新エンジン実戦投入、ホンダF1「ファクトリーでマップ改善に取り組んだ」F1オーストリアGP 2017《Preview》
第7戦カナダGPでの導入が期待されていたホンダの新型パワーユニットが、ついに実戦投入される。ホンダF1のトップを務める長谷川祐介は、今週末に行われる第9戦オーストリアGPに、”スペック3″と呼ばれる改良版エンジンを持ち込む事を明らかにした。パワーが改善された待望のPUは、フェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンの両方のマシンに搭載される。
1周あたり0.3秒ほど速いとされる新しいホンダエンジンは、先月末の前戦アゼルバイジャンGPでアロンソのマシンに搭載され、金曜の練習走行でテストされていた。この時はマッピングの調整が不十分でありながらも最高速度342km/hを記録し、一時はトップ3に名を連ねる速さを示していた。
マクラーレン製ギアボックスが故障したため、新型PUは金曜限りでマシンから降ろされる事になってしまったが、ホンダはその後エンジンをファクトリーに持ち帰りマップを熟成、明々後日7日(金)のフリー走行で2台のマクラーレン・ホンダに搭載される。
ホンダ:F1オーストリアGPに向けて
長谷川祐介ホンダF1プロジェクト総責任者
レッドブル・リンクはシュタイアーマルクの山々に囲まれた美しく独特なサーキットです。カレンダーの中で1周のラップタイムが最も短く、コーナーは9つしかありません。その反面、超高速コーナーでのドライバーへの要求は厳しく、71周を競うレースでは一度たりともミスは許されませんし、細心の注意を払う必要があります。
標高が高い場所でのレースは、我々にとって最も大きなチャレンジの一つとなります。サーキットは海抜700m程の所に位置しているため、ターボチャージャーは同じパワーを生み出すのにもより多く回転する事が求められます。デプロイメントの効果もまた、この影響を受けることになるでしょう。エネルギー・マネジメントがレースの鍵を握ることになります。
前戦アゼルバイジャンGPでは、今シーズン初めてとなるポイントを獲得しました。チームにとって幾らか希望となる結果だったと思います。金曜日にはフェルナンドのマシンにアップデートされたスペック3のエンジンを搭載しテストしました。出力面で改善を確認することができましたので、得られたデータを元にファクトリーでマッピングの改善に取り組んで来ました。今週末には2台のマシンに新しいエンジンを投入する予定です。
ある程度、競争力の改善を果たせたと考えていますので、オーストリアでのパフォーマンスを見るのを楽しみにしています。レースの最後の数分前まで準備に専念するつもりですし、我々の改善状況を反映するような素晴らしいレースになる事を期待しています。
長谷川が言うように、レッドブル・リンクはエネルギー・マネジメントがレース結果を左右する重要な要素になる。全開率66%を誇るもののコーナーは僅かに9つ、ブレーキングによる運動エネルギーを回生の余地が少ないため、熱エネルギーを再利用するMGU-Hの性能がモノを言う。好成績のためにはハードとしての改善のみならず、ソフトの改善も必要不可欠だ。
2017年第9戦F1オーストリアGPは、7月7日(金)17時からのフリー走行で幕を開ける。日程・結果・ニュース・サーキットガイドなど、オーストリアGPに関する情報については、F1オーストリアGP特設ページを参照されたい。