
ハジャー表彰台を経て、マルコが角田裕毅に求めたものとは?―注目集まるセカンドシート攻防
アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)がF1デビューからわずか15戦目にして鮮烈な初表彰台を獲得した今、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは角田裕毅に何を求めるのか。
両者は2026年のマックス・フェルスタッペンのチームメイト候補と目されている。2025年F1第15戦オランダGPでは両者とも入賞を果たしたが、パドックの注目は圧倒的に後者、ハジャーに注がれた。
角田に「落ち度なし」批判せず
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージで様子を見つめる角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年8月30日(土) F1オランダGP最終プラクティス(ザントフォールト・サーキット)
ザントフォールトでのレースで角田は、フェルスタッペンと同じ最新スペックのRB21を駆りながらも予選Q3進出を逃し、決勝は9位に甘んじた。一方でチームメイトのフェルスタッペンは2位表彰台に上がったが、英専門誌『Autosport』によるとマルコは彼を擁護した。
マルコは「今回はセーフティーカーの面で運がなかった」と振り返り、「タイヤを替えた2周後にセーフティーカーが出てしまい、それによって後方に下がってしまった。それに彼に落ち度があったわけではない」と指摘した。
角田はセーフティーカー導入の不運によりポジションを失い、11番手から15番手まで後退した。さらに終盤にはスロットルマップのトラブルにも見舞われた。
角田に残された”証明チャンス”の目安はあと5戦とみられている。チーム代表ローラン・メキーズとマルコの間では去就判断の時期をめぐってすれ違いもみられるが、マルコは遅くとも10月末までに来季のラインナップを決定したい意向を示唆している。
今後数週間で角田に何を求めるのか?と問われたマルコは「一貫性とパフォーマンス、そして速さだ」と語った。
ハジャーは昇格に足ると評価
Courtesy Of Red Bull Content Pool
キャリア初の3位フィニッシュを経てパルクフェルメでガッツポーズを取るアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年8月31日(日) F1オランダGP決勝(ザントフォールト・サーキット)
一方で、ルーキーのハジャーはザントフォールトで驚きのパフォーマンスを披露した。予選では4番手につけ、決勝ではジョージ・ラッセル(メルセデス)やシャルル・ルクレール(フェラーリ)からの猛攻を受けながらも冷静に対処。最終的に3位でフィニッシュし、自身初の表彰台を獲得した。
マルコは、二人に対して守勢を強いられながらも「冷静さを失わず、ミスもしなかった。有望なドライバーが出てきたと言える」と絶賛。さらに「私は彼を『リトル・プロスト』と呼んでいるんだ」と明かし、4度のF1王者アラン・プロストになぞらえて評価した。
また、初走行のサーキットでも短時間で競争力を発揮する点や、エンジントラブルによりプラクティスでの走行機会を失っても動じなかった点、そして自身への揺るぎない自信と有言実行の姿勢も高く評価した。
「彼は『自分が速さを発揮できる場所は分かっている。トップ5に入る』と言ったんだ。そしてその通りにやってのけた。だから自信という点でも彼は際立っている」とマルコは語った。
さらに、レッドブル昇格の可能性については、「アイザックは違う」と述べ、過去にセカンドシートの重圧に押し潰されチームを去っていったドライバーたちのようにはならないとの見方を示した。
待ったなし、セカンドシートを巡る攻防
角田にとって今後は、安定した速さを証明できるかどうかが鍵となる。一方のハジャーは既にマルコから昇格に足るとの信頼を勝ち取っているように見える。レッドブルのセカンドシートをめぐり、両者の成績が直接比較される構図は今後一層、避けられない状況だ。