巨額投資のアストン苦境「予想外」と会長、F1王座は金で買えぬとの辛辣論も。振動問題はホンダとアロンソで認識差

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空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイの招聘、ホンダとのワークス契約、最新鋭のファクトリーと風洞施設——アストンマーティンが2026年シーズンに向けて注ぎ込んだリソースは、F1の歴史の中でも際立つ規模だった。

だがプレシーズンテストの段階から信頼性トラブルが相次ぎ、まともに走行を続けることすら難しい状態であることが明らかになった。開幕戦オーストラリアGPの決勝を前に、チームのオーナー兼会長を務めるローレンス・ストロールが口にしたのは「本当に予想外だった」という言葉だった。

ストロール会長は、プレシーズン段階のシミュレーションやベンチテストでは問題が顕在化していなかった、あるいは深刻度を過小評価していた可能性を示唆した。立て直しまでの時期を問われると、「できるだけ早く、というのが答えだ」と述べるにとどめ、具体的な見通しは示さなかった。

アロンソ10人抜きも…失速リタイヤ

オープンカーから手を振るフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、2026年3月8日(日) F1オーストラリアGP決勝前ドライバーズパレード(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

オープンカーから手を振るフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、2026年3月8日(日) F1オーストラリアGP決勝前ドライバーズパレード(アルバート・パーク・サーキット)

アルバート・パーク・サーキットで行われた58周のレースで、フェルナンド・アロンソは17番手からスタートし、直後に10台を一気に抜き去ってポイント圏内まで浮上した。

だが現在のAMR26には、その位置を維持する力がなかった。相次ぐトラブルに見舞われ、最終的にアロンソは21周を重ねた末にリタイアした。

一方、ストロール会長の息子ランス・ストロールは、4回のピットストップを行いながら断続的に周回を重ね、最終的にトップから15周遅れでフィニッシュした。だが規定により「未分類」として記録され、順位を残すことはできなかった。

バッテリーの在庫が枯渇していたなか、チームは当初から完走ではなく次戦中国GPへのマシン持ち込みを優先する方針を示していた。だがストロール会長によれば、チームはレース規定周回を走り切る意向をもってグランプリに臨んだという。

振動問題をめぐる認識の差

アルバート・パーク・サーキットを周回するランス・ストロールのアストンマーティン・ホンダ「AMR26」、2026年3月6日(金) F1オーストラリアGPフリー走行Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

アルバート・パーク・サーキットを周回するランス・ストロールのアストンマーティン・ホンダ「AMR26」、2026年3月6日(金) F1オーストラリアGPフリー走行

苦境の根本にあるのは、ホンダ製パワーユニットが発する振動が車体に影響を及ぼしている問題だ。この振動が、バッテリーを含む複数の部品に深刻なダメージを与えているとされる。

ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアはレース後、「データを見る限り、バッテリーの振動は引き続き減少しており、今ではフルレース距離を完走できる見通しが立ったとの自信を得ています」と語った。

だがアロンソの認識はやや異なる。パワーユニット側の振動は改善しつつあるものの、車体構造との相互作用によって依然としてコックピット内では振動を感じているという。

そのためアロンソは、バッテリーの振動を隔離する方法をシャシー側で見直す必要があると指摘する。そのため振動問題の解決にはまだ少し時間がかかるとし、次戦中国GPについては「状況は変わらないだろうから、また厳しい週末になると思っている」との見通しを示した。

この認識・視点の差は、両者間のコミュニケーションや関係の健全性に一定の疑問符を投げかける。

「タイトルは金では買えない」エクレストンの辛辣な指摘

グリッド上に立つアストンマーティン・ホンダのクルー、2026年3月8日(日) F1オーストラリアGP決勝前(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

グリッド上に立つアストンマーティン・ホンダのクルー、2026年3月8日(日) F1オーストラリアGP決勝前(アルバート・パーク・サーキット)

アストンマーティン・ホンダの苦境を受け、元F1最高責任者のバーニー・エクレストンは厳しい見方を示した。

イギリスの専門メディア『motorsportweek』によるとエクレストンは、ストロール会長について「気の毒に思う」と前置きしつつ、「F1世界選手権のタイトルはお金で買えるものではない。すべてがうまくかみ合わなければ、一生成功を追い続けることになる」と指摘した。

さらにフェラーリを引き合いに出し、「タイトルを完成させるパズルの最後のピースが欠けている例として、フェラーリほど分かりやすいものはない。彼らはそのピースを20年近く探し続けている。最高の条件、ドライバー、そして資金を持ちながらだ」と続けた。

ストロール会長によれば、解決の目処は現時点で見えていない。それでもホンダが「完走できる見通しが立った」と語ったことは、わずかながらも前進している証左と言えるだろう。アロンソもまた、苦戦を覚悟しつつも前進していることは「間違いない」と語っている。

果たして2台のAMR26は、次戦中国GPでチェッカーフラッグを受けることができるのだろうか? 2026年の第2戦は3月13日(金)のフリー走行1で幕を開ける。

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