F1オーストラリアGP2018、金曜フリー走行でのグリッド
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FIA、2019年のF1レギュレーションを6項目変更…グリッド降格ペナルティを更に明確化

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F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は5日、ロシア・サンクトペテルブルクで総会を開催し、2019年のF1競技レギュレーション及びテクニカルレギュレーションに関する変更点を承認した。

技術規約に関しては、簡素化されるフロントウイングに関するルールの微調整と、マシン最低重量を740kgから743kgへと引き上げる事の2点が含まれる。スポーティング・レギュレーションに関する変更は全部で4つ。以下、詳しく見てみよう。

グリッド降格ペナルティの明確化

1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入されて以降、エンジン降格に伴うグリッドペナルティは「55グリッド降格」等といった具合に、しばしば常軌を逸した数に達していた。これを受けて2018年にルールが改定され、15グリッド降格以上の場合は自動的にグリッド最後尾とする事が決められた。

だが、この規約は新しい問題を生み出した。週末に先立ってエンジン交換を実施したマシンが、フリー走行1の開始前からピットレーンに並び、出口を塞ぐ事態を引き起こしたのだ。

規約では「ピットレーンを出たタイミング」が「エンジン交換を実施したタイミング」と見なされる。同じ降格数のマシンが複数台発生した場合、より早くコース上に出たマシンが上のグリッドとなるルールとなっていた事が原因であった。

そこでFIAは、15グリッド降格以上のクルマが複数発生した場合、予選結果順にグリッドに並ぶようにルールを変更する。グリッド降格が確定した場合、当該マシンはタイヤとエンジンマイレージの温存のために予選で全開走行を避ける事があったが、このルール変更によってその点も幾らか解消される事になる。

なお、107%ルールに抵触したマシンは、グリッド降格車の有無を問わず、最後尾スタートが義務付けられる。

CFDシミュレーションの制限撤廃

2021年以降のレギュレーションに対処する事を目的としてCFD=計算流体力学によるシミュレーションを行う場合は、一切の制限なくこれを実施する事が出来るようになる。

現行レギュレーションでは、CFDは風洞実験と同様に、スケールモデル60%以下、速度50m/秒という制限が課されている。だが、大規模な変更が行われる見通しの2021年以降の次世代レギュレーションに関するものであれば、これらの制限なく自由にシミュレーションを行う事が出来るようになる。

CFDの無制限化によって、F1とFIAの規約策定ワーキンググループは、チームからより正確で的を得たフィードバックを得る事が可能になる。

燃料の取り扱いに関する手順の変更

承認された変更点には、燃料の取り扱いに関する手順の変更が含まれる。この変更によって、チームはテストの際、グランプリ週末に定められているのと同じ方法で燃料を取り扱う事が義務付けられる。レギュレーションでは、燃料補給の際はエンジンを停止する事、供給及び取り除く際には0.8リッター/秒以内の流速で行う事など、燃料に関する決まりごとが定められている。

2012年のスペインGPでは、優勝したパストール・マルドナドを祝っていたウィリアムズのガレージから火災が発生。カタロニア・サーキットのピットレーンは黒い煙に覆われ、重傷者1名を含む数十人が負傷する事故が起こった。これを受けてルールが改正されたものの、グランプリを除くテストの際にはこの規約が遵守されていなかった。

イエローフラッグの解除

新しい規則では、セーフティカーがピットに戻った後、各車がコントロールラインを通過するまでは、イエローフラッグ状態が継続される事となった。

現行の規約においては、セーフティカーがピットに戻ると同時に、イエローフラッグとSCボードが撤去されグリーンフラッグが振られる事になっているが、2019年はSCボードが廃止されると共に、セーフティーカーがピットに戻っても引き続き黄旗が表示される。