
「移籍より引退に近かった」フェルスタッペンが明かす本音…2030年までレッドブルと歩む理由
なぜマックス・フェルスタッペンはF1との離別を検討しながらも、現行契約の満了まで2年半を残すこのタイミングで、レッドブル・レーシングとの2年の契約延長に踏み切ったのか。
4度のF1王者は2028年末までの現行契約を延長し、2030年末までチームに残ることを決めた。これに伴い、フェルスタッペンとレッドブルの関係は、ルイス・ハミルトンとメルセデスの11年間を上回るF1史上最長のパートナーシップとなる見通しだ。
長く続いた去就を巡る憶測の裏では、マクラーレンやメルセデスとの協議も行われた。だが本人によれば、他チームへの移籍よりも、むしろF1から引退する方が現実的だったという。
新規則への不満から引退示唆、翻意の舞台裏
Courtesy Of Red Bull Content Pool
パドックに到着したマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2026年8月20日(木) F1オランダGPメディアデー(ザントフォールト・サーキット)
フェルスタッペンは今季序盤、2026年に導入された新たなレギュレーションをめぐり辛辣な批判を繰り返していた。その不満は第3戦日本GPの時点で、F1からの引退を検討せざるを得ないほどまでに高まった。
「開幕から数戦を終えたところで、ローランにこう言ったんだ。将来のことについては何も聞かないでくれ、とね。僕自身、このスポーツに残りたいのかさえ分からなかったから」とフェルスタッペンは明かす。
この状況に変化をもたらしたのは、国際自動車連盟(FIA)による規則変更だった。すでに一部の規則は修正されており、来年以降に向けては内燃エンジン(ICE)とバッテリー出力の配分を段階的に見直される。
「僕はレースが大好きだ。F1とも、FIAとも、本当に建設的な話し合いを重ねてきたと思う。少しずつ、状況は良くなっていっていると感じている」とフェルスタッペンは語る。
「だから僕としても、この状況に適応してきた。僕ら全員が置かれているこの状況を受け入れて、その中で最善を尽くそうと努めている」
さらに、2031年には現行規則が再び刷新され、FIAはV8エンジンの導入を含む新しいパワーユニット(PU)規則を導入する計画だ。
フェルスタッペンは、2030年まで契約を延長したことで、「この先、V8エンジンが導入される可能性が出てきた際、改めて選択肢を検討する余地が生まれたとも言えるかもしれない」と述べた。
レッドブルで引退を…マテシッツと描いた夢
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レッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長し、チーム代表ローラン・メキーズと談笑するマックス・フェルスタッペン、2026年8月 英国ミルトン・キーンズ
もっともフェルスタッペンは、レッドブルGmbHの共同創業者ディートリッヒ・マテシッツが存命だった頃から、常々「このチームでキャリアを終えたい」との目標を口にしてきた。レッドブルに留まることは、フェルスタッペンにとって常に最優先事項だった。
「その目標に少しずつ近づいている。まだ先は長いけど、それが僕の目指すゴールであることに変わりはない」とフェルスタッペンは語る。
「だから契約を延長できたことをすごく誇りに思っている。もちろん、もう一度頂点に返り咲きたい。その感覚を何度も味わってきたからね。だからこそ、もう一度そこに戻りたいという気持ちはすごく強いと思う」
物事を隠さずオープンに語るメキーズの姿勢も重要なファクターだった。
フェルスタッペンはメキーズについて「最初の段階から僕らの関係は本当に、本当に良好だった。すごくオープンで透明性もあった。だからこそ、僕が決断するうえでも、まさにそこが重要だったと思う。将来のこと、それにチーム内でのいくつかの戦略的な決断についてね」と述べた。
ライバルと交渉も「移籍より引退に近かった」
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ドライバー記者会見で笑顔を見せるアーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)、セルジオ・ペレス(キャデラック)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2026年8月20日(木) F1オランダGPメディアデー(ザントフォールト・サーキット)
フェルスタッペン陣営は、この1年でマクラーレンやメルセデスなど複数のチームと交渉の場を設けていた。だがフェルスタッペンは、他チームへの移籍よりも引退の方が現実味を帯びていたと明かす。
「単に変化を求めるためだけに別のチームに移りたいとか、どこかよそで勝ちたいという欲求や必要性を感じたことは一度もない」
「今のチームに満足しているなら、なぜ変える必要がある? 彼らは僕のために全力を尽くしてくれているし、僕もコースに出れば結果を出そうと全てを尽くしている。そしてそのことは彼らも分かってくれている」
「移籍するよりも、引退する方が近かったと思う」
F1外活動の容認、離脱条項が与える重圧
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レッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長し、笑顔を見せるマックス・フェルスタッペン、2026年8月 英国ミルトン・キーンズ
今回の契約延長に伴い、年俸が上乗せされた可能性は高いが、フェルスタッペンが重視しているのは金銭ではない。フェルスタッペンはここ1年、ニュルブルクリンクで耐久レース参戦を重ねてきた。
「レッドブルはF1以外でも少し活動することを認めてくれている。だから、それも含めて全体のパッケージが大きなプラスになっているし、本当に感謝している」とフェルスタッペンは語った。
契約は2030年までとされているが、フェルスタッペンが本当にその年まで在籍し続ける保証はない。従来の契約と同様、今回の契約にも離脱条項が含まれているであろうことはほとんど明白だ。
レッドブルにとっては、今回フェルスタッペンに約束した内容を実際に成果として示せるかどうかが問われ続けることになる。
「マックスの決断は、チームへの信頼の証だ」とメキーズは語る。
「我々はこれを軽んじてはいない。その信頼には、今後数年にわたり彼に最高のパッケージを提供し、その期待に応えるという多大な責任が伴う」