マクラーレン、F1カタール懲罰「明確性と妥当性を欠く」FIAに厳しい視線…ノリスのストップ&ゴーに波紋
2024年のF1カタールGPでダブルイエローを無視したとしてランド・ノリスにペナルティが科された件についてマクラーレンは、「公平性」という観点で重大な影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らし、国際自動車連盟(FIA)に決定プロセスの検証を要求した。
英Autosportによるとチーム代表のアンドレア・ステラは、ノリスに科された「ストップ&ゴーペナルティ」(失格以外で最も重い処罰)について、違反の事実を認めつつも「明確性と妥当性を欠いている」と述べ、ペナルティが違反行為に対して過度だと主張した。
さらに、「埃をかぶった古い本を持ち出して『これをそのまま適用しよう』といった感じに見える」と語り、過去の基準を安易に採用した可能性を指摘した。
ノリスはレース終盤、トップを走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接戦を繰り広げていたが、メインストレート上のデブリを理由とするダブルイエローを無視したとしてペナルティを受け、最終10位フィニッシュに終わった。
この結果、マクラーレンのフェラーリに対するリードは21ポイントに縮まり、コンストラクターズ選手権争いは次の最終アブダビGPに持ち越された。残り1レースで獲得可能な最大得点は44ポイントであり、選手権争いの行方は不透明となった。
ノリスが減速を怠った件については、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が無線を通して報告を入れていた。ノリスは、黄旗に気づいていなかったと釈明しつつも、立場が逆であれば「僕だってそうしたはずだ」と語り、チームを「失望」させてしまったとして謝罪を口にした。
15年来のスチュワードと就任直後のF2レースディレクターが突然、解雇されるというFIAの不可解な決定が注目された今回のカタールGPでは、ゲームのルールが変更されたかのように、最近目にすることのなかった厳しいペナルティが飛び交った。
ピットレーンの速度超過によりドライブスルーペナルティを科されたルイス・ハミルトンの上司であるメルセデスのトト・ウォルフ代表も、今回の厳しいペナルティに疑問を呈した。
ウォルフは「過酷なペナルティだった。マクラーレンにとっては特にそうだ。チャンピオンシップ争いに影響する可能性もある」とした上で、違反行為に対して「厳格な姿勢」を取ること自体は問題ないが、それはあくまでも「すべての関係者にその基準が周知されている」場合に限られると指摘した。
モハメド・ベン・スレイエムが会長に就任して以来、F1の統括団体の不透明性は高まっている。
王座争いが大詰めを迎えたシーズン残り3戦のタイミングでFIAはF1レースディレクターを交代させ、カタールGPの1週間前のラスベガスGPよりルイ・マルケスが監督することとなった。
FIAは、前任者のニールス・ヴィティヒが「辞任」したと示唆したが、本人は「解任」であると主張しており、FIAはこれに関する詳細な説明をしていない。