
角田裕毅に求められる姿勢、F1最高経営責任者が語った「厳しさと美しさ」―日本人不在の2026年F1シーズン
F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが角田裕毅について言及し、「機会が訪れたら、それを掴みに行ってほしい」とエールを送った。リザーブドライバーとしてF1復帰の機会を待つ角田に対し、準備の重要性と粘り強さを求めた。
日本人ドライバー不在で幕を開ける2026年シーズン。ドメニカリは、この過酷なスポーツの頂点に立つ者だけが知る「厳しさ」と「美しさ」を口にした。
角田への期待と、過酷な現実
1月20日、東京で行われたホンダとアストンマーティンのパートナーシップ始動発表会。2026年シーズンに向けた期待が高まるなか、ドメニカリは角田、そして日本人ドライバーの成功に際して求められる要素について自身の見解を示した。
角田は昨年末をもってレッドブル・レーシングのレギュラーシートを喪失し、今季はリザーブドライバーとして、マックス・フェルスタッペンおよびアイザック・ハジャーのバックアップを担う立場にある。
ドメニカリはまず、角田に求められる姿勢について言及した。
「彼には粘り強さが必要だ。なぜなら、もしチャンスが巡ってきたとき、彼は準備ができていなければならないからだ」
さらに角田を「素晴らしい人物だ」と評し、「招集がかかった時に備えて、彼は十分に準備を整えるはずだ」と期待を寄せた。
リザーブドライバーという立場は、不確実な日々への忍耐が要求される。いつ声がかかるかは分からない。むしろ、声がかからぬまま役目を終える例の方が多い。だが、それでも呼ばれた瞬間に結果を残せなければ、次はない。
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鈴鹿サーキットのパドックでステファノ・ドメニカリ(Formula One Group CEO)と話す角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年9月21日(木) F1日本GP
ドメニカリは、F1シートを巡る環境の厳しさについても強調した。今季からキャデラックが新規参戦し、グリッド上のシート数は20から22へと増えた。だが、それでも世界にたった22席しか存在しない現実は変わらない。
「だからこそ、簡単ではないのだ」
才能があっても、タイミングが合わなければシートは得られない。適切な時期に、適切なチームに所属しなければ成功には届かない。その構造的な難しさを、ドメニカリは示唆した。
一方で、アストンマーティン・ホンダの存在が、日本における新たな才能の芽吹きとF1への挑戦を後押しするだろうと指摘した。F1という遠い世界が、ホンダを通じて少し身近に感じられることが、次世代の挑戦者を生むとドメニカリは見ている。
「日本には素晴らしい選手権が数多くあり、しっかりとした基盤がある。そして、ホンダがアストンマーティンと共にF1に戻ってくるこのコラボレーションは、こうした素晴らしいブランドを目標として、新たな才能がレースの世界に入ってくるうえで、さらなる後押しになるだろう」
日本人ドライバーに欠けているもの
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2012年F1日本GPで表彰台に上がった小林可夢偉とザウバーチームの面々
1950年のF1世界選手権発足以来、これまで多くの日本人ドライバーがF1への道を目指してきた。だが、トップチームで活躍し、優勝を飾った日本人ドライバーは、まだいない。
かつてチーム代表としてスクーデリア・フェラーリをコンストラクターズ王者に導いたドメニカリは、「何が欠けているのかを断定するのは難しい」と前置きしつつも、いくつかの要素を挙げた。
「適切なチャンス、正しい育成の道筋、そして粘り強さ。それが私に言える唯一のことだ」
さらに、「その国を代表するドライバーの存在は非常に重要だ」とし、若い世代を惹きつける象徴的存在の必要性を強調。角田への期待を、改めて口にした。
「まずはユーキに、もう一度チャンスを掴んでほしいと思っている。そしてそれに向かって突き進んでほしい」
また、F2など下位カテゴリーで経験を積む若手ドライバーにも触れ、「もし機会が訪れたなら、それを掴みとらなければならない」と促した。
「チャンスは決して多くはない。ミスをすれば、道はさらに険しくなる。それがこのスポーツの現実であり、同時に、このスポーツの美しさでもあるのだ」