アウディF1、2026年参入に先立ちカタール政府系ファンドに一部株式を売却…中東のF1影響力がさらに拡大
2026年に向けたアウディのF1参戦に先立ち、カタールの国営ファンドであるカタール投資庁(QIA)は2024年11月29日、ザウバーF1チームの「大口の少数株式」を取得する契約を締結したと発表した。
出資比率は明らかにされていないが、複数の報道によるとQIAは、2026年以降にアウディのワークスチームとなるザウバーの約30%の株式を取得した。数百億円規模の投資と見られる。
QIAは今回の出資により、長期的な投資家およびパートナーとしてアウディのF1プロジェクトに参画し、チームのインフラ整備や組織強化を支援することで、F1での長期的な成功を目指すことになる。
パリ・サンジェルマンFCを所有するなど、推定資産約5100億ドルと見積もられるQIAは、スポーツ分野への投資を積極的に行っている。
QIAへの株式の売却について、アウディのゲルノート・デルナーCEOは「アウディのF1プロジェクトがこれまでに築いてきた信頼と評価、そしてアウディがこの取り組みに対して揺るぎないコミットメントを持っていることを示すものだ」と述べた。
QIAはアウディの親会社であるフォルクスワーゲンの株式の17%を保有している。
QIAのモハメド・アル=ソワイディCEOは「ワーゲングループの長年の投資家として我々は、アウディがF1に参入する際のビジョンと方向性を信頼している。今回の投資はこの目標の実現を支援するものだ」と語り、拡大する世界的なF1人気に触れて「F1にはまだ多くの未開拓の投資ポテンシャルがある」と付け加えた。
アウディに対するQIAの投資は、F1における中東地域の影響力をさらに高めることになる。
2024年シーズンのF1カレンダーに並ぶ24レースのうち、4レースは中東で開催されている。これはアメリカで開催されるレース数よりも多い。アブダビGP、バーレーンGP、カタールGP、そしてサウジアラビアGPの各主催者は、米リバティ・メディアが所有するF1に多額の開催権料を支払っている。
F1とグローバルパートナー契約を締結している10社のうちの2社は、中東資本のカタール航空とアラムコであり、F1を統括する国際自動車連盟(FIA)の会長はアラブ首長国連邦出身のモハメド・ベン・スレイエムが務めている。
マクラーレンはバーレーンの政府系ファンドであるムムタラカットが所有している。また、アストンマーチンはサウジアラビアの公共投資基金(PIF)がその一部を所有しており、タイトルスポンサーにはサウジアラビアの国営石油企業アラムコがついている。