ホンダF1を率いる長谷川祐介
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本当に最後…最終節に挑むホンダF1長谷川「全員を心底誇りに思う」奇跡は起こる? / F1アブダビGP《preview》

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ホンダF1を率いる長谷川祐介総責任者は、マクラーレン・ホンダ最後のレースとなるアブダビGPを直前に控え、世界最高峰を目指し努力を重ねてきた現場のクルーとファクトリーのスタッフ達全員を誇りに思うと述べ、感謝の意を表した。

2015年に再びF1に復活したマクラーレン・ホンダは、ヤス・マリーナ・サーキットでのアブダビGPを最後に解体する。3年という月日で得られた表彰台はゼロ。4輪最高峰と言われるフォーミュラ1世界選手権は、世界最先端技術を競う実験室であり、命知らずのドライバー達が集まるコロシアム。全てを完璧にこなさない限り、結果を残すことはできない。ホンダはトロ・ロッソと、マクラーレンはルノーと、来季よりそれぞれ別の道を歩む。

長谷川は、チーム発足時に責任者を務めていた新井康久の後任として昨年よりリーダーに就任、第3期以来8年ぶりにF1現場復帰を果たした。現職について以降、長谷川がマクラーレンやストフェル・バンドーン、フェルナンド・アロンソら”仲間”を非難したことは一度もない。例えドライバーのミスがあったとしても、長谷川の口から発せられるのは例外なく擁護と賞賛であった。

ラストランとなるアブダビGPでマクラーレン・ホンダの奇跡を乞い願うのは難しい。全長5.5kmのヤス・マリーナ・サーキットは、1kmを越す2本のロングストレートが連続するレイアウト。劣るとまでは言わないまでも優れているとは言い難いエンジンパワーでは、ごぼう抜きにされる可能性も否めない。セクター3は直角に折れ曲がるような低速コーナーの連続、中低速トルクが改善しているホンダPUとは言え、メルセデスであってもこのセクションでのオーバーテイクは難しい。アブダビでは他と比べて予選結果が重要となるが、ホンダエンジンには所謂”予選モード”に余裕がない。

あらゆる諸条件がマクラーレン・ホンダの苦戦を予想する中、果たして奇跡は起こるのだろうか?20世紀最大の偉人と称される天才物理学者アルベルト・アインシュタインは、奇跡について以下のように述べている。「人生には二通りの生き方しかない。ひとつは、奇跡なんて起こらないと思って生きる事。もうひとつは、あらゆるものが奇跡だと思って生きる事」

ホンダF1:アブダビGPに向けて

長谷川 祐介ホンダF1プロジェクト総責任者

2017年のF1シーズンの挑戦に終止符を打つアブダビGPが始まります。これは我々マクラーレン・ホンダとしての最終レースであり極めて重要な週末となります。最後とは言え、チーム全員がパッケージから全てのポテンシャルを引き出すべく作業に取り組むと共に、ここ数戦で掴んだ勢いを保ち続ける事に集中しています。

ヤス・マリーナ・サーキットは、伝統的なトラックと市街地コースとを組み合わせた様なユニークなレイアウトを持っています。低速の90度コーナーからエンジン全開のフルスロットルストレートまで、各セクターの特徴が全く異なるため、エンジニアリング的に完璧なセットアップを見つけるのがとても難しいコースです。パワーユニットの性能を引き出し燃費を管理するのも重要となります。

最後になりますが、チーム全員がシーズンに渡って努力を重ねてきてくれた事を心の底から誇りに思っています。チームのみならず、三年間に渡って私たちを支えてくれた世界中のマクラーレン・ホンダのファンのためにも、良い形で締め括れるよう祈っています。

エリック・ブーリエレーシングディレクター

アブダビGPで2017年シーズンも終りとなります。満足のいく結果や選手権とはなりませんでしたが、私は今季我々が成し遂げた業績とライバルとのバトルを誇りに思っています。レースの度にチームメンバー全員がパッケージを改善すべく努力を重ねてきました。今週末もその例外ではありません。冬季シャットダウンのためにシーズンは終了となりますが、すべてのセッションで最大限尽力していきます

来年に向けての貴重な学びを得るために、走行毎にパッケージを評価し改善に取り組んでいますので、今週末も今までと同じくらい重要な週末と考えています。2017年と18年の間のレギュレーションには大きな変更がなく安定しているため、特に過去数回のレースで集めた多くのデータによって、我々は冬の間に良い立場に立つ事ができるでしょうし、来季マシンの開発における重要な意思決定に役立つことでしょう。

全員を代表して申し上げますが、私たち一人一人は前向きな姿勢と尊敬の念をもって、アブダビでのマクラーレン・ホンダの最終グランプリ週末を迎えます。最後の最後まで共に浮き沈みを経験してきましたが、そのような苦しい状況にあっても、一人ひとりのスタッフは過去3年間で信じられないほど努力を重ねチームにコミットし続けています。我々は全く同じ目標を掲げて週末に挑みます。良い形で締め括れるよう懸命に取り組み、すべての力を出し尽くすつもりです。


17年シーズン最終のアブダビGPは、日本時間11月24日(金)18時からのフリー走行で幕を開ける。舞台となるのは反時計回りのヤス・マリーナ・サーキット。決勝は現地夕刻よりスタートするトワイライトレースとなる。

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