
フェルスタッペン「レンタカーでも魅せられる」今季初登壇&バトル堪能でも消えぬF1への違和感
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、2026年F1第5戦カナダGP決勝で3位フィニッシュを果たし、今季初となる表彰台を獲得した。68周のレースの終盤には、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)と激しいバトルを展開。その攻防を「非常に楽しかった」と振り返った。
ただ、表彰台という結果は、フェルスタッペンの中にある違和感を消すものではなかった。レース後には、現在のF1が複雑になりすぎていると改めて強く訴えた。
なお、このレースを制したのはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)だった。チームメイトのジョージ・ラッセルがパワーユニット(PU)のトラブルでリタイアする中、アントネッリは4戦連続の優勝を飾り、選手権リードを43点に広げた。
ハミルトンとの攻防「最高だった」
フェルスタッペンは、カナダGPでの3位を前向きに受け止めている。今季ここまで思うようなレースを展開できていなかったレッドブルにとって、カナダでの表彰台は大きな成果だった。
「何度かクールなバトルができた。いつだって前の方でレースをする方が良いに決まってる。僕らにとって今季初の表彰台を獲れたことは、もちろん、本当に前向きだ」
終盤のハミルトンとの攻防についても、フェルスタッペンは満足感を示した。ハミルトンは残り7周あたりでフェルスタッペンをかわし、2位の座を奪った。その後フェルスタッペンは反撃に転じ、0.5秒差でフィニッシュした。
「終盤のルイスとのバトルも最高だった。最後までプッシュし続けた。物事を正しくまとめるのが楽じゃない週末に、ここで表彰台に上がれたのは本当にポジティブだよ」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
パルクフェルメで言葉を交わす3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2位ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2026年5月24日(日) F1カナダGP決勝(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
一方で、フェルスタッペンはカナダでの表彰台に少し驚いたとも明かした。クルマの感触自体は、5位にとどまった前戦マイアミの方が良かったからだという。
3位という結果の背景には、ライバル勢の取りこぼしがあった。ラッセルは30周目にPUのトラブルでリタイア。マクラーレン勢は、両車ともにインターミディエイトタイヤでレースをスタートする賭けに出たが、路面はドライで、早々にピットを強いられた。ノリスはギアボックスのトラブルでリタイアし、オスカー・ピアストリは入賞圏外の11位に終わった。
タイヤ面では、ソフトの方が競争力を発揮できたという。反対に、ミディアムは作動領域に入れられず、グリップを引き出せなかった。フェルスタッペンを含むトップ5フィニッシャーは、ソフトからミディアムへとつなぐ1ストップ戦略を採用した。
フェルスタッペンにとってもう一つの収穫は、ようやく「普通のレース」ができたことだった。
「普通のレースをしたのは、これが初めてだと思う。何かクレイジーなことが起きなかった。それも良かった」
良いバトルと良い規則は別だ
フェルスタッペンは結果を喜ぶ一方、現行レギュレーションの複雑さには不満を隠さなかった。現在のF1では、ドライバーが走行中に処理しなければならない要素が非常に多い。フェルスタッペンは以前から繰り返し、今のF1が本来あるべき姿から乖離していると訴えている。
「運転している側からすると、全てが少し分かりにくい。これはF1があるべき姿じゃない。あまりにも複雑すぎる」
「ファンの多くは、僕らがドライビング中に何に対処しているのかさえ知らない。後ろにいる時や前にいる時に何が許されているのか、フォーメーションラップやアウトラップで何をしなければならないのか、どれだけバッテリーを充電していいのか。こうしたこと全てに対処しなければならないのは、本当に残念だ」
フェルスタッペンは、先日メルセデスAMG GT3で参戦したニュルブルクリンク24時間レースにも言及し、現在のF1が失ったものの大きさを強調した。
「先週は、モータースポーツがどれほど純粋であり得るか、そしてレースがどれほど素晴らしいものになり得るかを思い出させてくれた」
それがゆえに、「ここに戻ってくると、ただただ気分が悪いんだ」という。
「こういうレースの後で、あまりネガティブになりすぎたくはない。でも僕は、純粋なレーシングカーを走らせる感覚を知っている。純粋なオーバーテイク、純粋なレース、そして自然なドライビングだ」
Courtesy Of 24h Nürburgring
観客で埋まったノルドシュライフェを駆け抜けるフェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスAMG-GT3、2026年5月16日(土) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)
フェルスタッペンは、カナダGPのレースそのものを否定しているわけではない。ハミルトンとの攻防を含め、バトルを堪能した。ただし、それは現行規則が正しいことを意味するわけではないと指摘する。
「当然ながら、このパドックの多くのドライバーは世界最高峰だ。たとえレンタカーを与えられたとしても、素晴らしいショーを見せるし、お互いに激しく、うまくレースをする。だから、そういう意味ではルールとは関係ない」
「みんなは『素晴らしいショーがあるし、マシン同士が激しく競り合っている』と言うけど、それはマシンとは何の関係もない。F1にはもっと純粋さが必要だ」
フェルスタッペンは、F1が来季に向けて進めようとしている「60:40案」の実現に期待を示しているが、幾つかの理由から導入が先送りされる可能性が浮上している。
これを受けフェルスタッペンは、現行規則下でレースを続けるのは「精神的に無理だ。本当に無理だ」とし、仮に2027年に規則変更が実施されない場合、F1を去るとの考えを改めて示している。
消えないレッドブルの課題
カナダGPでの3位は、レッドブルにとって確かな前進となった。だが、それはメルセデスやフェラーリに匹敵する競争力を手に入れたことを意味するわけではない。フェルスタッペン自身も、表彰台の背景にライバルの失点があったことを認めている。
キャッチアップし、追い越すために、今後へ向けて必要なことは何か。問われたフェルスタッペンの答えは、ごく単純なものだった。
「ライバルよりも努力を重ね、改善し続けること。それが目標だ」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージ前でチームスタッフと記念撮影に応じる3位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2026年5月24日(日) F1カナダGP決勝(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
2026年F1第5戦カナダGPでは、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がトップチェッカーを受けて4連勝を飾った。2位はルイス・ハミルトン(フェラーリ)。3位表彰台にはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が滑り込んだ。
モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは、6月5日(金)のフリー走行1で幕を開ける。