フェルスタッペン、初王座に向けポール!「唯一の対抗策」が功奏…角田は僚友初撃破 / F1アブダビGP《予選》結果とダイジェスト
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが初のチャンピオン獲得に向けて一歩前進した。2021 FIA-F1世界選手権最終第22戦アブダビGPの公式予選が12月11日にヤス・マリーナ・サーキットで行われ、24歳のオランダ人ドライバーが今季10度目のポールポジションを獲得した。
チームプレーの賜物だった。僚友セルジオ・ペレスが自身のラップを犠牲にして2本のバックストレートで33号車を牽引。トウを得たフェルスタッペンはトップスピードを引き上げ、2番手に留まったタイトル争いのライバル、ルイス・ハミルトン(メルセデス)に0.371秒差をつけた。ペレスはランド・ノリス(マクラーレン)に1000分の16秒及ばず4番手でクルマを降りた。
予選を終えたレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は笑顔が止まらなかった。
「今朝、スリップストリームについて話し合ったんだ。我々はダウンフォース・レベルを下げたが、これはストレートで彼ら(メルセデス)と互角に戦うための唯一の方法だったからだ」とホーナー。
「Q1でのルイスのタイムを見て、あれは無理だと思ったが、Q2で流れが我々に傾いてきた」
「マックスのQ3のランは2回とも途方もなく素晴らしかったし、当然、スリップストリームもあった。セルジオはチームメイトに協力し、2本のストレートで彼を引っ張ってくれた。完璧なチームワークだった」
アルファタウリ・ホンダ勢はミディアムタイヤでのQ3進出にこだわりピエール・ガスリーがまさかの12番手敗退に終わったが、角田裕毅は余裕を持って最終ラウンドに駒を進め8番手を獲得。ルーキーとしての”ラスト予選”で初めてチームメイトを下した。
ハミルトンが2番手を手にした一方、チームメイトのバルテリ・ボッタスは6番手に甘んじた。前方5番手にはカルロス・サインツ、後方7番手にはシャルル・ルクレールと、フェラーリ勢に挟まれた。
フェルナンド・アロンソは惜しくも11番手とQ2敗退を喫したが、アルピーヌのチームメイト、エステバン・オコンはQ3へと進出。ダニエル・リカルド(マクラーレン)を100分の2秒差で抑えて9番手をマークした。
FP3に引き続き現地ヤス島は晴れ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温25.7℃、路面30.6℃、湿度54.4%、気圧1018.5hPaのドライコンディションでスタートした。
ヤス・マリーナ・サーキットは本大会に向けてコース改修が行われた。第1・3シケインはヘアピンに変更され、ホテルの周りの4つのタイトコーナー(ターン17~20)にも手が加えられた。全長は5,281mへと273m短くなった。トラック・リミットはターン7・15・16に設定された。
公式タイヤサプライヤーのピレリはハード(白色)にC3、ミディアム(黄色)にC4、ソフト(赤色)にC5コンパウンドを投入した。
FP3でフェルスタッペンのリアウイングに信頼性の問題が発生した事から、レッドブルは予選を前に、念の為にペレス車を含めて交換を実施。ストレートでメルセデスに対抗するため、低ダウンフォース仕様をチョイスした。x
予選Q1:ボラード転がり赤旗中断
エントリーした全20台で争われる予選第一ラウンドのQ1では、ミック・シューマッハ(ハース)が最終コーナーのイン側に設置されたボラードを跳ね飛ばし、コース上に転がるハブニングが発生。ノリスがこれに接触し、回収のためにレッドフラッグが振られた。
It's always "where is the bollard" and never "how is the bollard" 😞#AbuDhabiGP 🇦🇪 #F1 pic.twitter.com/Up84BqDWfi
— Formula 1 (@F1) December 11, 2021
セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は最終コーナーでトラフィックに阻まれ、1セット目を終えてノックアウト・ゾーンに沈んだが、最終アタックで15番手と、ギリギリで次のラウンドに駒を進めた。走行を妨害した可能性があるとして、セッション終了後にオコンが聴取を受ける。
キャリア最後の予選に挑んだキミ・ライコネン(アルファロメオ)は18番手敗退と、残念ながらQ2進出は叶わなかった。
ニコラス・ラティフィはウィリアムズの僚友ジョージ・ラッセルに1000分の85秒差をつけて16番手を獲得し、対チームメイト予選成績での2勝目を挙げた。
角田裕毅は5番手。1000分の61秒差で再びガスリーを上回った。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 1:22.845 | 6 | |
2 | ボッタス | メルセデス | 1:23.117 | + 0.272 | 6 |
3 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:23.322 | + 0.477 | 6 |
4 | ペレス | レッドブル | 1:23.350 | + 0.505 | 9 |
5 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:23.428 | + 0.583 | 9 |
6 | ルクレール | フェラーリ | 1:23.467 | + 0.622 | 11 |
7 | ガスリー | アルファタウリ | 1:23.489 | + 0.644 | 9 |
8 | ノリス | マクラーレン | 1:23.553 | + 0.708 | 5 |
9 | サインツ | フェラーリ | 1:23.624 | + 0.779 | 10 |
10 | オコン | アルピーヌ | 1:23.764 | + 0.919 | 8 |
11 | リカルド | マクラーレン | 1:23.829 | + 0.984 | 7 |
12 | アロンソ | アルピーヌ | 1:23.846 | + 1.001 | 6 |
13 | ストロール | アストンマーチン | 1:24.061 | + 1.216 | 10 |
14 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:24.118 | + 1.273 | 9 |
15 | ベッテル | アストンマーチン | 1:24.225 | + 1.380 | 10 |
16 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:24.338 | + 1.493 | 8 |
17 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:24.423 | + 1.578 | 7 |
18 | ライコネン | アルファロメオ | 1:24.779 | + 1.934 | 8 |
19 | シューマッハ | ハース | 1:24.906 | + 2.061 | 9 |
20 | マゼピン | ハース | 1:25.685 | + 2.840 | 9 |
予選Q2:角田、僚友初撃破
5台が脱落し残る15台のマシンが挑んだQ2ではメルセデス、ホンダ勢4台、ノリス、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がミディアムを履いてコースに向かった。
フェルスタッペンは1セット目でハミルトンに1000分の4秒差の暫定3番手を刻むも、どういうわけかその後、ターン1でタイヤをロックアップさせフラットスポットを作ってしまった。
最後の新品ミディアムを駄目にした事で「やむを得ず(ホーナー談)」ソフトに履き替え、最終アタックでトップタイムを刻んだ。ただし、ペレスもソフトに履き替えタイムを更新した事から、もともとソフトでの突破を計画していた可能性もある。
角田裕毅が6番手で踏みとどまった一方、ガスリーは1セット目を終えて15番手と、まさかのノックアウト・ゾーンに沈んだ。
メルセデスとアルファタウリ・ホンダは2セット目もミディアムを選択。他はソフトに履き替えた。
ガスリーはトラフィックもあり十分にブレーキを温める事ができず、最終アタックでもペースが上がらず12番手に。角田裕毅は0.639秒差で初めて予選でチームメイトを下すと共に、メルセデスと並んで唯一、ミディアムでQ3進出を果たした。
アロンソは1000分の12秒差でリカルドに届かず11番手でQ2敗退を喫したが、スタートタイヤの選択権が得られる事を考えれば、悔やむべき結果ではないかもしれない。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:22.800 | 13 | |
2 | ペレス | レッドブル | 1:23.135 | + 0.335 | 17 |
3 | ハミルトン | メルセデス | 1:23.145 | + 0.345 | 12 |
4 | サインツ | フェラーリ | 1:23.174 | + 0.374 | 16 |
5 | ルクレール | フェラーリ | 1:23.202 | + 0.402 | 17 |
6 | ボッタス | メルセデス | 1:23.246 | + 0.446 | 14 |
7 | ノリス | マクラーレン | 1:23.256 | + 0.456 | 13 |
8 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:23.404 | + 0.604 | 16 |
9 | オコン | アルピーヌ | 1:23.420 | + 0.620 | 14 |
10 | リカルド | マクラーレン | 1:23.448 | + 0.648 | 13 |
11 | アロンソ | アルピーヌ | 1:23.460 | + 0.660 | 12 |
12 | ガスリー | アルファタウリ | 1:24.043 | + 1.243 | 16 |
13 | ストロール | アストンマーチン | 1:24.066 | + 1.266 | 17 |
14 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:24.251 | + 1.451 | 17 |
15 | ベッテル | アストンマーチン | 1:24.305 | + 1.505 | 18 |
予選Q3:フェルスタッペン、王座に向け前進
レッドブルはQ3の1セット目でペレスにフェルスタッペンを牽引するよう指示。スリップストリームを得たポイントリーダーはハミルトンに0.551秒差をつけて暫定ポールに立った。ペレスは3周目に計測ラップを走って暫定3番手につけた。
角田裕毅はボッタスを退ける暫定4番手を刻むも、最終ターン16のトラック・リミットでタイム抹消となってしまった。リカルドだけは中古ソフトで最初の計測を行った。
最終アタックの先陣を切ったのはハミルトン。タイムを更新するも届かず、フェルスタッペンが今季10度目のポールポジションを獲得した。
2021年 F1アブダビグランプリ決勝レースは、日本時間12月12日(日)22時にスタート。1周5,554mのヤス・マリーナ・サーキットを55周する事でチャンピオンシップを争う。
2021年F1第22戦アブダビGP予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:23.322 | 1:22.800 | 1:22.109 | 20 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 1:22.845 | 1:23.145 | 1:22.480 | 19 |
3 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:23.553 | 1:23.256 | 1:22.931 | 20 |
4 | 11 | ペレス | レッドブル | 1:23.350 | 1:23.135 | 1:22.947 | 24 |
5 | 55 | サインツ | フェラーリ | 1:23.624 | 1:23.174 | 1:22.992 | 22 |
6 | 77 | ボッタス | メルセデス | 1:23.117 | 1:23.246 | 1:23.036 | 20 |
7 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:23.467 | 1:23.202 | 1:23.122 | 23 |
8 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:23.428 | 1:23.404 | 1:23.220 | 22 |
9 | 31 | オコン | アルピーヌ | 1:23.764 | 1:23.420 | 1:23.389 | 20 |
10 | 3 | リカルド | マクラーレン | 1:23.829 | 1:23.448 | 1:23.409 | 19 |
11 | 14 | アロンソ | アルピーヌ | 1:23.846 | 1:23.460 | 12 | |
12 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 1:23.489 | 1:24.043 | 16 | |
13 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 1:24.061 | 1:24.066 | 17 | |
14 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:24.118 | 1:24.251 | 17 | |
15 | 5 | ベッテル | アストンマーチン | 1:24.225 | 1:24.305 | 18 | |
16 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:24.338 | 8 | ||
17 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:24.423 | 7 | ||
18 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 1:24.779 | 8 | ||
19 | 47 | シューマッハ | ハース | 1:24.906 | 9 | ||
20 | 9 | マゼピン | ハース | 1:25.685 | 9 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 25.7℃ |
路面温度 | 30.6℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1アブダビGP |
---|---|
セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | ヤス・マリーナ・サーキット |
---|---|
設立 | 2009年 |
全長 | 5281m |
コーナー数 | 21 |
周回方向 | 反時計回り |