
今季最高6位の裏側―角田裕毅が「仕掛けなかった」真意、ローソン戦の裏に冷静な判断
角田裕毅(レッドブル)は2025年F1第17戦アゼルバイジャンGPで今季ベストとなる6位入賞を果たした。バクー市街地コースの高速セクションで、リアム・ローソン(リアム・ローソン)との激しいバトルを演じながらも、最終的には「仕掛けない」という判断を下した背景には、チームへの貢献意識があった。
リスクとリターンの天秤:個人よりもチームを優先
決勝終盤、角田はミディアムタイヤに履き替えた第2スティントで、前にローソン、後ろにランド・ノリス(マクラーレン)を抱える緊張感の高い状況に置かれた。DRS圏内で何度も仕掛ける場面はあったが、オーバーテイクには至らず6位でフィニッシュした。
だが、それは単純に「抜けなかった」のではなく、チーム全体の事情を考慮して「抜かなかった」という側面も含まれていた。
角田は「とにかく、第2スティントは本当に大変でした。特に後ろにマクラーレンがいたので、チャンピオンシップのことを考えていました。チーム、そしてマックス(フェルスタッペン)の選手権、両方のことです」と説明する。
角田がノリスを抑え切ったことで、本大会で優勝したマックス・フェルスタッペンはランキング2位ノリスとの差を一気に44ポイント差にまで縮めた。さらにレッドブルとしては、今季初めて全チーム最多ポイントを獲得し、選手権争いでの巻き返しに向け大きな足掛かりを築いた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
角田裕毅のレッドブルRB21とランド・ノリスのマクラーレンMCL39、ルイス・ハミルトンのフェラーリSF-25をリードするリアム・ローソンのレーシング・ブルズ VCARB 02、2025年9月21日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)
来季シートが懸かる重要な局面で、角田は冷静な判断を保ち、リスクとリターンの天秤を的確に見極めていた。
「チャンスそのものはたくさんありました。リアムのイン側に仕掛けても良かったのかもしれませんが、リスクが大きすぎました。マクラーレンが僕ら2台をまとめて抜いてしまう可能性もあったので。レッドブルとしてそれは避けたいところだと思います」
「なので挑戦しなかったのは正しい判断だったと思います。同時に、楽に抜けるほどのペースはありませんでした」と冷静な自己分析も加えた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
勝利を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)を祝福する6位の角田裕毅、2025年9月21日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)
一方、予選は突風と小雨が重なる難しいコンディションだったが、決勝は一転して落ち着いた展開となった。1周目にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がクラッシュした以外はレースが中断されることはなかった。
角田は「昨日とはまったく違いましたね。僕の戦略的には、序盤はセーフティカーが出てほしくなかったです。逆に終盤はセーフティカーが出てくれたらよかったですが、そうはなりませんでした」と振り返った。
フェルスタッペンからの学びを武器に、さらなる前進へ
今回の好結果の背景には、新型フロアの投入によるマシンバランスの安定化がある。このタイミングで予選・決勝ともにレッドブル昇格後のベストリザルトを叩き出した角田は、今後に向けてこれまで以上の自信と手応えを得ているようだ。
「将来に向けてもっと自信が持てる結果になったのは確かです。チームからの全面的なサポートもあり、クルマに幾つか変更が加わりましたし、ロングランにも力を入れてきました」と角田は語る。
特に注目すべきは、4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンから学んだ新たなドライビングアプローチだ。
「マックスが僕とは少し違う走り方をしていることに気づいて、そのアイデアをシミュレーターで試したところ、良い感触が得られました。ただもちろん、それを実際のコース上でやるのはシミュレーターとは全然違います」
「それでも、何段階か前進できるようになってきているので、その点については満足しています。まだ理想のレベルには達していませんが、クルマの変更が大きな助けになっていますし、自分のドライビングスタイルにも合っているので、今の取り組みを続けて、さらに前進していければと思っています」
アゼルバイジャンGPでの6位入賞は、チーム一丸となった取り組みが結実した結果であり、また今後に繋がりうる萌芽があったという点で、角田裕毅にとって今季ベスト以上の意味を持つ。残りのシーズンでの更なる活躍が期待される。
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGPは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで制し、キャリア通算67勝目を挙げた。2位にはジョージ・ラッセル(メルセデス)、3位にはカルロス・サインツ(ウィリアムズ)が入り、移籍後初の表彰台を獲得した。
次戦はマリーナベイ市街地コースで開催されるシンガポールGP。10月3日にフリー走行1が行われ、ナイトレースの週末が幕を開ける。