アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表、2021年10月8日F1トルコGPのプレスカンファレンスにて
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アルファタウリF1代表トスト 一問一答:角田裕毅への期待、ホンダ撤退の影響やルール変更による序列変化の可能性を語る

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スクーデリア・アルファタウリは2021年シーズンの22戦の内の19戦でポイントを獲得し、チーム史上最高得点を記録した。伊ファエンツァのチームはレギュレーションが刷新され新時代を迎える2022年のF1で飛躍する事ができるだろうか?

チーム代表のフランツ・トストが新車「AT03」の発表に合わせて決意表明を行うと共に、F1での2年目を迎える角田裕毅への期待や、昨年末を以てホンダがF1から撤退した事の影響など、様々な質問に答えた。一問一答は以下。

スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」のレンダリングイメージ (2)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」のレンダリングイメージ (2)

2022年は史上最高のシーズンを経て迎えるシーズンです。これはどのような意味を持つのでしょうか?

昨年は過去最高のポイントを獲得することができ、私は本当に満足している。我々にはファエンツァとバイチェスターの強力なチームだけでなく、多くの優れたパートナーがいる。一丸となって2022年も引き続き力強いパフォーマンスを発揮し続けたい。

服飾ブランドとしてのアルファタウリとの関係の重要性について

我々はスクーデリア・アルファタウリとしての3年目を迎える事になる。アルファタウリとは緊密に連携しており、引き続き素晴らしい関係を築いている。

ファッションとF1の間には、特に研究開発や新技術の導入といった様々な部分で多くの類似点がある。アルファタウリはファッションの分野での革新を目指して新しい素材を模索しているが、それはF1チームも同じだ。

両社とも、常に最新の技術を市場に投入し、可能な限り最高の素材を提供しようと懸命に努力している。もちろん、ファッションブランドと密接に協力することによる恩恵もある。我々チームメンバーはサーキットの内外を問わず、常に完璧なファッションで身を包んでいる。

スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」の新車イベントの様子Courtesy Of Red Bull Content Pool

スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」の新車イベントの様子

技術規定の刷新はチーム間の序列を変え、予測不可能なレースをもたらすでしょうか? それとも昨年とほぼ同じようなヒエラルキーのままになるでしょうか?

現時点でこれに答えるのは難しい。なぜならテクニカル・レギュレーションが完全に刷新されたため、すべてのチームがこの新世代のクルマをゼロから、つまり白紙の状態から設計しなければならないためだ。

あらゆる要素がレギュレーションにより制限されているものの、独自のソリューションを見つけてパフォーマンス面で優位に立つチームが表れる可能性もある。

フロントサスペンション及びベンチュリートンネル入入口周り、スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」の細部レンダリングCourtesy Of Red Bull Content Pool

フロントサスペンション及びベンチュリートンネル入入口周り、スクーデリア・アルファタウリの2022年型F1マシン「AT03」の細部レンダリング

メカニカルな部分から空力面まに至るまで、あらゆる規定が全て変更されたため、各チームがどの位置にくるかを予想する事は簡単ではないが、個人的にはレースが接近した展開となる事を期待している。

現実的に言えば、我々がどの程度のパフォーマンスを発揮するかについては最初のテストが終わるまで分からないが、より明確なイメージを得るためにはシーズン最初の2、3レースが終わるまで待たなければならないだろう。

大規模なルール変更があった場合、予算が多いチームが有利になる事があります。予算上限が導入された事で、この傾向は変わるでしょうか?

今年はコストキャップが更に500万ドル引き下げられたため、これによる効果は期待できると思う。

昨年の夏までは、ビッグチームがより多くの人材を活用する事で恩恵を受けられる状態であったため、当然ながら彼らにとって有利な状況があった。

特にシミュレーションツールを活用して、より広範に研究開発を進めることで、2022年に向けて幾つかの異なる設計思想を試し、その上で自分たちにとって最適なソリューションを決定する事が可能だったわけだ。

故に依然として(今季も)トップチームが有利であることに変わりはないが、トップチームとそれ以外のチームとの差は縮小し、すべてのクルマがより接近していくことが予想される。

次世代車両の登場によってコース上でのアクションは増えるだろうし、フィールドにおける各車の差も縮まり、観客の楽しみも増えるはずだ。

コストキャップの効果が最大限に発揮されるのは、予算が更に削減される2023年だと考えている。我々は昨年、コストキャップを遥かに下回る資金でチームを運営していたため、予算上限を気にする事は全くなかったが、今回の新車は以前のものと比べて遥かに高価なように見える。

よって全てのチームにとって制限内に予算を収める事は難しくなるはずだが、パフォーマンスという点では各車の差が縮まる事になるため、私としては非常に肯定的に捉えている。

今回のルール変更は、コース上での接近戦を増やしてレースをよりエキサイティングなものにするという本来の目的を達成できると思いますか?

低速コーナーや中速コーナーではクルマ同士の距離が縮まると思う。一方、高速コーナーに関しては疑問が残る。

ワイドなクルマに大型のタイヤを取り付ける以上、後方にダーティーエアーが流れる事は避けられず、よって後続車が前走車に接近するのはそう簡単ではないと思うが、これについては最初のテストが終わってから判断する事にしよう。

ホンダが撤退したことで、パワーユニットの面で何か変化はありますか?

大きな違いがあるとは考えていない。ホンダは素晴らしい仕事をしており、昨年と同じようなパフォーマンスを期待している。

大きな変更があったのは燃料の方だ。F1では今年からバイオ成分の配合率が10%へと引き上げられた。そのため、対策を講じていく上で必要となる調査に時間を割かねばならず、PUに対しても幾つかの変更が必要となったが、私としては昨年のホンダと同じようなパワフルなPUを期待しているし、同じ様なパフォーマンスレベルになる事を願っている。

史上最多23戦が予定される今季は興味深いシーズンとなるために必要な要素が全て揃っているように見えますが、同時にかなり厳しい日程です

昨年の我々は幸運にも、常にバトルが繰り広げられる非常に興味深いレースを楽しむ事ができたが、今年も常にそういうレースがあると期待する事はできない。

年間のレース数という事について言えば、私にとっては23レースが絶対的な限界値だ。これは仕事量という観点から判断したものではなく、レース数が増えると最終的には人々がF1への興味を失ってしまうのではないかと懸念しているためだ。

個人的には18~22戦程度がベストだと思うが、F1はプレミアムなスポーツであるべきで、特別なものであり続けるためにレース数を増やし過ぎない事が肝要だ。個人的には23戦以上でも構わないと思っているが、問題はそういう事ではなく、F1の将来にとって何がベストなのかという点にある。

ドライバーラインナップに変化はありません。2人に何を期待しますか?

スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅とピエール・ガスリー、2022年型F1マシン「AT03」新車発表イベントにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅とピエール・ガスリー、2022年型F1マシン「AT03」新車発表イベントにて

私はこのコンビに本当に満足している。ピエールは素晴らしいドライバーで、本当に良いクルマを提供すればレースに勝ち、表彰台に上がれるのだという事を示してくれている。

ユーキは非常に高い技術を持ったドライバーで、昨年も何度かそれを見せてくれた。特に最後の3レースは素晴らしいパフォーマンスだった。

彼にとっての2021年は、パフォーマンス不足やミスが避けられないという意味で、F1ルーキードライバーとして典型的なシーズンだった。

チームとしては彼にしっかりとした準備を整えさせたし、シーズン序盤は悪くないパフォーマンスを見せていたものの、その後は走行未経験のコースでのレースが続く事となった。

F1は高いレベルのパフォーマンスが求められる競技であり、当然の事ながらルーキードライバーがすぐに結果を出すことは容易ではないものの、シーズン終盤に入ってクルマやドライビング手法、エンジニアに慣れてくると本当に良いパフォーマンスを見せてくれた。最終戦のアブダビでは4位フィニッシュしているし、今年はきっと競争力を発揮してくれるだろう。

ピエールはチームのリーダー役として既に素晴らしい結果を残せる事を証明しているし、今年は2人のドライバーに大いに期待している。