自身初のオーバル勝利兼インディ500制覇を喜ぶアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)
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2025年インディ500《決勝》結果:パロウ初制覇!佐藤琢磨は最多リードも痛恨ミス響く、エリクソンは違反で2位喪失

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2025年第109回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)が現地時間5月25日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われ、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が念願の”500”初制覇を果たした。

パロウは残り14周でマーカス・エリクソン(アンドレッティ)をパス。初のリードラップを奪うと、その後は付け入る隙を与えず、キャリア初のオーバル勝利を伝統の一戦で成し遂げた。

これによりパロウは、インディカー・シリーズ2025年シーズンの開幕6戦で5勝目を挙げ、4度目のシリーズチャンピオン獲得に向けて盤石な体制を築いた。また、史上初めてインディ500を制したスペイン人ドライバーとして、その名を歴史に刻んだ。

「今までで一番うまい牛乳だった」と、勝者伝統のミルクを一気に飲み干したパロウはヴィクトリーポディウムで語った。「本当に最高の気分だよ」

過去3大会で2度目の2位に終わったエリクソンは涙を浮かべ、「本当に辛い。またしてもあと一歩だった。これは“勝者総取り”のレース。2位じゃ意味がない」と振り返った。3位にはデイビッド・マルーカス(A.J.フォイト)が入った。

だがレース後の車検で、ダラーラ製エネルギーマネジメントシステム(EMS)のカバーおよびAアーム取付部に、未承認のスペーサーとパーツが使用されていたことが判明。決勝翌日、エリクソンには6位フィニッシュした僚友カイル・カークウッドとともに、最後尾への降格ペナルティが科された。

さらに、12位フィニッシュのカラム・アイロット(プレマ)は、フロントウイングの左側エンドプレートが最低地上高および規定位置を満たしていなかったことが違反とされ、同様に最下位へと降格された。

これによりマルーカスが2位、パトリシオ・オワード(マクラーレン)が3位に繰り上がるなど、レース結果に大幅な変動が生じた。

アンドレッティとプレマの両チームにはそれぞれ10万ドル(約1,400万円)の罰金が科されたほか、両チームのチームマネージャーには次戦デトロイトGPでの出場停止という厳しい処分も下された。

アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)に敗れ2位に終わり涙を流すマーカス・エリクソン(アンドレッティ)、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)Courtesy Of Penske Entertainment

アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)に敗れ2位に終わり涙を流すマーカス・エリクソン(アンドレッティ)、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)

佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は順調にレースを進め、51周の最多リードラップを記録したが、2回目のピットストップの際に、タイヤがロックアップ。停止位置で止まり切れず、少なくとも12台に抜かれる痛恨のロスとなった。結局、この遅れを取り戻すことはできず11位でフィニッシュ。ライバルの降格により最終9位となった。

2025年第109回インディ500決勝正式結果
Pos. Start Driver Gap
1 6 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
–.—-
2 7 デイビッド・マルーカス
A.J. Foyt Enterprises
1.1426
3 3 パトリシオ・オワード
Arrow McLaren
2.1327
4 5 フェリックス・ローゼンクヴィスト
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
2.9464
5 15 サンティノ・フェルッチ
A.J. Foyt Enterprises
4.9902
6 18 クリスチャン・ラスムッセン
Ed Carpenter Racing
6.0274
7 8 クリスチャン・ルンガー
Arrow McLaren
9.2592
8 11 コナー・デイリー
Juncos Hollinger Racing
13.3125
9 2 佐藤琢磨
Rahal Letterman Lanigan Racing
16.9157
10 22 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
59.6118
11 16 デブリン・デフランチェスコ
Rahal Letterman Lanigan Racing
01:02.103
12 20 ルイス・フォスター
Rahal Letterman Lanigan Racing
01:03.000
13 24 ノーラン・シーゲル
Arrow McLaren
1 lap
14 27 コルトン・ハータ
Andretti Global w/ Curb-Agajanian
1 lap
15 14 エド・カーペンター
Ed Carpenter Racing
1 lap
16 33 ウィル・パワー
Team Penske
1 lap
17 28 グレアム・レイホール
Rahal Letterman Lanigan Racing
1 lap
18 30 マーカス・アームストロング
Meyer Shank Racing w/ Curb-Agajanian
2 lap
19 26 ジャック・ハーヴィー
DRR-Cusick Motorsports
2 lap
20 4 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
3 lap
21 25 ライアン・ハンター=レイ
DRR-Cusick Motorsports
29 lap
22 32 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
65 lap
23 17 スティング・レイ・ロブ
Juncos Hollinger Racing
109 lap
24 19 カイル・ラーソン
Arrow McLaren
109 lap
25 13 キフィン・シンプソン
Chip Ganassi
109 lap
26 1 ロバート・シュワルツマン
Prema Racing
113 lap
27 31 リーナス・ヴィーケイ
Dale Coyne Racing
119 lap
28 12 アレキサンダー・ロッシ
Ed Carpenter Racing
127 lap
29 29 マルコ・アンドレッティ
Andretti Herta w/Marco & Curb-Agajanian
196 lap
30 10 スコット・マクラフリン
Team Penske
200 lap
31 9 マーカス・エリクソン
Andretti Global
0.6822
32 23 カイル・カークウッド
Andretti Global
3.9822
33 21 カラム・アイロット
Prema Racing
21.3918

レースは小雨の影響で開始が43分延期された。フォーメーションラップでは、スコット・マクラフリン(ペンスキー)がペースカー先導下でクラッシュ。早々にリタイヤを余儀なくされ、打ちのめされるようにコース外にしゃがみ込んだ。

イエローコーションとなったが、この間にレースはスタート。6周目に隊列を整えてリスタートを迎えた。佐藤は3番手に後退。後方ではマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ)が接触してバリアに衝突。2回目のイエローとなった。

10周目のリスタートでは、パトリシオ・オワード(マクラーレン)がポールシッターのロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)をパス。これを受け佐藤は、シュワルツマンとオワードを立て続けにオーバーテイクし、11周目にトップに立った。

19周目、雨の影響による路面状況の変化を受け、3回目のイエローコーションが出された。この間に佐藤は1回目のピットインに動き、8番手に後退。30周目のリスタートではすぐさま2台を抜き去り6番手に。ジャック・ハーヴィー(DRRキュージック・モータースポーツ)のピットインにより、47周目に再びトップに立った。

73周目には、アレクサンダー・ロッシ(エド・カーペンター)のマシンから液体漏れが確認され、チームの指示でピットインした直後に車両左側面から出火。ロッシはすぐにマシンを離れ無事だったものの、このトラブルによりリタイアを余儀なくされた。

81周目、リーナス・ヴィーケイ(デイル・コイン)がピットレーン内でイン側の壁にクラッシュし、リタイアを喫した。これにより4回目のイエローフラッグが提示された。

このタイミングで佐藤は2回目のピットストップに動いたものの、4輪ロックでオーバーシュート。少なくとも12台に抜かれる痛恨のロスとなった。また、同じタイミングでシュワルツマンもピットストップでタイヤがロックアップし、数人のピットクルーと接触。マシンは損傷し、そのままレースを終えた。

91周目のリスタート直後、カイル・ラーソン(マクラーレン)が単独でスピン。これにより、後方を走行していたキフィン・シンプソン(チップ・ガナッシ)とスティング・レイ・ロブ(フンコス・ホリンジャー・レーシング)が巻き込まれる形となり、今大会5回目となるイエローコーションが提示された。

レースは106周目にリスタートを迎えたが、直後にクリスチャン・ラスムッセン(エド・カーペンター)がターン4の壁に接触。6回目のイエローコーションとなった。

第109回インディ500リスタート時の様子、2025年5月25日インディアナポリス・モーター・スピードウェイにてCourtesy Of Penske Entertainment

第109回インディ500リスタート時の様子、2025年5月25日インディアナポリス・モーター・スピードウェイにて

その後のレースは一転し、前半の荒れた展開とは対照的に、後半はグリーンフラッグが長く続く落ち着いた展開となった。全車がピットストップを終えた段階で13番手を走行していた佐藤は、ノーラン・シーゲル(マクラーレン)をオーバーテイクして12番手に浮上。さらに、エリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク)が燃料切れによりピットインしたことで、最終的に11位でフィニッシュした。

最終ラップでは、シーゲルがクラッシュを喫し、レースは7度目のイエローコーションの下でチェッカーフラッグを迎えた。

カナダの俳優キアヌ・リーブス、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)Courtesy Of Penske Entertainment

カナダの俳優キアヌ・リーブス、2025年5月25日第109回インディ500(インディアナポリス・モーター・スピードウェイ)