関係者の証言で読み解く「2026年F1マシンの評価」と「テスト初日の実像」

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新たな時代の幕開けを告げる2026年仕様のF1マシンが、1月26日にカタロニア・サーキットで初めて本格的な走行に臨んだ。

F1が「シェイクダウン・ウイーク」と位置付けるこのテストは、5日間の日程のうち各チーム最大3日間のみ参加が可能だ。初日にコースに姿を現したのは、全11チーム中7チームだった。

早朝の路面は湿っていたが、日中は晴天に恵まれ、各チームは新型マシンのシステムチェックに没頭した。非公開で行われる厳戒態勢のテストながら、現場からは新世代マシンへの確かな手応えが伝わってくる。

2014年とは別次元の信頼性

この日の走行で各チームに共通していたのは、走行プログラムの目的だ。空力性能やタイムの比較ではなく、システムが正常に作動し、各部の温度が適正範囲に収まるかといった確認が最大の関心事だった。

メルセデスは初日だけで151周、約700キロ以上を走破した。アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルが交代で走行し、安定してプログラムを消化した。

カタロニア・サーキットを周回するアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスW17)、2026年1月26日 F1バルセロナ・シェイクダウン初日Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

カタロニア・サーキットを周回するアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスW17)、2026年1月26日 F1バルセロナ・シェイクダウン初日

ラッセルは、V6ハイブリッドが導入された2014年当時のプレシーズンテストと比較し、現在のF1の技術レベルの高さに驚きを示した。当時、テスト初日に1周以上を走れたのは6チームのみで、全体の周回数も96周にとどまっていた。

それに対し、今回は全チームが2桁周回を記録しており、信頼性の成熟度は明らかに異なる。

初の自社製PUということで、信頼性への懸念がつきまとうレッドブル・フォード・パワートレインに関しても、1日を通して107周を走り込んでみせた。RB22のステアリングを握ったアイザック・ハジャーは「かなり生産的だった。正直、予想以上にたくさん走れた。小さなトラブルはあったけど、全体的にはとてもスムーズだった」と振り返った。

エンジニア陣は、この段階で性能比較を行う意図はないと口を揃える。メルセデスで現場責任者を務めるアンドリュー・ショブリンは「最も重要なのは、多くの走行を重ねることだ」と語り、パフォーマンスへの言及を避けた。2026年型マシンは、まだ理解の入口に立ったに過ぎない。

ショブリンは、この日の目的についても「クルマを理解し、適切な温度域で安定するか、ロングランが可能かを確認することだった」と説明し、「それらを達成でき、前向きな一日だった」と総括した。

走るたびに学ぶデバッグの時

TGRハースF1チームの代表を務める小松礼雄は、走行距離を確保できた点を評価しつつ、「走るたびに新しい課題が見つかる段階です」と語った。エステバン・オコンはこの日、全チーム最多となる154周を走破した。

新たなレギュレーション下では、データを集め、問題点を洗い出すこと自体が大きな成果となる。ハースはイタリアでの事前走行から短期間でスペイン入りし、初日の朝から万全の状態で走行に備えた。

走行を見守るハースの小松礼雄代表、2026年1月26日-F1バルセロナ・シェイクダウン初日Courtesy Of Haas

走行を見守るハースの小松礼雄代表、2026年1月26日-F1バルセロナ・シェイクダウン初日

アルピーヌでマネージング・ディレクターを務めるスティーブ・ニールセンも、「完全な新車である以上、いくつかの小さなトラブルは想定内だ」としたうえで、「学習と理解が最優先事項だ」と語った。

そのため同チームでは、システムとプロセスが正しく機能しているかを確認する目的で、意図的に走行を制限する場面もあったという。

カタロニア・サーキットを周回するフランコ・コラピントのアルピーヌA526、2026年1月26日F1バルセロナ・シェイクダウン初日Courtesy Of Alpine Racing

カタロニア・サーキットを周回するフランコ・コラピントのアルピーヌA526、2026年1月26日F1バルセロナ・シェイクダウン初日

ドライバーが感じた新規定の感触

ハースVF-26のステアリングを握ったオコンは、「新しいクルマでの最初の本格的な一日としては、うまくいった」と振り返り、開発の方向性を見極めるための材料が集まり始めたことを前向きに受け止めた。

フランコ・コラピント(アルピーヌ)も、新たなレギュレーションによる変化の大きさに触れつつ、「ガレージの中には前向きで楽観的な空気があった」と現場の雰囲気を伝えた。

一方、ラッセルは2026年型マシンについて、従来とは「かなり感覚が異なる」と明かした。ただし、その特性を理解すれば「直感的に運転できる」とも述べており、極端な扱いづらさは感じていない様子だ。

リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)は「まだ完全には理解しきれていない」としつつ、昨年までのクルマとは「全然違う」と評価した。その背景には「ドライバーとして差を出せる部分が増えた感覚」があるという。

カタロニア・サーキットでVCARB-03を走行するリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、2026年1月26日(月)-F1シェイクダウン初日Courtesy Of Red Bull Content Pool

カタロニア・サーキットでVCARB-03を走行するリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、2026年1月26日(月)-F1シェイクダウン初日

3度の赤旗も産みの苦しみ

本テスト最初の赤旗中断は、コラピントがコース上で停止したことによるものだった。続いてガブリエル・ボルトレート(アウディ)、ローソンも相次いでストップし、午前中だけで3度の赤旗が提示された。

アウディのチーム代表を務めるジョナサン・ウィートリーは、トラブル発生時について「問題を正しく理解するため、コース上で止める判断をした」と説明し、無理に走行を継続せず、慎重に歩みを進めていく姿勢を示した。

とはいえ結果的にアウディの走行は、この日わずか27周にとどまった。

バルセロナでの走行は始まったばかりだ。テスト初日における「順調」という言葉は、完成度の高さを意味しない。走り出せた、そしてそれによって学びのスタートラインに立てたという事実そのものが、最大の成果だった。

2016年のハース以来となる新規参戦を果たすキャデラックのバルテリ・ボッタスは、セルジオ・ペレスと合わせてわずか44周にとどまった初日の走行を経て「走れたこと自体が重要だ」と振り返った。