

「チームの将来について多くの議論を重ねた。株主には『若手ドライバーを継続的に教育してほしいが、同時に成功してほしい』と言われた。究極的に言えば両方を起用する事はできないと思う。つまりチーム内に2人の若い、まぁ一人は実際には若いわけではないが、若手ドライバーを置くことはできない」

「この目的を達成するために何が必要かを検討した結果、結論に達した」

「ダニエルは特に、我々が苦労してきたセットアップに関して豊富な経験知識をもたらしてくれる。そしてユーキはこれまでのシーズンを通して成長し続け、今やパフォーマンス曲線の絶頂に達しつつある」

「だから我々は、この2人を起用するのがチームにとって適切だと判断した」

フランツ・トスト代表が指摘しているように、ディートリッヒ・マテシッツが2005年にセカンドチームを持つと決めたのはあくまでも若手ドライバーの育成のためだった。真の”若手”であるローソンより角田裕毅を優先したのはチームの哲学の変化の表れなのか?

バイエルは「それは今も変わらないが、絶対的なものではなくなった」と説明する。

「今やF1は競争が本当に激しくタイトであり、コンマ1秒を争う世界だ。ミッドフィールドの先頭を争うためには経験豊富なドライバーが必要だという結論に達した」

「ただ同時に我々は、最終的にレッドブル・レーシングに送り込むために若い才能を育て続けていく」

ピットウォールでフランツ・トスト代表と談笑するピーター・バイエルCEO(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月6日(金) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピットウォールでフランツ・トスト代表と談笑するピーター・バイエルCEO(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月6日(金) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

既報の通りバイエルは元々、リカルドとローソンの組み合わせが理想と仄めかしていた。角田裕毅に対する言及は先程の一言のみだが、ローソンについて問われたバイエルは言葉を尽くした。

「ザントフォールトでの洗礼が信じがたいほど挑戦的であった事については誰もが認めるところだと思う。落ちる雨粒と難しい路面状況であったにも関わらず、彼はこれを極めてパフォーマンスを発揮し続けた」

「エンジニアとの仕事ぶりも見事だ。我々が彼の声を聞いている姿をイメージするかもしれないが、実際には彼は話さず耳を傾けているから、彼の声は聞こえてこない(注:ローソンはチームとコミュニケーションを取る際に話すことよりも聞くことを優先している、という意味だと思われる)」

「そして彼は1周毎に上達していく。学習するのが本当に早く、今も戦い続けている」

「シンガポールでの彼のパフォーマンスは本当に称賛に値するものだった。彼のクルマは他のクルマの2倍の幅があるように見えた。その印象的なパフォーマンスを受け、私は彼のことを “リアム・ザ・ライオン “と呼んだ」

「彼は常に結果を出し続けている。ファミリーの一員として彼を迎えることができて本当に嬉しい」

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